ふたり22
「じゃあ、また明日。あと三日もすれば夏休みだけどさ、進藤が夏休み中のどこかで四人で旅行行こうって言ってたけど、どーする?」
『残りのパン一つを君に押し付けた別れ際。僕の家の玄関前。まだ開いてないメロンパンを器用に頭の上に乗せている僕の彼女。この絵面は素晴らしく面白い』
「んー、四人でもいいけど。私と涼くんと二人だけでも行こうよ、私、自然が好きだから。海と山。どっちも行きたい」
「そうだね、旅だね」
「ね、、まあ、また明日」
『会話途中目も合わせず、スマホに夢中な君に不快感が残る。まるでつまらなそうに僕と話すその君の癖を、いつか治してやる。そんなことは思わないけれど、僕が他人と関わる時は、スマホをいじるのはやめておこう。それにしても、歩き去っていく君の後ろ姿を見ていると、なんだか妙に虚しく思える』
やっぱり、『ふたり』も少し不快に感じているみたいだ。でもそれは君が君でいる証拠だろう。
肯定して行かなきゃ、いつか君を君らしく思えない俺になってしまいそうだ。
「母さん、今日は早いね。うわ、いい匂い!」
「そうなのよー!だから今日は、カツカレーです!」
「おー!楽しみ。あ、あとさ。俺の友達に卵焼き上げちゃったんだけど、めちゃくちゃ美味しかったって言ってた」
「あらま、お上手な子ね。また作ってあげるから、今度「お泊まりに来なさい」って言っといて」
「あっ、いやっ。その…うん、言っとく」
『母さんとの会話を終えて、自分の部屋へと向かう。いつもの様に階段を上がり、いつもの様に自分の部屋へ入って。ベットに倒れ込む。深い溜め息を吐く。夜はこれからだ。
おい、なんか変なこと考えてるだろ。母さんに嘘をつくからこうなるんだ。いや、嘘なんかじゃないな。偽装したな。あーあ、偽りだぁ』
新しく覚えた言葉だかなんだか知らねーけどコイツ。俺にも俺なりの伝え方があんだよ、くそ餓鬼。
腹は立つけど、今思い切り口喧嘩をするわけにも行かないし、また今度だ。と言ってもまあ、『ふたり』の言葉に悪い気もしない。それはどうしてだ?君と関わり始めてからか?
何となく、『ふたり』と言う存在が、異別的であると言う、そんな感覚に囚われてる。
いつも見たいに、これから歩き出して。夜の匂いを嗅ぎながら、『ふたり』と喧嘩して。
そうしたいのに、何だろう、、疲れてる。たぶんそうだ。
「カツカレーもう出来ちゃったからねー!早く食べちゃいなー!」
「いまいくーー」
『思っていたよりも早い夕食。楽しみだ。でも待てよ…?さっきカレーパンたべた』
「あー!言うなぁ!それは忘れようとしてたのにぃー!」




