ふたり17
「涼はさ。人間、って、なんだと思う?」
「んーと、一括りにするのは難しいかもしれないけど。たぶん、”後悔”って感じかな?『ふたり』がよく言ってる事だけど、僕もそれなりに納得できてるかも」
「そうかもね、私はたぶん。涼の言う通り”偽り”だと思ってる。だから、あんまり人と仲良くとか、恋愛とかはしたくなかった」
『偽りなんて当たり前だけど、人間の本当を知った様な口振りには、僕の返す言葉は乏しい。だけど、僕は少なくとも共感できた気がした。もし、生まれついた僕の体質が偽物であり、もう一人の僕が本物だとするなら。話は見えてくるかもしれない』
よくわからない会話だな。そんなの誰にでもある悩みだろう。偽る事は問題じゃないはず。まあ、俺も人との関わり合いに、一人称を『僕』となりすましている時点で、君に言えた義理はないか。
「じゃあ一緒に探す?偽りな僕で良ければ手伝うよ。僕のあり得ない話を信じて聞いてくれたから、僕も怜奈が探す正解って奴?それを探してみよっ」
「ううん、大丈夫。心配してくれてありがとう。涼は優しいんだね」
『無気力になっていく身体と思考、くだらない妄想に付き合いたくもない。何かいい言葉を探している僕は、きっと君に取っては偽りなんだろう、君が自分自身の妄想で殺されるくらいなら、いっその事、僕がここで殺してやってもいい』
冷静、傲慢、騒がしいく、醜い、本物。
「駄目だね、人を嘘つき呼ばわりしといて逃げるのは許せないな。いや、逃げることは自由だよ。でも今の怜奈は目を逸らしてるだけなんじゃない?手伝うって言ってるんだからさ、手伝わせてよ」
なんか、変だな。気持ちが揺らいでいる様で、冷静な、心。冷たくても、怒ってる?俺は、今なんで君に苛ついてる?
『君を見ると、唖然とした顔つきで僕を見つめている。僕の表情はきっと、今君を蔑む様な。そんな表情だろうか、話しながら進んでいた箸と口。弁当が底を尽きている事がわかる。対して、君はまだパンを一つも食べ切ってはいなかった』
「今日は卵焼きでお腹いっぱいかな、涼くん、先教室戻るから、また放課後」
「あぁ、、わかった」
『君を眺めていると、すぐに梯子を降り始めた君は消えた。言葉に重みがあった。僕はまた、初めて見る君の表情に苦しくなってる、食べかけの焼きそばパンに、君が食べる予定であった後二つ。そして僕に残したパン三つ』
「いや、全然食ってねーじゃん」




