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世界最強の竜、子育て始めました!?  作者: 蒼空花
第三章「継承」

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64.王との面会

 

 思いがけないヴェルとの再会に、少しだけ心を弾ませながら玉座の間まで向かう。これから出会う人がどれだけ悪人であろうとも、ヴェルとの約束があるから乗り越えられる気がする。そう思いつつ、扉の前に立つ。無駄に豪勢なその扉は、近くにいた人が重厚な音を立てて開いてくれて。

 すると、扉が開いた途端、声を掛けられた。それに反射で頭を下げて、次の言葉を待つ。


「ユーフェリア、一つ問おう」

「……はい、私に答えられるものならば」

「お前は納得して、育ての親の元から離れたか?」

「それ、は……」


 何が来ても嘘を吐くつもりだったのに、思ったよりも踏み込まれて思わず口籠もる。正直に言えば、納得はしていない。半ば引き剥がされたようなものだったから。

 けれど、正直に言う事が正しいとも限らない。不敬罪とか言われても困る。

 そう俺が考えあぐねていると、奥の方から萎れたフェル……ア?さんが出てきた。


「成程、どうやら我の推測は間違っていないようだ。

 ……すまなかったなユーフェリア。辛い思いをさせただろう」

「え、えっと……」

「困惑するのも無理はない。そもそも、フェルアのやり方が乱暴だったのだ。我はユーフェリアと、可能なら育ててくれたであろう人も連れて来いと命じたはずなのだが」


 え?と心の中で呟く。前々から思っていたけれど、もしかしてフェルアさんって……結構勘違いしやすい人?それか、もしくは思い込みの激しい人?と勝手に心の中で思っていたら王様?が、やっと面を上げよ、と言った。

 そうして、目線が赤色のカーペットから少しの段差を経て、大きな椅子の所までいく。

 その時、俺は思わず目を開いた。

 だって、その見た目は、間違いなく。


 ───俺と、そっくりなのだから。


「名乗るのが遅れたな。我はウァラメール・ノア・ヴェルーアという。血液上はお前の父親、という事になるな」

「はっ、はい。……ウァラメール、様?」

「っはは、まさか初めてお前から呼ばれる名が、それとは思ってなかったぞ」

 

 あ、と少し焦る。もしかしなくても返答間違えたかも。

 ウァラメール様は笑っているけれど、心なしか側近の人たちの目線が痛い。今にも何か罵詈雑言を言われそうなぐらいだ。

 

「まぁ良い。実際に育てたのは我ではないのだから、それは仕方ないだろう。

 ──それよりユーフェリア、お前を育ててくれたのは闇の元素竜『ヴェルノアール』様で間違いないか?」

「………っ、はい。間違いありません」

 

 そう俺が言うと、途端に当たりがざわついた。

 中には嘘なんじゃ無いか、とか、思い込んでいるだけでは無いか、という声が聞こえて来る。うるさいな、知りもしないくせに。

 少しモヤモヤしながら、それでも話の続きを聞く。


「……そうだ、ユーフェリアに一つ伝えておきたいことがある」

「はい、何でしょうか?」

「明日、戴冠式を行う。お前を我の後継者として認めようと思う」

「…分かりました。ありがたくお受け致します」


 本当に、と心の中で思う。本当に、敬語が難しい。どう言えば良かったの今の?

 それと同時に、成程とも思った。

 先んじてヴェルから聞いていた戴冠式。何とは聞かなかったけれど、この国の王様になる……ための……。

 ………え?

 ちょっと待って?と言いたくなったのを何とか堪え、先の言葉を待つ。すると、驚くべき言葉が飛び出した。


「とは言え、まだユーフェリアは若い。暫くは人生経験を積めば良い」

「え?それ、って……つまり」

「あぁ、ここにずっと縛る気はない。暇になったら帰って来てくれ」

「それで……良いのですか?」

「駄目な理由があるか?それに、我も竜化を克服した者の一人だ。寿命がそこらの人間とは遥かに違う。こう見えて、まだまだ我も若い……はずだ」


 そっと視線を逸らされて、あれ、と不安が少しだけ生じた。

 でも、もしかしたら、また。

 また、ヴェルと一緒に旅が出来るのかもしれない。

 そう考えて、沈んでいた気持ちが一気に浮上する。それと同時に、明日が楽しみになってきた。


「ありがとうございます、ウァラメール様!」

「礼は良い。お前の人生だ、好きに生きてくれ」

「はい!」


 目の前の、本当の父親に礼を告げて退出した。

 ──この時、俺は気付かなかった。

 あからさまに殺気を向けてくる、一人の人間に……。


♢♢♢


 自室に戻った俺は、ごろんとベットに寝転がる。隠しきれない嬉しさが、時々笑い声となって溢れ落ちた。

 本当に嬉しい。だって、だって。

 また、あんなに楽しかった日常が戻ってくるということで。


「わ、クラも喜んでくれるの?」


 俺の服のポケットに忍んでいたクラが、こっそり出て来て俺の近くで何かを伝えている。言葉はなくとも、それが喜びであることぐらい、流石の俺でも分かる。

 そんな風に、しばらくの間クラと遊んでいると、いつものようにご飯の時間を知らせる鐘の音が鳴った。

 今日で最後か、と思うと少しだけ愛着が湧いたここから離れるのも、どこか寂しい気持ちになる。でも、ここにはいつでも帰ってこれるから。

 ──うん、きっと大丈夫。


「じゃあクラ、俺、ご飯食べに行って──」


 その言葉の先が、言えなかった。何で?と思う前に、心臓と、腕に痛みが一気に走る。

 どうして……最近は無くて落ち着いたと思ったのに。

 何とか痛みに耐えながら立ち上がろうとすると、それも出来ない。全身に痛みが回っているような、そんな感じがして。

 

「っ、『治癒』…!」


 光魔法で痛みを無理やり無くして、立ち上がった。こんな魔法の使い方をしていたら怒られそうだ、なんて。

 ……あぁ、本当に。


「早く助けて──ヴェル」


 小さく、小さく、そう呟いた。


遅くなってごめんなさい……

いつも使っていたキーボードが壊れて、新しい物を買ったりしていたら、こんなにも時間が経ってしまいました。

本当にお待たせしてすみません!

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