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世界最強の竜、子育て始めました!?  作者: 蒼空花
第三章「継承」

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58.わがままと言の葉


「うぇ……」


 小さくそう呟く。俺の目の前には豪華としか言いようのない食事たち。どうやって反応するのが正解なのだろう。美味しそう!とかかな、いやでもお世辞でもそれは言いたくないかも。

 あれから夜になって、百歩譲っても晩ご飯に呼び出されたのはまだいい。良いけど、なんでここまで豪華なのだろうか。けれど、食べないというのも作ってくれた人たちに申し訳なくて。なるべくこの心の中の疑問とかを顔に出さないよう、食べ進める。

 けれど、あんまり今の俺はこの食事の感想は言いたくないので、周囲を見渡して誰がいるのかを確かめて気を逸らすことにした。


「相変わらず豪勢ね、ここは」

「ルクリーヴァ様にもユーフェリア様にも、ちゃんとしたのをお出ししたいですから」

「あら、そう言ってくれるのは嬉しいわね」


 そんな会話を俺の左右で水色と白っぽい金色の髪の人がしている。そして正面は空席。さっき近くの人に聞いてみたら、俺の母親もどきが座る席らしい。何故かは知らないけど寝込んでるらしい。俺の知ったことではないが。


「ユーフェリア様も美味しいですか?」

「っ、うん、美味しいよ?」

「そうですか、それは良かったです!」


 ぐぅ、言いたくないのに言ってしまった……不可抗力だよね、これは流石に?

 そう心の中で言い訳しつつ、ひたすら食事の時間が去るのを待つ。そうして体感数時間のその地獄の時間が終わった後、俺は光の速さで部屋まで戻った。

 ここしか俺の安全地帯のようなものはない。でも、ここも完全に安全とはいえない。

 はぁ、と一つため息をつく。することもないので大きすぎるベットでころころと転がっていると、ふと何かの視線を感じて窓の外を見た。


「────ヴェル?」


 懐かしい淀みのない、綺麗な魔力。

 それは間違い無く、ヴェルの魔力で。

 思わず俺は駆け寄って窓の外を見る。けれどそこには何もなく、ただ星空が広がっているだけで。

 

「……気のせい、なの?」


 ヴェルの魔力だけは何があっても認識できると自負しているのだけれど。もしかして疲れてるから、間違えたのかな。え、でも、それでも間違えたくないなぁ。

 そう思いつつ、今日は早めに眠ることにした。元々夜遅くまで起きるのは得意じゃないし、待っていても助けは来ないと知っているから。

 

「おやすみなさい、ヴェル」


 昨日は伝えたその言葉。

 今日はもう届かないその言葉。

 明日もきっと、いつも通りの「おはよう」を伝える。

 ───例え、届くことなんてないと知っていたとしても。


♢♢♢


「今日はユーフェリア様の治療をしようかと」

「……俺の?」

「はい、そのままでは『竜化』が進んでしまいますので」


 『竜化』。そういえばヴェルもそんな事を言っていたような。

 でも、正直俺はこれを受け入れつつある。ヴェルの隣で一緒に旅ができないなら、これに身を蝕まれてしまっても良い。この生活から抜け出せるのなら、尚更。


「具体的には、適応する元素竜を見つけるんです。ここに六体の元素竜の血液が入ったガラス瓶がありますので、一つづつ持っていただければ、どれかは輝くと思います」


 何かを言っている水色の言葉を受け流しつつ、俺は目の前の小さな小瓶たちを見た。


 燃えるような赤色をしたもの。

 少し冷気を放つ水色のもの。

 湖のような深い青色を揺蕩わせているもの。

 透き通った黄緑色をしているもの。

 静電気らしきものを放つ淡い紫色のもの。

 そして、ほのかに光っている白色のもの。


 これがもしかして元素竜の血液なのだろうか。見た目、かなり派手だなぁ。これ一列に並べたら目が痛い気がするんだけど。

 そこでふと思う。さっきあの水色は六体と言った。でも元素竜は七体いるはずだ。

 ───じゃあ、残りの一体は?

 そこまで考えたその時、どうかしましたか、と声をかけられて思考を強制的に中断された。早く持てと言わんばかりの目線。いやそこまで強くないか、なんで持たないのかな?みたいな疑問の目に見える。

 ……あぁでも、俺はきっとこの内のどれかと適応するのだろう。だって俺の魔法の適性は風と光なのだから。

 

 わがままは、あまり言いたくなかったけれど。


「……出来るなら───」


 小さく、小さくそう呟いて、俺は六つの小瓶を持つために手を伸ばしたのだった。


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