51.謹賀新年を迎えて
もちもち、と今年も変わらず、俺が適当な材料で適当に作っている団子を頬張るグリュンを見つつ、時計にも目をやる。
「別に、寝てても良いんだぞ?」
「やだ!今年こそはヴェルと年越しする!」
「無理してないなら良いんだが……」
今年こそと言いつつ、もう何年も起きれていないグリュンを見て、何とも言えない気持ちになる。今年も無理なんじゃないか?と言う気持ちと、今年こそもしかしたら、という気持ちが織り混ざった感情。
「ん、今年のお団子何か変えた?」
「いや毎年材料は違うんだが」
「そう?でもなんか美味しい……」
材料は毎年違うものの、作り方は変わっていないはず。となればまぁ、素材が良かったのか?それしか考えられないよな。
そんなことを考えていると、丁度良く夜も更けてきていて。
す、と視線をグリュンの方に向ければ何というか、もう無理なんじゃないかと思うような様子で。
「………グリュン」
「っ、いやまだ大丈夫……」
そう言いつつもかくん、と揺れる。駄目だな、これ。
仕方なく、というか毎年のように半分夢の中のグリュンを抱き上げてベットに運ぶ。その時に去年より大きくなったな、とかそういう事を思ったりする。
「ん……ヴェル……」
「はいはい、まだ起きてるんだよな」
「うー……」
寝言か返事かよく分からない声が返ってきた後、すやすやと穏やかな寝息が聞こえる。もう何度目か分からないこのやりとりに思わず笑ってしまう。
「お」
鈍い鐘の音が鳴り響く。どうやら新年が訪れたようだ。
鐘の音以外、何も変わっていないその世界にそっと息を溢した。
今年こそ何事もなく、やっていければ良いのだろうけれど、きっとそんな事はないだろう。
「祝いの言葉は……まぁ起きてからで良いか」
先ほどから変わらず穏やかに眠るグリュンを見て、ささやくように心の中で呟いた。
───明けましておめでとう、グリュン。




