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世界最強の竜、子育て始めました!?  作者: 蒼空花
第二章「世界を巡る旅へ」

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38.帰還祭にて


 スーウェンに武器の依頼をしてから今日で一応、一週間が経つ。何も音沙汰はない。

 別に急いでいるわけでもないので良いのだが……こうなってくると本人の体が心配になってしまう。彼は飲まず食わずでやってしまいそうな、そんな気がしている。

 と、まぁそうこうしているうちに、先に町で行われる祭りの方が来てしまった。


「ヴェル、早く行こう!」

「分かったから、部屋から押し出そうとするな」

「えー」


 コツコツ、と二人分の足音を奏でながら階段を降り、外に出る。

 すると、目の前に広がっていたのは、多くの花々で飾られていて華やかになっている街並みだった。

 昨日まではこうじゃなかったよな、と思いつつ、適当に街を回ってみる。

 しかし花で飾られている以外はいつもの街で、祭りかと問われれば首を傾げそうなぐらい何もなかった。


「じゃあ何なんだろ、この飾り」

「さあ、他にまだ何かあるとしか……」

「……ん?」


 ふと何かに気付いたらしいグリュンが突然首を傾げる。その視線の先を見ると、街の掲示板に貼られている一枚の紙。ここからでは遠くてよく見えないが、どうやらこの祭りのことが書いてあるように見える。

 何故か途端に俺の後ろに張り付いてしまったグリュンを疑問に思いつつも、近づいてその紙を見てみる。


「勇者の……帰還祭?」


 何だ勇者って。俺の竜生の中でも聞いたことがない。でも帰還祭ということは人で、何らかの職業を指しているんだろう。

 そう勝手に結論づけて、しがみつくグリュンはそのままに再び歩き始める。

 

「なぁグリュン、そろそろ離れてくれないか?」

「やだ、なんか、怖い」

「怖い……?」


 怖い……って何かあっただろうか。

 仕方がないのでグリュンをおんぶするように体制を変えて、いつの間にか人だかりができている街の大通りの方へと向かう。


 そして俺たちが着いたと同時に湧き上がる歓声。それに釣られるようにして見上げると、笑顔で手を振る金髪碧眼の人がいた。

 何気なく、一瞬だけ目が合う。途端に感じた恐ろしいほどの嫌悪。

 それは相手からではなく俺自身のだと気づくまでに、そう時間はかからなかった。


「あいつは……関わらないほうがいい、か」

「……ヴェル、もう、通り過ぎた?」

「あぁ、もう大丈夫だ」

「良かった……」


 心の底から安堵したような声が聞こえて、俺も少しだけ安心する。ただ、それと同時に理由も気になるところではある。

 それでも、心の中に残る嫌悪はすぐ消えるはずもなく。

 もやもやとした気持ちを抱えたまま、俺はグリュンを連れて逃げるように宿へと戻った。











「───あれが、」











♢♢♢


「疲れたぁ……何なのあの人?」

「さぁ、俺も知らないが……ただ少なくとも、関わりたいとは思わない」

「良かった、ヴェルもそう言ってくれて」


 帰ってきて、一安心した後にそう交わす。

 森を出て来てから疲れたと思うことが多くなってきたような気がする。ただそれが、生きているからだ、と言われれば何も言えないのだが。

 その時、こんこん、と誰かがドアをノックした。


「はーい、誰だろう?

 ……って、あぁ!」

「よ、久しぶり。元気だったか?」

「その言葉そのまま返そうか」


 ちら、と顔を覗かせたのは、何とスーウェンで。

 しかし、前見た時よりも若干痩せているような気がして、俺はそう言ったのだった。


「俺が来たのは他でもない、あんたたちの武器が出来たぜ」

「やったー!カッコよく出来てる?」

「ああ、俺が保証しよう」

「ヴェルより?」

「それは……保証できねぇなぁ」

「どんな会話してるんだ、二人とも」


 俺を引き合いに出すのはやめてくれ、と言ってもやめそうにない顔で返事をされたので多分また繰り返すな、と思った。よくある事ではあるが。


「じゃあ明日にでも取りにくるか?俺はいつでもいいぜ」

「まぁ明日取りに行くよ、グリュンが待ちきれ無さそうだしな」

「了解、準備しとくわ」


 そう言ってスーウェンは帰っていった。

 勇者のことも気になるが取り敢えず、武器を受け取りに行くことにしようか。

 こうなってくると身を守る手段はいくらあってもいい。そう思ったのだった。



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