37.相棒探しの旅
元気になったグリュンを連れて、今日は一応武器を買いに行くことにした。俺たちはなくても何とか生きていけそうだが、街に馴染むという点では持っていた方がいいだろうと考えたからだ。
「どんなのがあるんだろ……」
「俺たちは比較的、普通の武器を引いてそうだよな」
「片手剣と双剣だもんね」
そんな会話をしていたのが数分前。未来の自分に教えてあげたかった。
───全然普通じゃなかったぞ、と。
♢♢♢
「ここも駄目だったな……」
「何処行っても槍とか斧とかばっかり……」
「俺たちがおかしいのか、こうなってくると」
色々歩き回って早くも数時間が経過した。それなのに、気にいる武器どころか適正の武器さえ見つからない。
何故この国は槍と斧しかないんだ……?昔の頃はどちらかというと少なかったのだが。
これが文化の発展と衰退なのか、と思いつつ、この町で最後の武器屋から出た。
そうして途方もなくグリュンと街を歩いていると、ある一軒の鍛冶屋の前を通りかかる。本当にただ通り過ぎようとした時、何者かに呼び止められた。
「待ちな、あんたたち」
その声に反応して俺が振り返ると、そこには俺と同じぐらいの背丈の青年が立っていた。淡い緑色の髪を少しだけ伸ばして後ろで一括りにしている、その柔らかそうな姿からは想像はできないが、手袋やエプロンを着けているのを踏まえると、この人は鍛治師なのだろうか。
「もしかして武器、探してないか?それも片手剣と短剣」
「そうだけど、何で分かったの?」
「俺の感……とは言わないが、加護のおかげだな」
へぇ〜と感心しているグリュンの横で、その青年を観察する。俺の悪い所なのだが、その人が信頼に足るかを知ろうとしてしまう。それはグリュンも知っているので、新しい人には積極的に関わってくれるのだが。
そろそろ申し訳ないのでどうにかしないとな、と考えていると、謎の青年はこう切り出した。
「なぁ、もし良かったら俺に武器、作らせてもらえないか?」
「良いですけど、何故そこまで?」
「ただ俺が、あんたたちに作りたいだけだな!」
爽やかに言われて少し良心が痛くなる。そして青年は俺の敬語を外せとちゃっかり言ってきた。意外と抜け目がないらしい。
♢♢♢
「なんかこう、特別感を出す為に珍しい物とか持ってないか?」
武器の形や色の相談となって、大方決まった時に青年──スーウェンはそう言った。彼は武器への愛情が強く、それ故にこだわりも強かった。
思わず二人で顔を見合わせる。ないよな?というような視線を交わした後、ふと思い出す。ただし何でも良いというのなら、なのだが。
「……何でも良いなら候補はある」
「お、良いぜ、何を見せてくれるんだ?」
俺は土属性で編んだ、無限収納付きの鞄から拳大の漆黒に光るものを取り出す。光の角度によっては紫紺にも見えるそれは、紛れもない俺の鱗だ。
毎年訪れる鱗替えの時期にゴロゴロと手に入るので処分に困っていたのだ。
使ってくれるならありがたいと思いつつ、スーウェンの方を見ると、驚きつつも何処かやる気に満ちていた。
「これはまた……腕が鳴るものを持ってきたな、これは竜の鱗か?しかも傷もない」
「作れそうか?」
「あぁ、任せろ!ちなみにこれ、一枚しかないか?」
「……幾らでもあるが」
「なっ……本当に凄いなあんたたち」
そう言いつつスーウェンは目を輝かせる。
そうして彼は、武器が出来たら宿まで行くからと言い残して工房に早くも入っていってしまった。取り残された俺とグリュンは再び顔を見合わせる。何となく二人して笑みが溢れた。
本当にあの人は武器が好きなのだと、作るのが好きなのだと、そう感じたのだった。
「うわ、外真っ暗」
「結構長い時間居たからな……」




