33.純白の封筒
「うわぁ……面倒だな」
「どうしたのヴェル?」
「これ、見てくれないか?」
俺がグリュンに差し出したのは純白の袋に金で封じられた、見るからに高貴そうな方々が送ってきた封筒だ。流石にまだ中は見ていない、が。見ておかないと厄介なんだろうなと、今までの人生経験が物語っている。
ただ俺たちはまだ何も目立つようなことをしていない。と思う。
そこでふと、封筒の裏を見ると、グリュン宛であることに気がつく。
未だ封筒を掲げて珍しそうにしているグリュンにそれを伝えると、明らかに驚いたような顔をされた。
「え、何で!?」
「さぁ、それは分からないが……開けてみるか?」
「───お願いします」
「何で敬語になった?」
違う意味で覚悟を決めているらしいグリュンの態度に思わず苦笑いする。
ぴっ、と風魔法で封を切って中身を取り出し、グリュンに渡した。すると凄く、みるからに嫌そうな顔を見せる。
「何が書いてあった?」
「うーんと……見たほうが早いかも」
ぽい、と渡されたそれを受け取って読んでいく。
『グリュン・ノワール様及びその兄君様へ。至急王城に参られたし。』
「……これ別に言ってくれても良かったんじゃないか?」
「ヴェルはお兄ちゃんじゃないもん」
「変な所で引っかかってるんだな……」
謎のこだわりを持つグリュンに少し笑ってしまうが、それよりもこれだ。てっきり貴族かと思っていたら王族な可能性が高くなった。嫌すぎる。……しまったつい本音が。
流石に、か。行かなければならないか。そう思ってグリュンを連れて行こうとしたら器用にも床にしがみつかれる。
「いや頼むから、一緒に来てくれないか?」
「やだ行きたくない、めんどくさい」
「何で俺以外に対して反抗期を発症してるんだ?」
「えぇ……行かなきゃダメ?」
「まぁ招待されてるのはグリュンだからな」
そう言うと嫌々ながらも床からはがれてくれる。
それにありがたく思いつつ、二人で王城へと向かったのだった。
♢♢♢
「おっきいお城……」
「王様が住んでるからな」
キラキラと目を輝かせてお城を見上げるグリュン。興味がありそうだと思った。綺麗系の建築がどうやら好きなようで、いつも目を輝かせていたからな。
そう考えていると、近くにいた衛兵が声をかけてくれた。
「失礼します。ノワール様ご一向でしょうか」
「はい、そうです」
「では私が案内させていただきましょう」
「ありがとー」
重低音を響かせて扉が開く。あまり聞きなれない音に少しグリュンはびっくりしていたが、すぐ慣れたようだった。
寡黙そうな門番から何とかして俺たちの話を聞き出すと、どうやら王様はグリュンの加護に興味があるらしい。なるほど、俺はその保護者か。
けれど、やっぱり俺の加護も気になると言うことで一緒に呼び出したらしい。
「ここが王の間です。それでは私はここで」
「すみません、ありがとうございました」
「いえ」
颯爽と去っていく。こそ、とグリュンが俺に耳打ちをした。
「どうした?」
「ヴェルも大きくなったらああなる?」
「……おそらくあの人は俺よりも年下だ」
「えぇ!?」
嘘でしょ、みたいな顔をされる。確かにグリュンには俺の正確な年齢を教えたことはなかったかもしれない。そして人間の寿命のことも。
色々問題が山積みだなぁとは思うものの、とりあえずは前の問題に集中することにしたのだった。




