22.しばしの休息と
「ん、もう熱下がったな」
「本当!?」
「ああ、だが大事をとって今日は安静にしておけ」
「えぇー……」
凄く不満そうな声を漏らすグリュンに少し苦笑いする。今となってはこんなに元気だが、一週間も熱が下がらなかったのだから油断できない。
というか、本当に何したんだ?変なもの拾ったんじゃないだろうな?
そう思いつつも、グリュン用にリンゴを持ってきて、うさぎのように切っていく。
「すごい……可愛い!」
「グリュンにも後で教えようか?」
「うん!」
ただ、グリュンが可愛いといってなかなか食べなかったので、普通に切ったのも皿に盛る。そっちの方はしゃくしゃくと美味しそうに食べていた。
その後は全く寝ようとしないグリュンの話し相手になったり、簡単な遊びをしたりして時間を過ごす。そうしてやっとグリュンが寝た頃にはもう日が傾き始めていた。
一応もう一度、グリュンの額に手を当てて熱を測る。
その時若干、魔力の乱れを感じて首を傾げた。取り敢えず治してはおいたが、もしかしてこれが原因なのだろうか。それならまぁ、長引いた理由も分かる。体内の魔力が乱れていたら誰でも体調を崩してしまうからだ。
───問題なのは、何が原因で乱れたのか、だ。
幼い子供ならまだしも、グリュンは魔力調節が下手なわけではない。だとすれば、意図的に乱した人がいるはず。そう考えていたその時、あることに気付いた。
「あ、これは…………」
ふ、と少し笑みが溢れる。成程、そういう事か。
つまりグリュンは、ただ遊び過ぎて魔力の調節を怠っていたからこうなったのか。
要するに疲れ。──全く、グリュンらしい。
いつまで経っても心配が尽きないな、と思いつつも、その心配を含めたこの日々が愛おしい。おそらく俺の手を握っていた方が魔力が安定したのだろう。だから寝ている間一生離さなかったわけだ。
人間の世界には親にとって、子供はいつまで経っても子供だという言葉があるが、本当にその通りだと思う。
グリュンは大きくこそなったものの、まだまだ子供のような無邪気さがある。
「────いつまでいてくれるんだ?」
そっと、そう呟く。
いつかは来る旅立ちの日。
ずっと、ここにいてくれる筈がない。グリュンはきっと、いつかここを出て行くだろう。
そんな日が訪れるまで。俺は、溢れるほどの愛情をグリュンに与えたい。
ここで育って良かったと思えるように。
グリュンの、思い出になれるように。
「グリュン、ありがとうな」
俺の所に来てくれて。色々な思い出をくれて。本当の親ではないけれど、グリュンは俺に様々な感情を芽生えさせてくれた。
「──元気になったらまた遊ぼう」
そう俺が言うと何となく微笑んだような表情を浮かべたグリュンに釣られて、俺も少し微笑んだ。




