20.穏やかな午後
「あれ?」
昼下がりに俺が呑気に住処の周りを散歩していたら、木の下で昼寝をしているヴェルを見つけた。珍しいどころか滅多に見ないその光景に俺はそっと駆け寄った。
俺とは違って綺麗な寝相ですやすやと眠っているその姿は絵になると思った。俺だったら絶対買う。家宝にしたい。あ、でも家宝も何も本人が家宝になるのかな?
そんなしょうもない想像をしているうちにヴェルが横に寝返りを打った。
「おぉ……めっちゃ珍しい……」
暇さと珍しさで包まれて何となくヴェルの髪で遊ぶ。
俺と違って真っ黒でサラサラな髪に若干羨ましく思うものの、穏やかな気候とヴェルの寝息でかき消されていった。
その後も頬をそっとつまんでみたり、じっと観察してみたりとヴェルも周りでちょこまかと動いてはみたものの全く起きる気配はなく。
見ているこちらが、だんだんと眠くなってきてしまった。
「俺も寝ようかなぁ」
あ、でもどう寝よう。もう良いかなヴェルの上で。俺重くないよね、多分。
そう思いながらヴェルの上に頭を乗せる。
その瞬間ぐえ、と聞こえたような気がしたが気にせず俺も一眠りすることにした。
♢♢♢
「お、おも……?ってグリュン」
「んむ……」
「寝てるか、まだこれ」
というかいつの間に?俺が寝始めた頃にはいなかったよな?それにしても何気に重い。腹の上に乗られてるからか?
などなど色々な疑問が浮かんでくるものの一旦深呼吸をして落ち着くことにする。
取り敢えず。
俺は何でグリュンに気が付かなかったんだ……。
これじゃあ何かあった時に起きれないじゃないか。いや、何かある時はあっては欲しくないけれども。
「というか何でここで寝てるんだ……」
「む……」
「あぁごめん」
グリュンに不服そうな声をあげられたので一旦抜け出そうとするのをやめる。
それより今気付いたが、なかなかグリュンは俺の上で寝るためだけに寝づらそうな体勢で寝ているな。
こっちの方が楽なんじゃないか、と俺の腕の上にそっと移動させる。
そして移動させたあとに気づいた。自分の首を絞めてしまったことに。
「俺は何を……」
「……すぅ」
「満足そうだな」
仕方ない、俺ももう一眠りするか。
そう思って結局俺もまた眠ることにした。
♢♢♢
「何してるんだ、この二人は……」
仲良さそうに眠るヴェルとグリュンを見てアリアは若干呆れたようにそう呟いた。アリアは森に住む二人の気配が突然消えてしまったから心配で見にきたにも関わらず、その真相がただ昼寝しているだけだったとは、とため息をついた。
「まぁ、幸せそうだ何よりだ。
─────ただまぁ…………」
家族というか兄弟みたいだな、とアリアは呟き、そっと春の柔らかな葉で布団を作って去っていった。
そこではすやすやと穏やかに、そして幸せそうに眠る二人がいるのだった。




