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【完結済み】スーパーハニーになりたくて。 ~ポンコツ令嬢はスパダリ製造機~  作者: 西九条沙羅
第三章

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⑮ あ~、いい顔だ!


ジュリエットの話を聞いた会場は、誰も言葉を発せずにいた。

サタネラの学生時代を知っている者は、ジュリエットの手口と彼女の見た目だけで、それが事実だと分かる。そしてサタネラの学生時代を知らない者も、会場の入り口で話すジュリエットとサタネラが瓜二つのため、疑いようが無かった。


つまりここに、元王太子妃の罪が明らかになったのだ。



あまりにセンセーショナルな内容に、会場に居た誰もが現実感を失い、どんどん劇場で劇を見ているような錯覚を起こし始めていた。

サタネラがコンフラン家の面々を睨み付けるだけで何も出来ない事を、愉快に眺めている国王とアデルでさえも、出演者の様に感じ始める。




「その後は、仕事もせずに贅沢三昧で、お姉様が嫁いでからお姉様に仕事を押し付けていいご身分でしたね。

まぁその後すぐに王太子妃の位を奪われて、真っ逆さまの転落人生でしたね。ぷひひ」


うっかり下品な笑いが出てしまったアリス。後ろから夫人の熱い視線を感じて咳払いをして誤魔化す。


「こ、コホン・・・。さて。

そしてもう元の地位に戻れないと気付いた彼女は何をしたと思われますか?」


気を取り直したアリスが大げさな身振りで辺りをぐるっと見渡すと、何人かの貴族が最近起こった出来事と結び付けて恐れ慄いた。



「まさか・・・!」

「ええ、そのまさかです。国王陛下を毒殺しようとしたのですよ」

「私は何もしていないわ! どこに証拠があるっていうのよ!」


サタネラが今までの儚げな雰囲気をかなぐり捨てて、可憐さを微塵も感じさせない表情で大声を張り上げた。

その豹変した姿に、多くの貴族たちが息を呑む。しかし当の本人は気付いていない。

アリスが「まぁ、怖い」と可愛い子ぶって、両手で作った可愛らしいグーの手を口元に持っていき、ルイに擦り寄ったものだから、サタネラはイライラ絶頂だった。

見事なぐぬぬ顔に、侯爵と夫人はアリスの後ろで軽くグータッチをして喜び合った。



「あなたは証拠証拠と本当に煩いですねぇ。こちらが証拠もなく断罪するわけがないではありませんか」



アリスが呆れた様にサタネラに返事をしながら軽く左手を上げると、一人の女性がアリス達に近づいて来た。落ち着いた色のドレスを着たその女性は、サタネラの腹心としてずっと側にいてくれたベレニス・モンペリエ伯爵夫人であった。



「あなた! 裏切ったの!?」


サタネラが唇を噛みしめながら夫人を睨みつける。それに対して、モンペリエ伯爵夫人は鼻で笑った。


「わたくしは裏切ってはおりませんわ。初めから、あなたの側に居た事は無いのですから」


そう言って夫人はアデルに向けて軽く腰を落として挨拶をした。それに対してアデルも目礼で彼女に微笑みかける。

その親密なやり取りにサタネラは二人をこれでもかと睨みつけた。


確かにモンペリエ夫人は、自分より年下で身分の低いアデルに、未来の王太子妃の座を奪われた事を憎んでいた。しかしそれは十代の多感な時期だけの話である。

その後婚約者となったアデルがラファエルに辛く当たられた事や、サタネラの尻拭いをさせられている姿を見て、自然とその気持ちは消えて行ったのだ。

さらに自分が、身分は低くとも優しい夫と夫婦になり幸せを噛みしめ始めると、不思議な事にアデルに対して少しばかりの罪悪感を持ち始めた。

王太子妃候補の中で、アデルがいなければ自分が筆頭だったからだ。本当は候補に入る年齢でなかったアデルが入らなければ・・・。


そうして罪悪感を消化できずに悶々と過ごしている時に、文官として働いている夫を通して、コンフラン侯爵から打診を受けた。


アデルを嫌っている仲間として、元王太子妃に近づいて欲しいと。


自分の安全の為に断ろうとしてくれる夫を宥めて、彼女は久しぶりにアデルと対峙し、そして彼女と国の為に、サタネラに近づく事を引き受けた。




「わたくしは五十年前にアメリ王女が降嫁しましたトロワ公爵家の長女として生を享けました。王家に連なる者としてこの国の為、王家の為に嘘偽りなく発言する事を誓います」


夫人は毅然と王族席に宣誓した後、侍女から小さなボックスを受け持った。

その中に入った小さな瓶を取り出し、まずは王家に、そして会場に居る全ての人に見える様にそれを高く掲げてぐるりとその場で一周する。


「こちらはサタネラ様より、国王陛下に飲ませる様にと渡されました。

私はこれを王宮の侍従長と王太子妃様に渡し調べてもらいましたところ、致死性の高い毒である事が判明しました。

サタネラ様曰く、魔女の血筋の母親から、男性を誑かしたい時に使う媚薬と共に受け継いだそうです」


あまりの内容に多くの人が恐れ慄く。


一気に会場の雰囲気が剣呑となり、サタネラと子爵は身を寄せ合って周りに視線を送った。味方を探すように・・・。



「う、嘘よ。・・・私はそんな事、あの人に頼んでいません。彼女が私を陥れようとしているんだわ・・・」



サタネラの視線がアデルに向いた瞬間、今までの恨みを込めるかのようにアデルに食ってかかる。



「あの女が私を陥れようとしているんだわ!」


サタネラに指差されたアデルは、侯爵にそっくりな顔で、彼女を鼻で笑った。


「もうどん底まで落ちているあなたを、何故わたくしが態々陥れる必要がございまして?」



その一言で、誰もが真実を知る。

蔑むようにサタネラと子爵を見つめる貴族達。


まだ抜け道はあるとサタネラが思考をフル回転させている姿を見て、アデルがサタネラを地獄に突き落とすべく椅子から立ち上がり、一歩前に出て最後の仕上げをする。



「あなたがモンペリエ夫人にその毒を盛る様に指示を出した時に、あなたは夫人と二人っきりだと思っているようですが、実は一人のメイドが部屋にいました」

「メイドの発言には何の効力も無いわ」

「確かに。平民にはありませんが、メイドが貴族であれば効力はありますよ。

まぁモンペリエ夫人一人でも十分なのですが、あまりにもあなたが陰謀説を唱えるものだから・・・」



困った子を宥める様にアデルが優しく話し出す。しかしその腹の中は真っ黒である。



「そのメイドは、モンペリエ夫人と同じ様に、あなたの一挙手一投足を監視するためにメイドに扮してくれた、伯爵夫人であり王立騎士団の女性騎士でもあります」


アデルがそう言うと、侯爵側に立っている一組の夫婦が国王一家に向けて軽く目礼をする。その女性が、いつも自分についてくれていたメイドである事に、今更ながらにサタネラは気付いた。いつものお仕着せとは違い、華やかなドレスに化粧をしたその女性は、確かに貴族であったのだ。



もう言い逃れが出来ない事に気付いたサタネラが膝を突く。


しかし子爵はそんな娘を助け起こす事もなく、一歩後ずさる。


サタネラが犯した罪は彼女自身の罪で、自分は関係無い。そんな思いからくる行動であるが、彼の罪も既にバッチリと証拠を押さえられており、バレバレである。



「捕まえろ」



侯爵がそう指示を出すと、騎士達が子爵とサタネラを後ろ手に縛り上げた。


「な! なんで私まで! 罪を犯したのはサタネラだけだろう!?」


同じ様に後ろ手に縛り上げられ膝を突かされた子爵が、侯爵を見ながら喚く。そんな子爵を汚物を見るかの様に見下ろした侯爵は、どうでも良さそうに呟いた。



「お前が帝国と手を組んで、この国の情報を売っていた事はもう調べがついているし、証拠も押さえてある。連れていけ」



(((えええええ~~~~!!!)))



サタネラに比べてサラッとした断罪劇に、だけどそれと比例しない罪の大きさに、会場に居た貴族はおったまげた。


「お!っとその前に」



お楽しみを思い出した侯爵が良い笑顔でサタネラに近づいた。呆然としていたサタネラは、侯爵が近寄ってきた事に驚いて怯えた。



「あなたに紹介したい人がいたんですよ」


そう言って一人の女性に視線を送ると、その女性がサタネラの傍に来た。誰だかわからずに呆けるサタネラに向けて、その女性が挨拶をする。



「お久しぶりでございますわね、サタネラ様。私、現在コルドバ王国のサバデイ侯爵家に嫁いで名前が変わりましたが、旧姓はグルノーブルと申します」



豪華なドレスに身を包み、たおやかに話すその女性の横に一人の男性が並んで、彼女の肩をそっと優しく抱いた。その行動一つで、彼女が夫にどれだけ愛されているのかが見て取れる。


「わたくし、あなたにお礼を言いたくて。あなたのおかげで夫に出会えたのですから」


訳がわからず視線を泳がせるサタネラの視界に、ニマニマと楽しそうな侯爵の笑顔が映り、彼女は嫌な気がした。


「覚えておられませんか? あなたが、同じ名前の女がいるのが嫌なのだと取り巻きにわたくしを暴行させようとしたために、トラウマで学園に通えなくなってしまった、サタネラ・グルノーブルでございますよ」



その瞬間のサタネラの表情を、侯爵がキラキラした笑顔で見ていた。

そしてしゃがみこんだ侯爵が、サタネラと近しい者にだけ聞こえる声量でサタネラを地獄に落としにかかる。


「あなたが陥れたもう一人のセリア・リヨン伯爵令嬢。覚えておられますか? マノン様がお亡くなりになった後に、アンリ殿下の婚約者になった伯爵令嬢ですよ。彼女も、今は愛する男性と結ばれて幸せになっておりますよ。

不思議ですね。

あなたはあの時、自分の欲望のままに人を陥れたのに、陥れられた二人が、あなたが地獄に落ちる時に幸せになっているだなんて・・・」



侯爵の一言で、自分の手から滑り落ちた幸せが、誰かに奪われたような錯覚に落ちたサタネラの瞳には、絶望の色が浮かんだ。


それを見た侯爵がサタネラの顎を掴んで顔を上げさせる。



「あ~、いい顔だ!」



恍惚とした、満足げな表情でそう言った侯爵は、車いすの老人に良く見える様にサタネラの顔を向けさせ、無邪気な少年の様な表情で「ね?」と、老人に笑いかけた。


その瞬間、アデルも恍惚とした表情で侯爵を見つめた。

アリスはおしっこをちびってしまわない様にキュッと骨盤底筋に力を入れて、侯爵を食い入るように見ながらルイに軽くしがみ付いた。

ルイも恐ろしい物を見た表情で、侯爵から視線を逸らせず、ごくんと生唾を呑みこんでアリスを抱き締める。


そんな子供達と夫の表情を見て、コンフラン夫人は小さくため息を吐いた。




騎士が子爵とサタネラを立ち上がらせると、今まで黙って座っていたアンリが静かに立った。

ラファエルは、そんな父の姿を心配そうに見つめる。



「皆に、聞いて欲しい」



影が薄く、生の喜びを感じられなかったアンリ。


全てを失ったあの日から、初めて大きな声を出したなと、彼は思った。


遠くの、会場の端にいる貴族達も全員が自分に向いている事を確認してから、アンリは誰の耳にも届くようにはっきりと声を出した。



「私と、マノン・シャンパーニュ公爵令嬢は、ずっと恋人同士だった。

婚約者になる前からだ。

王妃として相応しい人を愛してしまったから、私は王太子になった。

彼女の横に並ぶためだけに・・・。


私が愛したのは、彼女だけ・・・」




静まり返った会場に、アンリの声が響く。


彼は前を向いているが、何も見ていなかった。彼の目には、もう何も映っていないのだ。




「だからどうか、学園に居た時に、私とこの女が恋人同士だったと噂を聞いて、信じた人に、知っていて欲しい。

その噂は嘘で、マノンにはこの女を害する理由は無かったのだから、虐めも無かったのだという事を。

マノンは高潔な女性で、虐めなど姑息な事はしないという事を。

弱きを守り、いつだって毅然と前を向いていた、そんな女性だったという事を・・・」




会場に居る貴族は気付いた。


アンリの目には何も映っていないのでは無く、彼の目にはマノンしか居ないのだと・・・。



「同級生たちで、この会場に居ない人がいたら、その人にも伝えて欲しい。


あなた方の記憶の中だけであったとしても、私がこの女を愛していたという出鱈目な過去が残る事は、私には耐えられない」



アンリの瞳から涙が一粒零れた。


まだ十代のマノンが、学園の制服を着てこちらに笑いかけている姿が、視線の先に見えた。




『アンリ・・・』






彼女の声も、全てが鮮明に蘇って来た時、アンリは立ち尽くしたまま滂沱の涙を流した。





「私が愛したのは、マノンだけ」









子爵とサタネラが連行されていくのを、車いすの老人はずっと眺めていた。



「宰相・・・」



国王が車いすの老人にそう声を掛けると、彼は微かに笑ってシャルルに顔を向けた。


「やっとこれで、天国に行けますよ。妻とマノンが待っておりますでしょう」

「時間がかかって申し訳なかった」


そう言って国王が頭を下げた。彼が公式に謝罪した事を意味する。

現在の宰相が小さく息を吸うのを耳にして、前シャンパーニュ公爵は笑ってしまった。


「陛下。それは宰相と相談してからするべき態度でしたな。こんな所で謝罪してしまえば公式になってしまいますぞ。

あなたは昔から宰相泣かせですな。

・・・あと、私はもう宰相では無いので、その呼び方もどうかと思いますがな」



辛辣な父親の言葉に、車いすの後ろに立っている現シャンパーニュ公爵も苦笑が漏れる。そして口を開いた。


「陛下、謝罪の必要はありません。こちらこそ感謝したい。


アンリ殿下、これほどの時が経っても、まだ娘を想ってくださって、感謝しております。

いつか、あの子の墓に来てやって下さい。娘も喜ぶでしょう」




公爵は瞳を涙で滲ませながら、泣き続けるアンリと視線を交わした。

彼らの目には、あの頃のマノンが笑っているのが見えたのだろう。



公爵は王家に、そしてコンフラン家の面々に軽く目礼をして、車いすを押して会場を後にした。




車いすが扉の向こうに消えるまで、アンリは涙を拭いもせずに見つめ続けた。




そしてそんな父の姿を、ただ悲しそうに見つめるラファエル。



母親が犯罪者として捕まり、父親は彼が存在している事さえも気づいて居ないかの様に振舞う。


初めて父親という名の存在を知った日から、自分を見てくれないアンリは、ラファエルに取って心のしこりでしかなかったのだ。


椅子に座ったまま、目の前の愛憎劇を他人事の様に、傍観者の様に見るしかなかったラファエル。



アデルはそっとラファエルの手を握った。

そしてラファエルが振り向けば、女神の様に美しい微笑みで、そっとある方向にラファエルの視線を誘導する。

そこには、いつの間にかアリスの腕の中にフィリップがいた。


アデルが侍女に頼んでいたのだ。きっと彼が、自分の存在の意味を見失う瞬間がある。


その時に、彼がもう手にしている事を気づかせる為に。



アリスの腕の中で、周りの状況など全く我関せずにフィリップが眠っていた。

そして、アリスとルイ、コンフラン侯爵夫妻がラファエルに笑顔を向けていた。




両親の愛を得る事は出来なかったけど、彼にはもう大事な家族がいるのだ。



「僕の家族は美形揃いだから、キラキラして見えるね」




ラファエルがそう言って笑ったので、アデルも「そうね」と返事をした。


彼の目が涙で幕を張っているから、彼らがキラキラと見えるのだ。




「終わったのよ、ラフィ」


「終わったね」


「いい国にしましょうね。私達の愛する息子に、平和な国を残せるように・・・」




アデルはそう言って、ラファエルの肩に頭をもたれかけた。


その重みが、自分が受け継いだ重責なのだとラファエルを感じた。


だけどそれは、決して嫌な重みでは無かった。




「守るよ、皆。絶対に」


「バカね」




息子を見ていたラファエルは、肩からアデルの重みが離れた事で、彼女に視線を戻した。

アデルがそっと、ラファエルが流した涙の痕を拭ってあげる。



「私が守ってあげるから。あなたは私の尻に敷かれて、馬車馬の様に働いていればいいのよ」




アデルはそう言って、アリスが見たら興奮して鼻血を出してしまうような男前な顔で、ラファエルの唇を奪った。



いきなりの断罪劇で興奮冷めやらない雰囲気だった貴族達は、いきなり王族席で王太子が妻からキスをされた瞬間を見て、まだ劇を見ている様な浮ついた状態で歓声を上げた。


その歓声に驚いて起きたフィリップが、火が付いた様に泣き出すと、今度は和やかな笑いが会場を包み込む。


背景を知る者も知らなかった者も、全てが丸く収まった事に気付いた瞬間だった。



「未来の王が両親を御所望なのでな。ラファエルとアデルはフィリップを連れて下がりなさい」




国王がそう言って手をパンッと一度鳴らすと、侍女がフィリップと王太子夫妻を別室へと案内していく。


そうして静寂が会場を包んだ頃、国王が会場中に響く声で話し出した。




「今回、色々な憶測が飛び交った。真実をはっきりと知らしめる為に、この様に(みな)の前での断罪劇となった。

あの毒婦を王家に入れてしまったのはわしの過ちじゃ。しかし忠臣達の働きで、あと一歩の所で最悪の事態は阻まれた。母親が犯罪者となった王太子だが、あの子に落ち度は無い。それどころか、今回の断罪も手伝ってくれた。

どうか、わしの後継として、受け入れて欲しい」


そう言って国王は貴族達に頭を下げた。

長い在位期間に多くの善政で、平和で豊かに国を導いた現シャルル国王は、多くの貴族からも好意的に受け入れられていた。そしてその孫であるラファエルも然りである。

貴族達は拍手でもって国王の願いを受け入れる。



国王はありがとう、と呟いて、おどけた様な顔を作った。


「さて、王太子夫妻が未来の国王のご機嫌取りをしているから、ファーストダンスが始められんのぉ。

困ったのぉ」


そう言いながら顎をスリスリしながらアリスとルイをチラチラと窺う。

それに気付いた貴族達も、二人に期待の込めた視線を送る。


「どうだろう? 我が孫であるルイ・カイゼルスベルク公爵令息と、我が国の天使にファーストダンスをお願いするのは・・・?」


アリスとルイは「拝受いたします」と国王にお辞儀し、会場の真ん中へとルイのエスコートで足を運ぶ。




流れるワルツに合わせて踊り出すと、アリスの天使仕様のドレスがふわふわと揺れ、同じように揺れる黄金色の髪がシャンデリアの光でキラキラと輝いた。

その美しい光景に多くの貴族達が目を奪われた。

異様な雰囲気で始まった今年最後の舞踏会は、皆が高揚感に包まれており、時計の針が終わりを告げる頃には、誰もが一丸となった戦友の様な面持ちで、会場を後にしていったのだった。




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