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【完結済み】スーパーハニーになりたくて。 ~ポンコツ令嬢はスパダリ製造機~  作者: 西九条沙羅
第二章

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番外編: ルイと侯爵の攻防戦

めちゃめちゃ短い番外編です。

第二章⑪の家族会議の後の話です。


これは、ルイとアリスが三年生になった冬休みの前。

家族会議が開かれた日の事。



家族会議の後でルイは侯爵に時間を貰い、夫妻と三人で話をした。



「アリスとの結婚の事なのですが・・・」


ルイが頬を染めながら話し始めると、侯爵が上座の席から威圧的な態度でルイの言葉を遮る。



「あの女の問題が解決するまで、結婚は許しませんよ」



珍しく侯爵が、ドスの利いた低い声を出した。


彼も学生時代に、当時の恋人であった夫人に不埒な事をしていたから、思春期の男がどういった生き物かを知っている。

夫人が許してしまったせいで、ルイがアリスにあんな事やこんな事をしているのだろうと想像して、ちょっと涙が滲んできた。

しかも自分の時は、夫人の父親は巨体で恐ろしく厳つい男であったため、侯爵はいつも命がけであったのだ。



ルイがショックを受けた顔で、今度は侯爵夫人に瞳を向けた。

ルイに取って夫人は味方だと知っていたからだ。

しかし、今回は夫人も味方では無かったようだ。



「そうねぇ。あの(クソ)女が離宮に追いやられたからって、問題が解決したわけではないからね・・・。

アデルが安心して暮らせるようになるまで、やっぱり他の事に手を取られる状況は避けたいわ」


夫人が頬に手を添えてため息を零す。


「だって、一生に一度しかない結婚式だから、全てを完璧にしてあげたいでしょう?」


夫人の言葉には頷くルイ。


「アデルの方が落ち着いてない状況でアリスの結婚の準備をするのは、アデルに何かがあった時にすぐに動けなくなる可能性があるし。

アデルの事を気にかけながらアリスの結婚の準備をするのも、片手間での準備になるのは可哀そうだわ」



ルイはあからさまに落胆する。それを見てほくそ笑む侯爵。

夫人はそんな二人を見て苦笑した。


「ルイルイ」

「はい」

「そこで諦めてしまうの?

早くにアリスと結婚がしたいのなら、さっさと自分で解決しなさいよ。それがスパダリでしょ?」



ルイの目から鱗が落ちる。

侯爵の目には涙が滲む。



「あの女の問題が解決したら、アリスと結婚できるんだから、あなたが頑張ればいいのよ」


「はい!」



ルイは飛び切りの笑顔を浮かべて、夫人にお辞儀をして部屋を出て行った。



「ママ~」


「どうせアリスは嫁ぐわけじゃなく、ずっとこの家にいるんだからいいじゃない」



夫人は立ち上がって、侯爵が座る一人掛けソファの肘置きに腰を下ろすと、侯爵の頭を撫でてあげておでこにキスを落とした。



「ママ~♡」




夫人がコンフラン家で一番強いということは、この家に住まう人間にとって当たり前すぎる常識である。



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