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盆の中からアレやコレ(短編集)

地球わらし

作者: 八刀皿 日音


 数多(あまた)の妖怪や魑魅魍魎の集う異界に、ある日、人間の使者団が訪れた。

 聞けば、地球のさらなる繁栄のために、とある妖怪の力を借りたいという。


 ――指名を受けたのは、座敷童子(ざしきわらし)だった。


 住み着いた家は繁栄を遂げるという、その幸運の力のためだ。

 その『家』の認識を広げれば、もたらす幸運の範囲も広がるに違いない……と。


 要するに――。



 人類みな兄弟! なので、人類が住む地球はこれすなわち大きな家!



 ……という認識を周知徹底してもらえれば、座敷童子が地上にいるだけで、地球全土が幸運に包まれ繁栄間違いなし! とのこと。


 地球のどこであろうと、家と思って好きに過ごせる――。

 そう出来るように全ての国家が援助する、という破格の待遇も提示されたので、座敷童子は二つ返事で了承して人間界へと赴いた。



 ――以来、地球は空前の繁栄を迎えた。



 誰もが何をやっても上手くいき、世の流れは何もかもが良い方向へと連鎖していった。

 地球人類は、そのすべての人が、汲めど尽きない幸福を手にしたのだ。




 ……それから、長いような短いような時が過ぎて――。




 ある日、唐突に、座敷童子が異界に帰ってきた。



「おや。どうしたんだい? 大層良い生活をしてるって聞いてたけど」


「……滅んじゃった」


「滅んだ? 人間が? そりゃまたどうして」



 訊かれた座敷童子は、やれやれとばかりに肩をすくめて首を振る。




「……兄弟ゲンカは管轄外」





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― 新着の感想 ―
[一言] 世界が家ならそりゃ兄弟喧嘩の規模もデカイですやね~ 面白かったです!
[一言] そもそも論として、「一番になることこそが幸せ」と考えている人が複数いたら、全員が幸せになるのは不可能なんですよね(迫真)。
[良い点] 兄弟喧嘩! そりゃそうですね、座敷わらしの管轄外(笑)。 皮肉が利いてて面白かったです。
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