表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/28

【21話】もう迷わない


「エリザさん、私、パーティーに参加します」


 泣き止んだミレアの瞳には、もう迷いはない。

 強い意志をもって、その言葉を口にした。

 

 エリザは何も言わず、ただ大きく頷いてくれた。

 

「それから私、今夜、ラルフ様に気持ちを伝えようと思います。……好きです、って」


 全てを承知の上で、ラルフはダンスパーティーに誘ってくれた。

 きっと勇気がいるだろうに、それでもミレアを選んでくれた。

 

 それがどれだけ嬉しかったことか。

 

 胸に感じている熱い想いを伝えて、少しでも彼の気持ちに応えたい。

 ミレアはそう思った。

 

「ちょっと待ってミレアちゃん!」


 エリザから、まさかのストップがかかる。

 良いじゃない! と大賛成してくれると思っていただけに、少し意外だ。

 

「そういうのは、パーティーが終わった後の方がいいわ!」

「どうしてですか?」

「二人で特別な体験をした後の方が、グッとくるものがあるのよ!」


 言葉と同じく、グッと拳を握るエリザ。

 やけに説明に力が入っているような気がする。

 

(もしかして、エリザさんの実体験かしら?)


「それって、ルークさんに――」

「ち、違うわよ……!」


 口ではそう言っているが、顔はそう言っていない。

 明らかに動揺していてる。

 

「いいじゃないですか。教えてくださいよ」

「ダメよ!」


 頼れるお姉さんから、一気に可愛らしい女の子へ変化。

 普段とのギャップも相まって、ものすごく可愛いらしい。

 

 その後、帰るまでずっと聞いてみたのだが、結局エリザは答えてくれなかった。

 

 

 その日の夜。

 

 家に帰ってきたラルフを、ミレアはいつものように出迎える。

 

「おかえなさいませ、ラルフ様」

「ただいま」


 心なしか、いつもより声に元気がない。

 表情も疲れているように見える。

 

 もしかしたら、昨晩のことが影響しているのかもしれない。


「……あの、夕食の前に少しよろしいでしょうか?」


 昼のエリザと同じようにして、グッと拳を握ったミレア。

 真っすぐにラルフを見る。

 

「ダンスパーティー、私も参加したいです!」

「…………え、いいのか!?」


 曇っていたラルフの顔に、一気に晴れ間が差した。

 今まで見てきた中で、一番嬉しそうな顔をしている。

 

「ありがとうミレア! 本当に嬉しい!」


 まさか、そんなにも喜んでくれるとは思わなかった。

 

 そこまで大きな反応をされると、こっちの方が嬉しくなってしまう。

 ニヤつきそうになるのを我慢しながら、ミレアは話を続ける。

 

「パーティーが終わった後、ラルフ様に話したいことがあるんです。とっても大事なお話です」

「ミレア()か」

「まさか、ラルフ様もですか?」

「あぁ。パーティーが終わった後に、俺も話したいことがあるんだ。とても大事な話だ」


 二人はしばらく見つめ合ってから、同じようにして微笑んだ。

 

(もしかしてラルフ様も、私と同じことを言おうとしているのかしら。だったら嬉しいわ)

 

「ミレア、夕食にしよう」

「はい!」


 弾みに弾んでいるミレアの声が、家の中いっぱいに響き渡った。

読んでいただきありがとうございます!


面白い、この先どうなるんだろう……、少しでもそう思った方は、↓にある☆☆☆☆☆から評価を入れてくれると嬉しいです!

ブックマーク登録もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ