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 ❄️ ❄️ ❄️


 場所は鞍馬にある風魔いたち族の里、晶椰の部屋。時は少し(さかのぼ)る。


「.....地下にそんな場所が。僕が知らないところで随分と勝手をしているものだ。」


 側近の手にしてきた情報に、晶椰は眉を(ひそ)めた。


「かなり前から少しずつ勢力を広げて来たようです。それよりも、晶椰様こそ。あの男、本当に大丈夫なのですか?」


「なるほどな。......あれは理屈で動く男ではないからな。今回に限っては信頼出来る。くれぐれも殺さないように気をつけてくれ。」


 側近の言う「あの男」とはもちろん功世のことである。納得できないと訴えてくる彼の新緑のような鮮やかな緑色の瞳に、晶椰は苦笑する。

 彼が功世を信用出来ないのは最もだ。


「ですが俺の一番は貴方です。貴方に危害が及ぶようなことがあれば、容赦はしません。」


「ああ、それでいい。」


 側近の頼もしい言葉に頷けば、やや不満げながらも功世との協力体制を了承してくれた彼にほっと息をつく。


「時に、お身体の具合ですが何があったがお聞きしても?」


 晶椰は昨日香霞に瑠璃の玉を貸してもらってからというもの、(すこぶ)る体調が良く、それは誰の目にも明らかなほどである。

 あぁ、これは香が...、と言いかけて、しかし晶椰の口は別の言葉を紡いでいた。


「以前使っていた(モノ)の代わりが見つかったんだ。功世が連れてきたんだが、なかなか腕が良い。」


 どうして双瑠璃である彼女の存在をそのまま伝えられなかったのかは分からないが、何故か言うのがはばかられてぼんやりとした言い回しになってしまう。


「そうでしたか。......昨日部屋に残っていた気配はその方の......?」


「気配?」


 暫し考え込むようにして俯く彼の顔にはらりと銀灰色の髪が一房かかり、表情を隠す。

 昨日部屋に入ってきてすぐ動きを止めた彼と今の彼の様子が重なって、晶椰は何故か落ち着かない気持ちになって尋ねるも、返ってきたのは


「いえ、何でもありません。」


 というまだ少し考えている風のやや上の空な返事だけだった。


「引き続き今日も地下を調べに行ってきます。大体の構図がわかり次第戦略を立てましょう。」


「ああ、頼む。僕の方もダメ元でちょっと協力してくれそうな御方の所に当たってみようかと思ってる。」


「協力してくれそうな御方?」


 不思議そうに尋ねてくる彼に晶椰は苦虫を噛み潰したような顔をする。


「正しくは、潰されないように先手を打つ、というか。.....久々に若頭らしい面倒な仕事をするってことさ。」


「部外者の俺には一族的なことは分かり兼ねますが、あまりご無理をなさいませんようお気をつけくださいませ。」


 晶椰の脳裏に浮かぶのは、昨日功世と導き出した結論、風オオカミ族の頂点に立つ男のことである。功世の命を守ると約束した手前、彼との交渉は避けられない。

 そして、それ以前に晶椰は若頭として一族を守り、統制する義務がある。好き勝手した過激派に情けをかけるつもりは1ミリもないが、一族ごと抹消されるのだけは避けなければならない。


「そう言ってくれるな。お前が何者であろうとも、今は僕の側近であり右腕だ。」


「御意に。」


 自分を主として忠誠を誓ってくれている彼のためにも。


 決意を新たにした晶椰は、再び地下へと詮索に向かった彼を見送ると、早速緑陰へと文を(したた)めた。

とんでもない事に気づいたんですけども、先日スーパーに買い物に行った際に「天華」を見つけたんですけどね?おたふくの天かすですよねww

このお話では「天華」は雪女一族の総称ってことにしてるんですけど、なんかちょっぴり複雑な気持ちになりました。

っていうどうでもいい情報です笑

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