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拒絶したのに、今更です…   作者: みかさん
27/51

27話


「居なかったわね…」


「意外だね。絶対に居ると思ってた。」


「アンソニー様はそんな方ではありません!」

3人でどっぷり温泉に浸かっている。意外にもアンソニーの姿はなく、少し言い過ぎたかな…とマリーは反省している。


「それにしても気持ちいいわねぇ」


「肌がスベスベになった気がします!」


「極楽~極楽~」

ゆっくりと疲れを癒す3人であった。


◆◆◆


「温泉へ行こう!今すぐ行こう!カメラ、カメラ~」


「アンソニー様、戻られてそんな急いで温泉に入られるのですか?」


「ああ、アルフリードもジョルズも勿論行くだろう?」


「俺、温泉入りたい!」


「私はまだ遠慮致します。それに護衛の身、むやみに服など脱げません」


「今なら、令嬢達が入っているよ。それでも行かないと?」


「ええっー!オ、オゼット達が入ってる!?駄目です!俺達は後で行きましょう!」


「そうですよ、アンソニー様。未婚の女性と混浴などいけません」


「ちょっ… 離してくれ!私はカメラに収めないと…」


「駄目です。行かせられません」


「止めましょう。後で3人で行きましょう」


「離してくれ~」

アンソニーはアルフリードとジョルズに捕まり、温泉に行くことが出来なかったが、後に2人に感謝することになったのである。


◆◆◆


「それで?どうして【ローズ嬢】から【ローズ】に変わったわけ?」


「是非、じっくり詳細に教えて欲しいですわ」

マリー達は食事と温泉を済ませ、3人でベッドの上で談話中。勿論 話題は、アンソニーとローズの事だ。


「実はあの事件の後、足に力が入らなくて アンソニー様に病院に連れていって貰ったの。お医者様から精神的ショックによる一時的なものと判断されて、様子を診る為に病院に泊まることになったの… 私は1人でも大丈夫ですと断ったのだけれど、アンソニー様は朝まで私の手を握ってくださっていたのよ。それで…」


「そ、それで?」


「朝、目覚めたアンソニー様は私を見て ローズ と呼んだの。私はびっくりして固まってしまったわ… その後 すぐにアンソニー様は謝って下さったんだけど…」


「だけど?」


「ローズ と呼んでもいいだろうかって… 「私、ええ、勿論」と答えてしまったわ。… ごめんなさい、オゼット…」


「何故、わたくしに謝るの?」


「私、、、貴女の婚約者にドキドキしてしまったわ…」


「いいのよ!言ったでしょ?わたくしの好きな人はジョルズなの!アンソニーではないわ。ローズはアンソニーが好き?」


「… 分からないの。」


「そう…。ゆっくりでいいのよ。焦る事はないわ。話してくれてありがとう。ローズ、貴女は誰を好きになってもいいのよ…それが例えわたくしの婚約者であってもね」


「オゼット…」


「言っとくけど、アルフリード様は駄目だよ!」


「そんなこと言ったら、ジョルズだって駄目よ」


「やだ、言ってること矛盾してる」


「あははっ おかしいね!」

3人は一緒になって笑い合うのであった。


◆◆◆


「今日はこの近くにある湖にみんなで行かないかい?」


「いいわね。あそこの湖はたくさん花が咲いているわ。ローズは花が好きだったわよね?」


「ええ、大好きです。是非見てみたいです。」


「では、決まりだね。軽食も用意させたから向こうでのんびりと過ごそう。」

湖は意外とすぐ近くで、馬車に揺られると直ぐに着いた。


「うわぁー、綺麗~」


「本当ね。色とりどりの花が咲いているわ。水面に浮かぶあの花は何かしら?ああ、もっと近くで見れたらいいのに…」


「なら、あそこに2人乗りのボートがある。あれに乗ればすぐ近くで見ることが出来るよ。」


「でも 私、ボートに乗ったことが無くて…漕げるかしら?」


「私と一緒に見に行かないか」


「それはアンソニー様に悪いです。」


「私も近くであの花を見たいんだ。」


「それなら お言葉に甘えてお願いします。」

嬉しそうにローズの手を引くアンソニー。もう2人の世界に入ってしまっている。


「置いてかれたね…」


「そうね。折角だし、わたくし達もボートに乗りましょうか。」


「うん。そうしますか。」


「では、ジョルズ行きましょう。」


「えっ!ちょっと待ってよ。私と乗るんじゃないの?」


「嫌よ。わたくし漕ぎたくないもの。見て、このジョルズの筋肉。まさにボートを漕ぐ為にあるのよ。」


「じゃあ私はどうするのよ!」


「アルフリードが居るじゃない。」


「嘘?本当に置いていくの?」

オゼットはジョルズの腕に掴まるとさっさとマリーを置いてボートの方へ歩き出す。後ろ向きで手を振っている。

『嘘でしょ… みんなひどいよ。私にどうしろと…』


「私達も乗るか?」

後ろで声がする。『マリー、勇気を出して!学園生活も残り半分。思い出を作らないと! はい と一言言えばいいのよ!言え、言ってしまえ!』


「は… い…」


「そうか… では、私は… えっ!今、はいって言ったか?」


「はい…」


「すまん。いつも断られるか逃げられるかだったから、今回もそうだと思っていた。そうか…私と乗るか」


「はい…」


「では、行こうか。お手をどうぞ」

アルフリードはマリーの前に手を差し出す。

『マリー掴むのよ!早く掴んで!無理ーーっ』


「アルフリード様、ボートまで競争です!」

マリーはスカートをたくしあげ、ハイヒールを履いているとは思えないダッシュを見せた。


「マリー嬢、面白い…」

アルフリードは獲物を見つけた野獣のようにマリーの背中を追うのであった。


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