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拒絶したのに、今更です…   作者: みかさん
10/51

10話


「どうしたのローズ!顔が真っ青よ」


「朝から体調が優れなくて…」


「休めばいいじゃない。そんな無理して来なくたって」


「だって… オゼットとマリーと少しでも一緒に居たくて…」


「んもぉー。可愛い子ね」


「ねぇ、保健室で少し休んで来たら?」


「うん… そうする」

マリーはローズを保健室まで連れていき、ベッドに寝かせる。


「じゃあ、ゆっくり休んでね」

そういって一旦、保健室から出たけれど…

『久しぶりにキター!保健室イベント。アンソニーがローズを心配して保健室にお見舞いに来るはず。だけど、ローズは寝ていて…アンソニーはそんなローズの髪を触り… 我慢できずにおでこに ちゅっ て!キャー!生ちゅう見れちゃう!どうやって覗こう…』


廊下に誰も居ないことを確認し、もう一度保健室に入る。ローズが寝ている隣のベッドに潜り込み、その時を待つ。



「んぁ……しまった!いつの間にか寝てしまった」

恐る恐るカーテンをゆっくり開き、隣を覗くともうローズの姿はそこにはなかった。


「生ちゅー見損ねたーー」


「生ちゅーとはなんだ?」


「えっ?」

『まさか…』カーテンの向こう側から聞こえるその声は今一番会いたくて、だけど一番会いたくない人の声だった。慌てて布団を頭から被ると猫のように丸くうずくまった。


「おい、聞いているんだが?カーテン開けるぞ?」

シャーッと音と共にカーテンが一気に開かれる。


「生ちゅーとは鳥の事です!生とは近くで見ること!そう!近くで鳥を見たかったのー」

布団の中で目一杯大きな声で叫んだ。


「やはり、君だったか… 私に用とはなんだ?」


「用? ありません!」


「嘘を付くな。アンソニー様が言っていたぞ。保健室でお前を呼んでいる者がいると」


「わ、私ではありません。」


「他には誰もいないだろう!用がないなら帰るぞ。」

ガラガラッピシャッ

アルフリードは強くドアを閉め、出ていった。


「ふぅー危なかった…もう!アンソニー様は何を考えてるんだか」


早足で教室に戻ると、すでにローズは早退した後だった。どうやら心配したアンソニーが部下に頼んでハイアーン家まで送らせたようだ。2、3日は休む事になっているとオゼットが一部始終話してくれた。


「早かったね。アルフリードには会えたかな?」


「アンソニー様!酷いじゃないですか!私、アルフリード様を呼んだ覚えはありません」


「あれ?おかしいな。君は「リード様、リード様」と何度もアルフリードを呼んでいた様に聞こえたけど。リードとはアルフリードの事ではないのかな?」


「あ、や、……」

『どうしよう… なんもいえねー』


「まあ、君はグッスリ寝ていたようだけどね!」

『こんの、腹黒王子めーー!漫画だと爽やかイケメン王子だったのに、、、そんなに私をいじめて楽しいですか?なら、私も反撃してやる!』


「ピンクのうさちゃん人形を部屋に飾ってるくせに……」


「えっ?今なんて?」


『あっ、これは漫画にしか載ってない秘密を言ったら不味いんじゃ…』


「あ、いえ、何でもありません。ローズ平気かなーって…」


「そう…」


「では、失礼します~」

『あっぶなかった~ 頭に血が昇って我を失う所だったわ』


しかし、時既に遅し。マリーの放った一言はアンソニーの耳にしっかりと届いていたのであった。


◆◆◆


「アルフリードいる?」


「ここに」


「マリー嬢は何か隠しているようだね」


「だから、最初から怪しいと申したではないですか!」


「う~ん。念のため、私の部屋を調べておいてくれ。それと、働いてるメイドがスカーレット家に繋がっているかも頼む」


「はっ、直ちに」


『何故、母上も知らない秘密をマリー嬢は知っていたのだろう。しかも、色や動物まで言い当てた。偶然とは言い難い。あれはしっかり鍵のかかった所にしまい、寝る時だけ取り出しているはずなのに…』



◆◆◆


「はぁーなんかローズがいないと変な気分だわ」


「確かに…」


「ごきげんよう、オゼット様、マリー様」


「ごきげんよう、サリエッタ様、アマンダ様、グローリエ様」


「今日はご一緒にお食事でも致しませんか?」


「ええ、いいわよ。ねぇ、マリー?」


「はいっ。喜んで」



5人で食事をしているが、まあこの3人は良く喋る。最初は楽しく話していたが、途中から自慢話や悪口、噂話と あることないことずっと喋り続けていた。流石はオゼットで、そんな話を楽しそうに相づちをうって聞いている。それにこの3人見覚えがあるんだけど…


「では、また明日もご一緒に致しましょうね」


やっと解放された、オゼットとマリーは中庭のベンチに腰かける。


「疲れた…」


「あら、マリー。このくらいでへこたれてたら夫人達のお話なんて付いていけませんよ?」


「だって聞いててもつまらないし…」


「でも、噂話や自慢話は時として役に立つ物なんですのよ。重要な所だけ覚えていればそれでよし。話した本人ですら忘れてしまうのだからねっ」


「なるほど!勉強になります」

『流石、我らのオゼット姉さん』


ああ、早くローズに会いたいなぁ

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