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拒絶したのに、今更です…   作者: みかさん
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1話


「わ、私… あなたの事が好きです!明日、少しだけ私にあなたの時間を頂けませんか?」


「君みたいな乳臭い子供を相手にしている程、私は暇じゃないんだ」


「えっ、でも…私 明日で二十歳に…」


「他を当たってくれ、タイプじゃないんだ!」


「で、でも… お願いしたら一夜だけお相手してくれるって…」


「私にだって、選ぶ権利はあると思わないか?忙しいんだ。これで、失礼する」


「ま、待ってください!本当に一夜だけでいいんです」


「そんなに誰かと夜を共にしたいのなら… おい、フィード、ちょっときてくれ」


「何ですか隊長。わっ可愛い女の子!隊長モテますね~」


「この女性がお前と明日出掛けたいそうだ。休みをくれてやるから遊んでこい」


「えっやったー!本当にいいの?君、僕でいいのかな?」


「し、失礼します…」

やっぱり私じゃ、一夜の相手もしてもらえないんだ…

諦めよう… 最初から決めていたじゃないか、この告白が駄目だったら諦めると…



◆◆◆


「あーあ、行っちゃった… いいんっすか?隊長~あの子って例のずぅ~と隊長を熱い視線で見詰めていた子じゃないっすか?」


「……… 」


「可哀想… 少しくらいいいじゃないっすか?」


「女は面倒だ… すぐ泣くし、すり寄ってくるし、特に人間の女の香水の匂いは臭くて堪らん… あんなものつけてたら、例え番だったとしても気が付かないぞ?」


「そんなこと言ってるから、隊長は振った女性からあらぬ嘘を広められるんですよ… 頼めば一晩だけ相手をしてくれるなんて、絶対に有り得ないのに…」


「ふんっ、かまわん。言わせておけばいい」


「そんなんじゃ一生結婚出来ないっすよ」


◆◆◆


ここは人間と獣人と龍人が仲良く手を取り合って住まう世界。圧倒的に人数の多い人間6割。多種族で色々な分野で活躍する獣人3割。人類最強種族と言われる龍人1割。そのため、獣人と龍人は生まれながらに、決められた職につくことが法で定められている。適材適所に割り振られるため、人間より給料が良い。多くの法で人間とは異なっているが、一番はツガイ制度である。獣人と龍人は匂い(フェロモン)でツガイを見極める。そのため、一度ツガイの匂いを嗅いでしまうと例え、結婚していたとしてもツガイ以外を愛せなくなってしまう。もし、相手がツガイを見つけてしまったら、即座に離婚しなくてはならない。そして、ツガイの分からない人間は獣人や龍人からツガイ認定されたら、結婚しなくてはならないという制度である。そのため、人間は望まぬ結婚をしないために香水をつける風習が出来た。



私、スカーレット・マリー伯爵令嬢は初恋の相手である龍人族であるドラグン・アルフリード様にたった今、告白して見事に振られてしまった…

アルフリード様はサマンサ王国の最強騎士団と言われている龍人族で編成されたドラゴンフォード団の隊長をしている。

透き通るような青髪に深青の瞳、キリッとした目鼻立ち。誰もが振り返るような美男子である。龍人族は全ての者が美男女で特にドラゴンフォード団に所属している者は一際目立って美しかった。

それに、比べ私は… 茶髪に茶目とごく普通。龍人のように美人でもないし、胸も大きいとは言えない。全てが普通なのである。『そうだよね…こんな私がアルフリード様と一夜を過ごそうだなんて…ああ、これで私の初恋は終わりか…』


この国では貴族は二十歳の成人を迎えると婚約者を決めなくてはならない。私も明日で二十歳の誕生日を迎える。お父様はもうお見合い相手を数人決めているようだった。『はぁー、やっぱり知らない相手に嫁ぐことになるのか… 前世でも今世でもちゃんとした恋愛出来なかったなぁ』


そう、私には前世の記憶がある。

10歳の時に階段から転げ落ち、頭を打った時に前世の記憶を思い出した。思い出したと言っても所々で、全てを思い出した訳ではない。


12歳になり、この国の王子の婚約者を決めるパーティーが開かれた。出席した私は金髪に緑の瞳の王子の顔見てその場で倒れてしまったらしい。

その時に思い出したのが前世で私が愛読していた漫画本【身分差の恋~王子が私に恋する~】だった。まさに、漫画に出てきた幼少期のアンソニー王子が先程まで目の前に居たかと思うとその日は1日そわそわして眠れなかった。


それからの私は漫画の風景を辿り、聖地巡りをした。それと同時に猛勉強を始めた。お父様にお願いして、たくさんの家庭教師をつけてもらい、寝る間も惜しんで勉強をした。なぜなら、主人公のハイアーン・ローズ男爵令嬢とサマンサ・アンソニー王子が出会い恋をする舞台がこの国でもっとも偏差値が高い王立学園だったからだ。『絶対に王立学園に入学してやる!そして2人の恋を陰ながら応援し、あわよくばアンソニー王子の護衛のリード様とお近づきに…グフフッ』


そう!私の推しはリードこと、アルフリード様。学園では王子の護衛隊長をするはず。漫画ではちょこっとしか出てこなかったが、私は一目見てリード様の虜になってしまった。リード様が出てくるページを何度も読み返し、挙げ句の果てには写し書きし部屋中に貼っていた程だ。ただ、リード様は脇役の為、漫画では容姿と騎士、アルフリードと言う名前しか分からなかった。だから、色々調べていくうちに龍人族と知り、納得した。『だからあの美形…』釣り合わないとしても、遠くから眺めるだけならいいよね?


学園生活が始まるのは15歳。それだけを楽しみに私はひたすら勉強をし続けたのだった…

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