3話 狼少女は赤くなる
この作品は東方Projectの二次創作です。苦手な方はブラウザバックを推奨します。
「火を強くしたので、ここで暖ま・・・っ!?」
結が振り返り、妖怪の少女を見ると、玄関では妖怪の姿や傷に気を取られて気づかなかったが、雨でぬれ、服が張り付き、体のラインがはっきりと出ている妖怪の少女の姿がそこにあった。
結は顔を赤くしながら籠に雨除けのためにかけていた外套を取り、狼の妖怪のほうを見ないようにしながら差し出した。
「そ、その、服が濡れて、体のラインが…と、とにかくこれを着てください!」
「え・・・ふぇっ!?」
そう言われて狼の少女は今自分の服装がどうなっているのか気づき、赤くなりながら慌てて差し出された外套を取り、体を隠すようにまとった。
「・・・見ました?」
「・・・少しだけ」
問いかけられた結がそう返すと、狼の妖怪はさらに顔を赤くしながら、縮こまるように火の近くに近づいた。
その後、しばらくお互い無言のまま火の近くでじっとしていたが、狼の妖怪の服がある程度乾いてきたころ、
「え、えっと、家の中に入れてもらった上に外套まで貸してくださってありがとうございます。そういえば自己紹介もまだでしたね。私は今泉影狼って言います。見ての通りの狼の妖怪ですが襲うつもりとかは一切ないので安心してください」
そう言いつつ頭を下げた。
結は「あ、頭を上げてください。僕はそんな頭を下げられるようなことはしてないですし、頭を下げられるような大した人間でもないですよ。」
と、言った後、
「竹取結って言います。ただの竹細工屋の次男ですが、よろしくお願いします。今泉さん。」
そう結が自己紹介をすると、影狼は慌てて頭を上げて
「えっ!?た、竹取ってあの人里でも大きな屋敷の竹取ですか!?」
そういいながら影狼がうろたえると、結は苦笑いしながら、
「そんな大したものじゃないですよ、ただの人里の竹を使った商売の元締めってだけですし、次男だから大した権力もないただの筍掘りが好きな少年です。」
そう返した。だが、博麗の巫女にボコボコにされたばかりの影狼にはとても衝撃だったらしく、
「名家の息子・・・襲う気とかはなかったけど、ほんとに何もしなくてよかった・・・人間コワ「グゥ~」」
そう言いつつ影狼がほっと一息をついたとき、気が緩んだのと巫女にボコボコにされた影響で食事がとれていなかったのが原因か、影狼のおなかからかわいらしい音が鳴った。
思わず結が少し後ずさると、影狼は
「ち、違いますから!食べたりする気は全くないですから!」
そう言いつつ慌てて弁明するのだった。
竹取家の存在は完全に私のオリジナルです。『幻想郷には迷いの竹林があるんだし、竹を使った商売も多分間違いなくあるよな』って感じの考えで作りました。
また、作中で結本人が次男と言っていますが、兄と妹がいる3兄妹の予定です。名前とかは後で出します。
次話はアイデアが思いつき次第書きます