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異世界テンプレ・ドラゴン転生  作者: あまたちばなルイ
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5.冒険者ギルドでテンプレ展開



 ゴブリン討伐の依頼も片付いたので、村長から聞いていた辺境の街に向かう事にする。

 村長や村人から盛大な見送りを受け、ちょっと照れくさかったが、それだけの貢献をしたって事だろう。マッチポンプだったけど。


 村から離れた場所で徒歩から飛行に移行。辺境の街までは徒歩で3日と聞いていたが、飛行で行けばのんびり飛んでも1時間もかからない。昼飯前には辺境の街が見えてきた。

 さすがに街らしく、外周は防壁で囲まれている。といっても高さ3メートル程だが。


 街の門に向かう。街の門は東西南北に4箇所あるが、村長に聞いていた通りで、村の方角とは反対側の門しか開いていない。なんでも村への交通量は極端に少ないらしく、普段は閉めっぱなしらしい。門には門番の衛兵が必要だけどロクに人が来ない門に配置するのは非効率って事で閉めてるようだ。


 門には商隊やそれなりの人々が並んでいたので、体感で一時間程待たされた。

 門番に身分証の提示を求められる。が、勿論そんなものは持っていない。


「すまないが、ここより更にど田舎の辺境育ちなので、身分証とやらは持ってないんだよ」

「ここより辺境って、どんだけ田舎だよ……。んじゃ入街税が銀貨10枚。なきゃあ街には入れないぞ」


 おお、前の村で銀貨を稼いでおいてよかった。


「じゃあ、これで」

「んむ」

「ところで身分証とやらはどうやって手に入れるんだい?」


 門番の手に銀貨を1枚握らせてから聞いてみる。


「んん? ああ、普通の平民なら産まれた時に親が代官屋敷に申請して入手するんだが、お前のような無宿人だと、冒険者ギルドで冒険者登録をするのが一般的だな」


 なるほど、日銭を稼ぐためにも取り敢えず冒険者にでもなっておこうかと思っていたが、丁度都合が良かったようだ。


「教えてくれてありがとうな。ついでに冒険者ギルドの場所も教えてはくれまいか?」


 銀貨1枚の効き目はなかなかに良く、快く答えてくれた。他に質問はないか? と催促までされたので、よさげな宿の場所と料金も聞いておいた。


 冒険者ギルドは中央通りのど真ん中にあった。正直、場所を聞いてなくても分かったと思う。

 中に入ると酒場が併設されているらしく、まだ昼だというのに赤ら顔をした冒険者と思しき連中が丸テーブルにたむろしていた。案の定、酒を飲んでるようだ。

 あー、これは異世界もののテンプレ展開がきそうだなー、と思いつつ、受付嬢の前に移動する。


「こんにちはー」


 とりあえず愛想よく挨拶してみる。


「こんにちは。どういったご用件でしょうか?」


 なのに愛想のない事務的対応。しかも目のきついオバちゃんだ。

 異世界テンプレなら若い美人受付だろ普通。


「冒険者登録をお願いしに――」


 俺が言い終わる前に、テンプレが発動。


「冒険者登録らああ? お前みたいなヒョロヒョロした奴が冒険者になれる訳ねーらろ!」


 赤ら顔をした40代の冒険者らしき男が酒臭い息を吐きかけてくる。

 しかも呂律が回ってない。

 周りには取り巻きらしい連中が3人。


「えっと、冒険者登録するのに、何か資格とかいるんですかね?」


 とりあえず赤ら顔の冒険者らしき男をスルーし、目のきつい受付オバちゃんに問い合わせる。


「いえ、そういう訳ではありませんが……(そんなヒョロヒョロしたなりの奴が冒険者になれる訳ねーんだよ)」


 小声で呟いた受付オバちゃんの後半の言葉がハッキリと聞こえた。


「それは職務放棄ですか?」


 受付オバちゃんに問いかけるが、答えが返る前に赤ら顔が激高する。


「なんらテメー! おえの忠告を無視すんのかゴルア!」


 そう言い放つと赤ら顔が俺に殴りかかってきた。

 俺は敢えて相手の拳を顔面で受ける。

 ゴツッ! と音がして、赤ら顔が拳を押さえて蹲る。


「野郎、手前! 何しやがった?」


 取り巻き連中がそう喚きながら俺に暴行を加える……が、俺は無抵抗のまま微動だもしない。

 そうしている内に俺を殴る蹴るしていた取り巻き連中が手足を押さえながら悶絶する。

 まあ鋼鉄の塊を相手に、全力で殴る蹴るすればそうなるよね。


「手前! 腕の一本ぐらい覚悟しろよ!」


 そう喚きながら赤ら顔が抜剣。

 俺は目つきのキツイ受付オバちゃんに確認をとる。


「剣を抜きましたが、冒険者ギルドでは冒険者登録前の一般人に対する冒険者の暴挙を見逃すのですか?」


 さすがにまずいと思っていいるのか、受付オバちゃんは青黒い顔で、アワアワ状態である。受付オバちゃん、使えねー。


 赤ら顔はそのまま俺の右腕目掛けて剣を振り下ろす。

 酔っているとはいえ非常に遅い剣速。デス・オーガの爪の垢を煎じて飲ませたい。

 俺は素手の右手で剣先を受け止め、そしてそのまま握り潰した。


「ひぃっ!」


 尻餅をついて驚愕で目を丸くする赤ら顔。いや既に青い顔になってるが。その足元に剣先の潰れた剣を放り投げる。


「お前は腕の一本ぐらい覚悟しろといったな? じゃあ俺がお前の片腕を奪っても文句はないよな」

「ひぃっ!」


 どうやらヒィヒィ星人にジョブチェンジしたようだ。

 俺がヒィヒィ星人に歩を進めると、尻もちをついたまま後退する。

 後退した跡には何かで濡れた痕跡が残る。ばっちいな、おい。


「二度と俺に絡むな! はっきりと言っておくが……二度目はない!」

「ひぃぃぃぃっ!」


 ヒィヒィ星人とその取り巻き――全員ヒィヒィ星人にジョブチェンジしたようだが――は冒険者ギルドから這々(ほうほう)(てい)で逃げ出した。

 あれで懲りればいいんだが、テンプレ展開だともう一幕あったりするからなあ。

 そんなことを独り()ちながら受付オバちゃんに向かう。


「で? 冒険者登録はしてくれるの? してくれないの?」


 真っ青な顔をしながら受付オバちゃんは登録をしてくれた。

 だけど冒険者ギルドの基本的な規約やら規則については一切教えてくれなかった。

 どうやら一時的な失語症に罹ったようだ。




 ――――――――――

 冒険者ギルド登録証

  名前  アマノ

  年齢  17

  ランク F

 ――――――――――



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― 新着の感想 ―
[一言] そうですね、題名に大きくドラゴンと書いたのにドラゴン要素が全く出て来ない、面白いと思わせる要素もない作品を長期間見るのは流石に無理ですね
[一言] 最初以外竜要素がないので微妙でした
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