49.ギルベルトさんからの推薦状
毎日15匹程のペースでBランク魔獣だけ狩っていったら、大体20日でBランク依頼達成件数が300になった。稼ぎの方も、3億円相当を超えた。
なので、先ずはこの街のギルドマスターであるギルベルトさんの推薦を取り付けるべく冒険者ギルドに向かった。尚、ホーリアさんからの推薦状は既に貰っている。
「ステラさん、こんにちはー」
「はい、こんにちはアマノさん。今日はどうされました?」
「えーと、Aランクへの昇格条件であるギルドマスターの推薦をギルベルトさんに頂こうかと」
「ああ! それなら早速、ギルドマスターの部屋にお通ししますね」
「ありがとうございます」
ステラさんについて行き、ギルドマスターの部屋に。
「ギルドマスター、冒険者のアマノさんが、Aランク昇格のための推薦をギルドマスターから頂きたいとの事です」
「入ってくれ」
ギルドマスターの部屋には俺だけが通される。亜空間からホーリアさんの推薦状を取り出しつつ、ギルベルトさんに声をかける。
「えーっと――」
「ちょっと待っててくれ、今すぐに書く」
「え、宜しいんですか? 面接的な何かとかなくていいんです?」
「そんな無駄な事をする必要はない。君がBランク依頼達成件数をクリアした時点で、推薦する事は決まっていた」
「そうなんですか?」
「そうだ。君は周りの冒険者からの人望も厚く、高ランク冒険者が陥りがちな傲慢な振る舞いや粗暴な振る舞いが一切見受けられない。むしろ腰が低いとさえ言える。なので人格面での問題は一切ない。そしてその討伐能力だ。この短期間の内にBランクとなり、更にはAランクの昇格条件に手が届いた。君を推薦しないと言ったら、無能者の誹りを免れまい」
なんだか、人格面の話はともかく、それ以外はホーリアさんが言ってる通りの展開になってるな。
「よし、書けたぞ。それで後一人のギルドマスターの推薦は誰から貰う予定なんだ?」
「面識はないのですが、王都のギルドマスターに頼もうと思っています。と言うか、私の知ってる冒険者ギルドって、ここと王都の2ヶ所しかありませんから」
「ふむ、では先ず私の推薦状を王都のギルドマスターに渡すと良い」
「分かりました。推薦状ありがとうございました」
ふぅ、一通目の推薦状は思いの外すんなり入手できたな。正直拍子抜けした。
さて、次は王都のギルドマスターだが、さっきギルベルトさんに言ったとおり、王都のギルドマスターとは面識がないんだよな……。
まあ悩んでても仕方ないか。
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と言う事で翌日、転移魔法陣でやってきました王都の街へ……、てかそこは王城だった。
「あらアマノ様、ごきげんよう」
「はい、こんにちは……、てか王城の外に転移魔法陣を用意してくれてたんじゃないんです?」
「あらだって、王城の外のお屋敷へ繋がる転移用の金属板をまだ渡してないでしょ」
あ、そういやそうだ。そういう仕組だった。
「じゃあ今ください」
「もうっ、せっかちねえ」
そう言いながら、ホーリアさんは転移用の金属板を取り出す。なになに~、『王都のお屋敷行き』って、そのまんまかい!
「お屋敷の場所と、王都屋敷のメイド隊との顔合わせをしたいから、用事が済んだらまた王城、と言うかこの部屋に来てくださいね」
「えー? あんまり王城に来たくないんだけど」
「まあまあ、そう言わないで。今回のが済めば、取り敢えず王城に来る事も減るでしょうから」
減るだけで、なしにはならんのかいな?
「ほらほら、王都の冒険者ギルドに行くのでしょう? グズグズしないで、頑張ってらっしゃいな」
ふむ、そうだった。先を急ぐとするか。俺は王城を後にして冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドの受付を見渡すと、運良くBランクに昇格した時に担当してくれた受付嬢がいた。なんて名前だったっけか?
「こんにちはー、ちょっといいですか?」
「あら、アマノさん。ひと月ちょっと振りですね」
どうやら、ちゃんと覚えてくれてたようだ。
「今日はどういった御用でしょう?」
「えーとですね、Bランクでの依頼達成条件をクリアしたので、こちらギルドマスターにAランク昇格のための推薦を貰えないかと思いまして」
「は? Bランクでの依頼達成条件をクリア? アマノさんはひと月ちょっと前にBランクに昇格したばかりですよね?」
「その節はお世話になりました」
「Bランクでの依頼達成条件って300件ですよね? それをひと月ちょっとでクリア、ですか?」
「ええ、まあ」
「…………………………」
「…………………………」
「え?」
「え?」
「すみません、ギルド登録証の提示を」
「あ、はいはい」
じーっとギルド登録証を見ている受付嬢。やおら傍らにいた別の受付嬢に確認を依頼する。間違いないとの答えを受けるが、そのままギルド登録証を見ている。
「あの、すみませんアマノさん。ちょっとほっぺたを抓って貰っていいですか?」
ん? 疑問に思いつつも、ほっぺたを抓る……自分のほっぺたを。
「すみません、説明不足でした。私のほっぺたをちょっと抓って貰っていいですか?」
ああ、そう言う事か。なるべく痛くならないよう、受付嬢のほっぺたを軽く抓る。
「痛ひ……」
「申し訳ない」
「それで、ギルドマスターにAランク昇格のための推薦を貰えないかとの事でしたね」
「ええ、はい」
「こちらにどうぞ」
ほっぺたを抓ったら受付嬢が突然きびきびと動き出した。
「ギルドマスター! Bランク冒険者のアマノさんが、Aランク昇格のための推薦を頂きたいと申し出ています」
「ん、中にどうぞ」
ギルドマスターの部屋に入ると、受付嬢も一緒に入ってきた。
「ん? ナンシーには特に用はないぞ」
「いえ、どうせお呼びになると思いますので」
「そ、そうか」
受付嬢の名前はナンシーと言うらしい。記憶にないので、聞いたのは初めてだったらしい。
よし、ここですかさず、ホーリアさんの推薦状とギルベルトさんの推薦状を渡してみよう。




