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異世界テンプレ・ドラゴン転生  作者: あまたちばなルイ
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48.久々の買い取り?



 血抜きを済ませ、森から走って帰ってきた俺は、冒険者ギルドに向かった。

 なんか、ここで買い取りを頼むのも久し振りだな。いや、実際には数日前、フィアーヴァイパーの買い取りを頼んだけど、頭だけだったしステラさんに説教された印象の方が強かったし。


「すいません、ステラさん。買い取りをお願いします」

「…………はい、ではこちらにどうぞ」


 ちょっとステラさん、その間はなんなの? ちょっと怖いんですけど。

 ステラさんに着いて解体場へと向かう。


「おっ! <鉄塊てっかい>さんの買い取り依頼だぞ」

「なにっ? 噂の<鉄塊>さんの噂の買い取り依頼だと?」

「おお、久し振りじゃね? <鉄塊>さんの買い取り依頼」

「俺、初めて見る」

「おい! リーダーを呼んでこい」

「こっちもアシモフさん呼んで来い」


 相変わらず、かしましい冒険者たちだな。って言うか、噂の噂のって、どんだけ噂なんだよ! あとアシモフさんを呼んでくんな。


「ジャックさーん。アマノさんの買い取り依頼ですー。内容は聞いてませんが、心の準備をお願いしますー!」


 なんかステラさんの言い草が酷い。そんなにフィアーヴァイパーの頭の件で根に持ってるんだろうか? カウンターの前に出した俺も軽率だったけど……。


「なんじゃい、お前さんか。またぞろとんでもない数を持ってきたんだろ」

「いやいや、今日はそんなに()はありませんって」

「ふん、いいだろう。そこに出してみろ」


 とりあえず、キラーヴァイパー、ブラックベア、ビッグボアの順番で一匹ずつ取り出してみる。


「ブッ!」


 ジャックさんが吹き出した。


「狩った魔獣はこの3種類です」


 そう言って、残りの獲物を取り出していく。丁度、それぞれが4匹ずつで、全部で12匹だ。うち2匹はベルの手柄である。


「これで全部です。ねっ、()はそんなにないでしょ?」

「あ、あ、あ」

「あ?」

「阿呆かーっ! これ全部Bランクの魔獣じゃねーかっ!」

「え? あ、はい。Bランク魔獣に絞って狩りましたから」


 ザワッ! ザワ、ザワ。


「おい、聞いたか? これが<鉄塊てっかい>さんだぞ」

「Bランクの魔獣を12匹も……。しかもソロで!」

「信じられん! 以前聞いていた話だと数はもの凄いが、全て低ランクの魔獣だと言う事だったが」

「それはまだ<鉄塊>さん自身の冒険者ランクが低かった頃の話だろ。今の<鉄塊>さんはBランク冒険者だぞ」

「えっ! ちょっと待て! と言う事はなにか? 冒険者ランクが低かった頃から、狩ろうとすればBランク魔獣を狩れたって事か?」

「マジか……」

「凄い。これが<鉄塊>さん……」

「さすが<鉄塊>さん……マジ――」「<鉄塊>!」

「うおおおおおおおおおお! <鉄塊>さんマジ<鉄塊>」


 ちょっ! 煩い! 煩いって!

 その後、周りの冒険者たちが解体場で大騒ぎをして、ギルドマスターのギルベルトさんから全員大目玉を喰らった……、俺までも。俺は悪くないのに……。悪くないよね?



 ――――――――――――――――――――――――――――


 俺は屋敷に帰り、一休みする事にした。


 とりあえず、フィアーヴァイパーの分と併せて、Bランクでの依頼達成件数は13となった。

 稼ぎの方も、数は減ったものの、Bランク魔獣の討伐報酬と素材買い取り分の合計が、1匹辺り金貨7枚から10枚くらいになるので、一日一千万円相当を超えている状態だ。


 一日15匹前後のペースで狩っていけば、ひと月もかからずに、Aランクへの昇格条件の一つであるBランク以上の依頼達成件数300に手が届くだろう。

 ただ問題は、もう一つの昇格条件のギルドマスター2人以上による推薦なんだが……、こちらはどうしたものかねえ?


「心配ご無用です!」

「うぉっ! ビックリしたー。ホーリアさん! どっから湧いた?」

「湧いたとは失礼な! 地下室の転移魔法陣からですよ」

「あ、あー……」


 地下室に転移魔法陣設置したのは早計だったか。こっちから王都に向かう利便性を考えて設置したけど、逆に言えば王都側からもこっちに来放題なんだよな。


「もう設置しちゃったから、今から撤去とかダメですぅー!」


 ちっ、また読まれたか。


「えーと、それで何が心配ご無用なんですか?」

「話をそらしましたね? まあ、いいでしょう。ギルドマスター2人以上による推薦の件です」

「うん? どう心配ご無用なんです?」

「私がこの街の冒険者ギルドマスターと王都の冒険者ギルドマスター宛の推薦状を用意します。アマノ様はその推薦状を2人のギルドマスターに提示すればいいのです」

「んー、それって何か、聖女の権威を悪用と言うか、ズルっぽくないですか?」

「いえいえ、全くないとは言えませんが――」


 やっぱ、あるんかぁーい。


「アマノ様がいかに有用な人物であるか、Aランク冒険者に相応しい存在であるかを懇切丁寧にお教えするだけです」


 うーん……詭弁の匂いがプンプンと。


「考えても御覧なさい。アマノ様は、こんな短期間の内にBランク冒険者に昇格しています。依頼達成件数だけで言えば、アマノ様の考え通り、ここひと月以内に達成するでしょう。この街のギルドマスターであれば、一も二もなく推薦するでしょう。また王都のギルドマスターにしても、以前国王直々にお褒めの言葉を受け取った盗賊集団討伐の一件は覚えているでしょうし、王都の冒険者ギルドでCランクからBランクへのスピード昇格は心に焼き付いている事でしょう。推薦する事、間違いなしです! はいっ、論破!」


 誰を論破だ、誰を! それにその言葉は屁理屈の常套句だから。

 まあでも折角ホーリアさんが推薦状を書いてくれると言うのであれば、ありがたく貰っておくか……。


「もー! アマノ様ったら、ツンデレなんだからー」


 誰がツンデレだっ! って、ちょっと待て。ツンデレって、こっちの世界で通じるのか?


「いえ。昔、異世界から転生してきた方に教わりました」


 あれっ? 異世界から転生してきた人って? ホーリアさんの以前の説明だと異世界からの転生とか知らなかったような……。


「それでは、私は推薦状を書いてきますので、ごきげんようー!」


 ホーリアさんは、ピューっと、音が出る様な勢いで帰っていった。

 うーん、なんか気になるけど、まあ今度聞けばいいか……。


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