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異世界テンプレ・ドラゴン転生  作者: あまたちばなルイ
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4.ゴブリン討伐というか魔法の実践



 この村は辺境の街の更に奥地にあって、魔獣の森――俺のいた深い森――のそばにあるらしい。なんか辺境のど田舎育ちの設定が使いづらいな。


 ひと通り質問を終えると、村長から妙な事をきかれた。


「お前さんは旅人という話じゃったが、冒険者ではないのかの?」


 冒険者が居る世界観か、まあ異世界テンプレなら基本だな。


「冒険者というと、薬草や鉱石を採取したり、商隊の護衛をしたり、魔獣の討伐やその素材を売って生活してる人たちの事かい? だとしたら俺は冒険者じゃないな」

「そうかの。腰の立派な武器といい、ホーンドラビットの土産といい、てっきり冒険者と思うちょったが」


 そういうと村長は落胆してうなだれる。


「何か問題でもあるのかい?」

「実は最近、近くの森にゴブリンの集団が住み着いたらしくての、街の冒険者ギルドに討伐を依頼しようかどうか迷っちょるんじゃよ。ただこの村じゃ余り報酬が用意できんでなあ。ゴブリン自体からは素材も取れないんで依頼しても冒険者がきてくれるかどうか……」

「なるほど……」


 うん。何か引っかかるな、そのゴブリン。


「よし、俺がその依頼を受けよう」

「なんと! いいのかの? 報酬は銀貨数十枚程度しか出せんぞ」


 この世界で銀貨は一枚で大体千円程度の価値みたいだ。なので報酬は数万円程度で、職人の日当換算で数日分の価値しかないそうだ。

 ゴブリンは最弱の部類のモンスターらしいが、集団が相手だと命の危険が伴うし、到底割りの合う報酬とは言えない。


「村長には色々教えてもらったしな。それに腕にはちょっと自信がある。明日朝一で出かけてみよう」

「おお、何とありがたや。宜しく、宜しくお願いしますじゃ」


 そんな訳でゴブリンの集落を殲滅に行くことにする。



 ――――――――――――――――――――――――――――



 翌日明け方、村長からゴブリンの集団がいるらしい大体の場所を聞いて出発。

 探知に反応があったので、飛行魔法でちゃっちゃと移動。


 ゴブリンの集団は十匹程度だったので手早く殲滅。


 魔獣とは言え、人型のモンスターである。

 良心の呵責とか嫌悪感があるかなーと心配してたのだが、「ゲギャギャギャギャ」とか言って襲ってくる醜悪な存在にむしろ嫌悪感を感じて、思いの外、サックリと殲滅できた。


 殲滅は自作の黒剣で無双した。作った俺が言うのもなんだが、黒剣の切れ味は異常だった。棍棒を構えたゴブリンを袈裟懸けに斬りつけると、棍棒諸共ゴブリンの上半身を切断した。グロかった。

 よく「熱したナイフでバターを切るように」なんて表現があるけど、そのバターはどこにあるんだ? って感じでスパスパ切れる。切った感触が殆どないのである。感触がない分、思わぬ物を切ってしまわないか却って不安になる程だ。


 俺には剣での戦闘経験も、剣術スキルもないけれど、黒剣の性能のお陰でこうして無双ができた。

 戦闘経験もない癖に、よく突っ込めたなって? だってほら、身体が頑丈なのが分かってたし、一斉に囲まれて袋叩きにされても何ともない自信があったしね。


 無双にかかった時間はほんの一瞬であり、むしろ村長に聞いていたゴブリンの討伐部位を集める方が時間がかかった。グロかったし。

 それで依頼は終了なのだが、俺にはちょっと引っかかりがあった。


 探知に魔力を込め徐々に拡大、反応を探る。

 あーやっぱり……。

 ゴブリンの集団がいた場所から、俺がやってきた深い森を結んだ直線上に位置する場所に大規模なゴブリンの集落があった。

 つまり、この集団は前線基地であり、森の大規模な集落が本拠地。しかも集落は深い森の外周部に位置している。要するに俺の気配を恐れて人里付近に移動してきた集落って訳だ。


「って、俺のせいかよおおおおおお!」


 なんというマッチポンプ。


 これは責任持って殲滅しておこう。

 ついでに色々と魔法のスキルを実験してみよう(むしろこっちが本題だったり)。


 森の集落は、ゴブリンキング率いる約百匹の集団である。


 さて、今回試したい属性攻撃魔法は

 火属性が、火矢(貫通系)、火玉(爆裂系)。

 水属性が、水玉(打撃系)、放水(放水系)。

 氷属性が、氷矢(貫通系)、氷玉(圧殺系)。

 風属性が、風刃(切断系)、竜巻(暴風系)。

 雷属性が、雷矢(感電系(麻痺・感電死))。

 尚、光属性については自重した。


 ゴブリン相手に実験というか実践した所、大体こんな感じだった。


 火矢、火の矢が貫通。頭部や心臓を狙えば相手は死ぬ。

 火玉、火の玉が爆発。相手は死ぬ。

 水玉、水の玉が当たる。打ち所が悪ければ相手は死ぬ。

 放水、放水が直撃。激流に巻き込まれて溺れたら相手は死ぬ。

 氷矢、氷の矢が貫通。頭部や心臓を狙えば相手は死ぬ。

 氷玉、氷の塊が当たる。氷の塊の衝撃に耐えられなければ相手は死ぬ。

 風刃、風の刃が切断。切断箇所によっては相手は死ぬ。

 竜巻、局地的な竜巻が発生。竜巻に巻き上げられて空に投げ出されたら落下して相手は死ぬ。

 雷矢、雷の矢で感電。感電して全身が麻痺するか、威力によっては相手は死ぬ。


 とまあ、大体相手が死ぬことになるのだが、水玉や雷矢は加減すれば相手を殺すことなく無力化できそうであり、これはいい収穫だった。


 まあ最弱モンスターでチビのゴブリン相手だから、他の魔獣全てに同じ効き目があるって事もないだろうけど、一先ずの目安にはなるだろう。魔法の使い勝手も分かったしね。


 それで、ゴブリンキングなんだが……、元々チビのゴブリンが大人サイズになっただけの存在というか、魔法実験してる最中にいつの間にか死んでた。


 そんなこんなで実験がてらにゴブリンの大規模集落は殲滅。

 死体は集落ごとファイアーブレス(地獄の業火版)で骨さえ残さず焼却。いちいち討伐部位を集めるのも面倒だし、大体俺が原因だしね。

 と言うか人化状態でも口からブレスが吐けてビックラこいた。他人ひとが見たらさぞかしトンデモナイ絵面であろう。

 尚、ファイアーブレスで森が延焼しかけて慌てて放水で消化したのは内緒である。ファイアーブレス、マジでヤバイ。


 村に戻り、森の大規模集落については隠し、討伐部位を渡しゴブリン集団の殲滅を報告。

 村長や村人に感謝され、報酬として数十枚の銀貨を貰った。



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