17.お友達からと言う事で
「さあ、交配の時間よっ!」
なにその生々しいワード! なにその爛々とした眼差し!
フーッ、フーッ! と鼻息を荒くして、せっかくの美人が台無しだ! 残念美人さんだ。
「ちょっと待って! えーと、ホーリアさん! ステイ!」
「なによお! じれったいわねえ」
「ホーリアさんはドラゴン種で聖竜、それで間違いないんですよね」
「なによ、鑑定したんでしょ。それで合ってるわよ」
「あ、いや、そういう事じゃなくて……。神とか、宇宙の管理者とか、そうした言葉を聞き覚えはありませんか?」
「神って、特定の人族が信仰してる存在でしょ? 私達、最上位のドラゴン種もそう呼ばれる事があるわよ。後の方のは知らない」
マジか? 竜神信仰って奴か? あ、いや今はそうじゃなく……。
「じゃあ転生って知ってますか?」
「知ってるわよ。ドラゴン種に限らないけど、最上位の存在は死んでもやがて生き返るって事でしょ」
「え、ホーリアさんも転生した事があるんですか?」
「私はまだないわよお、ピチピチの17歳だもん」
おい、500歳もサバ読んでんじゃない!
「えーと、その転生だと、同じこの世界に、同じ種族として転生するんですか?」
「そうよ、当たり前じゃない」
当たり前、じゃあない。少なくとも、俺にとっては……。
「ホーリアさん、落ち着いて聞いて下さい。信じられないでしょうが、俺はこの世界の人間、いや、ドラゴンじゃないんです」
残念美人さんは小首を傾げている。ちょっと可愛い。残念美人さんだけれども……。
「この世界とは違う世界で人間として生きてきて、死因は不明なんですが、気がついたらこの世界でドラゴンに転生してたんです」
「それがどうかしたの?」
「つまり、今はドラゴンだけど、元々は人間なんですよ俺」
「あら、私は根っからのドラゴンとして生まれてきたけど、人化できるし、人族として生きてますよ?」
「いや、そうじゃなくて」
「私はね、ずっと長い間、自分と同格の強大な力を持つ殿方を求めていました! 番となるために! そしてその殿方はやっと見つかりました……それが貴方です!」
「だから俺は元々はドラゴンじゃなくって、人間なんだってばあああ」
「でも今はドラゴンなのでしょう?」
「そうだけどお! そうだけれども、おおおおお!」
話が噛み合わねえなあ、コンチクショウ!
「なら何の障害もないじゃないですか」
「そうかもしれないけど、そうじゃない!」
「何がですの? 貴方の言葉はサッパリ理解できませんわ」
「アンタの言葉もサッパリ理解できねえよおおお!」
「私では不満というのですの?」
「いや、お前さんは美人さんだし、娶る相手が羨ましいほどだぜ」
「貴方が娶る相手ですのよ!」
「いや、だあああ、かあああ、らあああ!」
なにこの話が通じてるのに、話が全然通じてない感じ?
駄目だこれじゃあ。堂々巡りで話が進まない。仕方がない話の切り口を変えよう!
「えーと、アレだ……、お友達からお願いします!」




