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異世界テンプレ・ドラゴン転生  作者: あまたちばなルイ
19/90

17.お友達からと言う事で



「さあ、交配の時間よっ!」


 なにその生々しいワード! なにその爛々とした眼差し!

 フーッ、フーッ! と鼻息を荒くして、せっかくの美人が台無しだ! 残念美人さんだ。


「ちょっと待って! えーと、ホーリアさん! ステイ!」

「なによお! じれったいわねえ」

「ホーリアさんはドラゴン種で聖竜、それで間違いないんですよね」

「なによ、鑑定したんでしょ。それで合ってるわよ」

「あ、いや、そういう事じゃなくて……。神とか、宇宙の管理者とか、そうした言葉を聞き覚えはありませんか?」

「神って、特定の人族が信仰してる存在でしょ? 私達、最上位のドラゴン種もそう呼ばれる事があるわよ。後の方のは知らない」


 マジか? 竜神信仰って奴か? あ、いや今はそうじゃなく……。


「じゃあ転生って知ってますか?」

「知ってるわよ。ドラゴン種に限らないけど、最上位の存在は死んでもやがて生き返るって事でしょ」

「え、ホーリアさんも転生した事があるんですか?」

「私はまだないわよお、ピチピチの17歳だもん」


 おい、500歳もサバ読んでんじゃない!


「えーと、その転生だと、同じこの世界に、同じ種族として転生するんですか?」

「そうよ、当たり前じゃない」


 当たり前、じゃあない。少なくとも、俺にとっては……。


「ホーリアさん、落ち着いて聞いて下さい。信じられないでしょうが、俺はこの世界の人間、いや、ドラゴンじゃないんです」


 残念美人さんは小首を傾げている。ちょっと可愛い。残念美人さんだけれども……。


「この世界とは違う世界で人間として生きてきて、死因は不明なんですが、気がついたらこの世界でドラゴンに転生してたんです」

「それがどうかしたの?」

「つまり、今はドラゴンだけど、元々は人間なんですよ俺」

「あら、私は根っからのドラゴンとして生まれてきたけど、人化できるし、人族として生きてますよ?」

「いや、そうじゃなくて」

「私はね、ずっと長い間、自分と同格の強大な力を持つ殿方を求めていました! 番となるために! そしてその殿方はやっと見つかりました……それが貴方です!」

「だから俺は元々はドラゴンじゃなくって、人間なんだってばあああ」

「でも今はドラゴンなのでしょう?」

「そうだけどお! そうだけれども、おおおおお!」


 話が噛み合わねえなあ、コンチクショウ!


「なら何の障害もないじゃないですか」

「そうかもしれないけど、そうじゃない!」

「何がですの? 貴方の言葉はサッパリ理解できませんわ」

「アンタの言葉もサッパリ理解できねえよおおお!」

「私では不満というのですの?」

「いや、お前さんは美人さんだし、娶る相手が羨ましいほどだぜ」

「貴方が娶る相手ですのよ!」

「いや、だあああ、かあああ、らあああ!」


 なにこの話が通じてるのに、話が全然通じてない感じ?

 駄目だこれじゃあ。堂々巡りで話が進まない。仕方がない話の切り口を変えよう!


「えーと、アレだ……、お友達からお願いします!」


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