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卒業パーティで婚約破棄

卒業パーティで婚約破棄は止めましょう~王女の失態

作者: 岡島 光穂

2/4一部加筆修正しました。


 ここはクインス王国。

 王侯貴族の子女が通う学園の卒業パーティの最中、この国の第一王女であるアビゲイルが怒りの表情で、婚約者である公爵家嫡男のハインツ・エルムと向き合っていた。


「ハインツ・エルム! 貴方との婚約は破棄させていただくわ! わたくしという婚約者が居ながら別の女を侍らせ、婚姻前から妾の選定など許せるものではなくてよ!! それに、それが平民上がりなどと…わたくしをどれだけ貶めるつもりなのかしら!!」


 突然の宣言に、周りの会話が止まり、視線が集中する。


「アビゲイル王女……。婚約破棄、承りました」


 一瞬驚いた表情をしたハインツだったが、一つ嘆息し、アビゲイルの申し出を受け入れた。


「何? 一つの言い訳も無しって事? それとも隠していたつもりの事が暴かれて内心動揺でもしているの?」


 何の動揺も見せず淡々と話すハインツに、開き直ったのかとアビゲイルは嫌悪の表情を見せる。


「いえ、少々呆れはしていますが、動揺はしておりません」


 少し呆れを含んだ表情で、ハインツはアビゲイルに頭を下げ返答する。


「何ですって?!」


 駄々をこねる子供に対する様な対応に、アビゲイルは眉を吊り上げる。


「ただ一つだけ、この場で訂正をさせて頂ければと思います」

「……訂正?」


 下げていた頭を下げ、真っ直ぐにアビゲイルを見るハインツの言葉に、アビゲイルは疑問符を浮かべる。


「……こちらへ」


「はい…」


 ハインツが手で隣を差し示すと、少し後ろから可憐な少女が歩み出て、ハインツの隣に控える。


「はっ、その女よ! 平民上がりのみすぼらしい娘に庇護欲でもそそられたのかしら? 貴方の趣味を疑うわ!」


 婚約者の自分の前で、別の女を隣に置くハインツに対し、アビゲイルは怒りを露にする。


「ご紹介いたします。私の異母妹、フローラです」

「フローラ・バームでございます」


 その怒りを受け流し、平然とした顔で隣の女性の紹介をするハインツ。

 それに合わせ、紹介を受けたフローラはアビゲイルに対し、礼を取る。


「は…? 異母妹…? 家名が違うじゃない!」


 ハインツから発せられた言葉が呑み込めないアビゲイル。


「そうですね。これはフローラからの希望でしたので、秘密裏に進めていたのです。……王女殿下にも手紙でご報告はしていたと思うのですが…」

「しっ、知らないわ! どういうこと!?」


 アビゲイルは溜息交じりに説明をするハインツを怒鳴りつける。


「フローラ、こんな事になり…すまない」

「いいえ、私の我儘が原因です。こちらこそ申し訳ありません」


 ハインツとフローラは、互いに申し訳なさそうな顔をし、謝罪し合う。

 そして、すっとアビゲイルに向き直ったハインツは口を開く。


「このフローラは実母と共に、市井で暮らしていました。もちろん我が公爵家からの援助もしておりました。しかし、半年前フローラの実母が亡くなり、一人で市井に置くのはと当家へ戻す予定でしたが、王女殿下の降嫁が決まっている高位貴族として暮らすのは畏れ多いと言うので、遠戚で子の居ない子爵家の養子としました」


「そ…」


 アビゲイルに向き直ったハインツからの説明は、アビゲイルの言葉を奪った。


「本来ならば学園に通う予定は無かったのですが、父母が戻るまでまだ時間がある事と、私の結婚式までは王都で暮らす予定でしたので、王太子殿下からの勧めもあり、学園生活を過ごしてもらう事にしたのです」


「…お…にいさま…から?」


 自分が知らなかった事を兄は知ってた事に、アビゲイルの思考は真っ白になる。


「一部から嫌がらせ紛いの事を受けているという報告もありましたので、私の卒業にあわせて学園を去り、父母との顔合わせが終わり次第子爵領へ向かわせる予定でした」


「では…浮気や妾というのは……」


 ハインツの説明が続くにつれ、アビゲイルの顔から血の気が引いていく。


「一切ございません。私は公爵家嫡男として、そして王女殿下の婚約者として、努めて身綺麗に過ごしてきたつもりです。婚約者以外の女性を『侍らす』という様な事もございませんし、異母妹相手に浮気も何もある訳が無いでしょう」


「そんな……」


 ぐうの音も出ない内容に、アビゲイルは何も言う事が出来ない。


「しかし、自分は王女殿下からの信を何も得られていなかった模様。婚約破棄を受け入れ、これからは王都を離れ公爵領で過ごそうと思います」


「いやっ、違う、違うの」


 ハインツの王都を去る決意を聞き、アビゲイルは取り乱す。


「何が違うのでしょうか? 私からの報告も見ず、別の方からの進言を信じられたのですよね? それに、勘違いをしていたとはいえ、我が妹に対する言動は王族として褒められたものでは無いと思います」


「だって、ヴァージルが言っていたのよ?! 貴方が浮気をしていると! 妾にする為に平民を子爵家に養女に入れたと!」


 今まで向けられた事の無い冷たい目線に晒され、アビゲイルの瞳に涙が浮かぶ。


「ヴァージル・シーダですか……では、これからも彼を信じれば良いのでは? 婚約者として信を得られなかった私など放っておいて」


「ちが…」


 自分は悪くないと訴えて、全く取り合って貰えなかった事など今までなかったアビゲイルは、どうしたら良いのか分からず、子供の様に首を横に振る。


「申し訳ありませんが、これ以上の問答は不要かと思います。手続きや報告等色々ありますので、こちらで失礼をさせて頂きます。……行こう、フローラ」

「はい、お兄様。王女殿下、御前失礼致します」 


 二人揃ってアビゲイルに礼を取ると、ハインツとフローラは会場を後にした。


「待って、ハインツっ!」



 ───叫ぶアビゲイルを振り向く事はせずに。










「嘘よ、嘘! 手紙になんて……」


 ハインツが自分に見向きもせずに会場を去った後、アビゲイルも直ぐ会場を後にし、急ぎ王宮の自室へ戻って来ていた。

 ハインツが言っていた手紙を確認するために。


「アビゲイル」

「お兄様!」


 手紙を探し、人払いをして読み始めようとした時、部屋の扉が開き王太子である兄サミュエルが入ってきた。


「ハインツに、婚約破棄を言い渡したそうだね」

「それ…は……」


 サミュエルの、優し気な微笑みのまま威圧を含んだ声に、アビゲイルは言葉を詰まらせる。


「既にハインツからも報告は受けているのだけれど……本当に馬鹿な事をしたものだ」

「なっ…」


 溜息交じりにサミュエルの口から出た言葉にアビゲイルは顔に朱を走らせる。


「卒業を祝う会の最中に、しかも大勢の前で言う事では無いだろう。浅慮が過ぎるにも程がある」

「だって……」


 淡々と、反論の出来ない内容を話すサミュエルに、アビゲイルの視線は下がる。


「ハインツが真面目な性格なのは知っているだろう? フローラ嬢の事を知らなかったのは、王族として、婚約者として恥ずべき事だと何故分からない」

「そんなの知らないわ! 本人が来て説明すれば良かったのよ! ここ半年は忙しいばっかりで!!」


 サミュエルの言葉に弾かれる様に顔を上げ、アビゲイルは反論する。


「まさか……この半年、ハインツが忙しい理由を知らないのか?」

「知らないわよ!!」


 少しだけ驚いた顔をしたサミュエルだったが、何か思い当たった様に眉を少し寄せ、アビゲイルに問いかける。

 反射的に怒鳴るアビゲイルに、サミュエルは深く息を吐く。


「……お前は本当に、未来の公爵夫人としてハインツを支えるつもりがあったのかすら怪しくなってきたな」

「何ですって?!」


「半年前の大雨で、王国全体で被害が出たのは知っているな?」

「その位知っているわよ」


「では、その中でもエルム公爵領で甚大な被害が出た事は?」

「………え?」


 サミュエルの問いに、アビゲイルは呆然とした声を返す。


「エルム公爵領は大きな川と肥沃な大地を持つが、治水が一部遅れている所があった。そこで氾濫が発生した他に、別の個所で鉄砲水と大規模な土石流も発生した」

「そんな……」


「今は公爵夫妻が領に戻り、被害からの復興に尽力している。そして、ハインツはそこから上がってきたものを纏めたり、公爵の代理として王都での仕事を任されている。……そこに追い打ちをかける様にフローラ嬢の実母の死だ。ハインツが学園に殆ど通えていなかった事にも気づかなかったのか?」

「だって…そんな……」


 サミュエルの語る内容に、アビゲイルは混乱する。

 ただ忙しい、としか知らなかった。知ろうともしなかった。


「お前と直接会う時間は取れずとも、ハインツから贈り物や手紙は何度も届いていた筈だ。それすらも読んでいなかったと?」

「書き出しが忙しい事を詫びる内容ばかりなのだもの……そんな事が書いてあるなんて気付かないわよ!」


 唯一の手段だったであろう手紙を読んでいなかった事を指摘され、アビゲイルは逆上する。

 最後まで読みたいと思わせる書き出しをしないハインツが悪いのだ、と言わんばかりに首を振る。……ここ最近は手紙を開ける事すらしなかった事を振り払う様に。


「本当にお前は……。お前に色々吹き込んだヴァージル・シーダがどういう男か、シーダ家がどういう家かも分かっていないのだろうな」

「ヴァージルが何だというの? 悲しんでいるわたくしを慰めてくれたのよ? 確かに勘違いはあったのかもしれないけれど…」


 呆れを隠さないサミュエルから突然出されたヴァージルの名に、アビゲイルは怪訝そうな顔をする。

 忙しいハインツに不満を持っていたアビゲイルを、慰めてくれたのはヴァージルに間違いないのだから。


「貴族の勢力図も知らないとは思わなかったよ、アビゲイル」

「どういう事…?」


「シーダ侯爵家がエルム公爵家を目の敵にしていた事は? ヴァージルがハインツに劣等感を抱き、蹴落とす隙を虎視眈々と狙って事は?」

「え……?」


 聞いた事の無い話に、アビゲイルは言葉を無くす。

 確かに、ハインツとヴァージルが仲良くしている所は見た事が無いが、喧嘩をしている所も見た事が無い。ハインツに劣等感を抱いているなんて、欠片も気付かなかった。


「エルム公爵家にお前が降嫁するのを防ぐ為に、王家との結びつきを強固にしない為に、エルム公爵家を追い落とすスキャンダルの為に、お前に近付いたとしか思えない。ああ、もしかしたら婚約者を自分に変更させたかったのかもしれないな」

「ヴァージルが……そんな…」


 サミュエルから紡がれる言葉が、アビゲイルの思考を混乱させる。

 優しく慰めてくれていたヴァージルが、実はそんな事を考えていたのかと。ハインツとの仲を裂く為に動いていたのかと。


「実際、殆どが嘘だったではないか。それに、お前が降嫁するのも防げた。今回の現場にヴァージルは居なかったのだろう? 今更お前が何を言おうと、ヴァージルに責を押し付けている様にしか見えないし、『そんなつもりは無かった、本人に確認すれば直ぐ分かる事だから』、と言われたらおしまいだしな。どうせ、言われた事を鵜呑みにしていただけなんだろう?」

「わたくしは騙されただけです! 婚約は継続します!!」


 ヴァージルに騙されていた事は明白と、アビゲイルは声を上げる。

 騙されていただけとハインツに訴えれば、きっと彼は許してくれるはず、と。


「あの様な場で宣言しておいて、『間違いでした』が通ると思うのか? 王族として自分の言動に注意しろとあれほど言われていたのに! それを『騙されただけ』等と…恥を知れ!!」

「ひっ…」


 呆れを通り越し、怒りを露にしたサミュエルに至近距離で怒鳴られ、アビゲイルは恐怖を感じ、後ずさりをする。


「お前とエルム公爵家、どちらを選ぶかはもう決まっている。ハインツは有能で人望もあり器も大きい。私の右腕として必要な人物だ。……分かるな?」

「いや…いやよ……。だってハインツはわたくしを大切にしてくれなかったじゃない! わたくしを一番にしなかったハインツが悪いんじゃない!!」


 冷めた瞳でアビゲイルを見据えたサミュエルは最後通告を突きつける。

 子供の様に涙を流し、駄々をこねる様に首を振るアビゲイルに、サミュエルは嘆息する。 


「では、お前は?」

「……え?」


 静かに、端的に切り出された言葉に、アビゲイルは動きを止める。


「ハインツを大切にしたか? 忙しい事を詫びるハインツに何を返した? 身体を心配したか? 手伝える事が無いか確認したか? そもそも返事は送ったのか?」

「それは……だって……」


 サミュエルの問う内容に、アビゲイルの視線は泳ぐ。

 自分を構ってくれないハインツに勝手に腹を立て、噂を信じ込み、手紙も読まず勿論返事すらしていない。

 そんな事、今のサミュエルに言えば更に怒られるに決まっている、とアビゲイルは言葉を濁す。


「大事にされ、甘やかされる事に慣れすぎ、自分に都合の良い言葉のみを信じる様な者が公爵夫人としてやっていける筈もないだろう」

「そんな事、教えられてないもの!!」


「……お前は、どの勉強をすればいいのか、筋道を立てて一から教えなければ学ばないのか。自ら必要な学びを選ぶ事すら出来ないのか。王族として本当に恥ずかしい」

「───っ!」


 一瞬絶句したサミュエルは、心底呆れた様に首を振る。


「私の婚約者は妃教育以外にも、自ら勉強をしている。お前の知識量を遥かに凌駕しているにも関わらず、更にだ。望めば受けられる教育すら見て見ぬふりをして、自分の楽しみだけを優先してきた結果が出たな」

「ひどい……」


「ひどい? それは努力を続けた者が言うべきだ。……もしかしたら、ヴァージルには感謝しなければいけないのかもな。ハインツにいらぬ苦労をかけさけずに済んだ。とりあえず、お前はこれからすぐ離宮に移動し、謹慎となる。沙汰が下るまで大人しく待て」


 真っ直ぐにアビゲイルを見据え、サミュエルは離宮への移動を申し付ける。


「わたくし……ハインツに…」


 一度は止まった涙を再び流しながら、アビゲイルの口からハインツの名が漏れると、部屋を去ろうとしていたサミュエルは振り返り、口を開く。


「会う事を許す筈が無いだろう? 謝罪は王家から行う。お前からの謝罪は必要無い」

「そんな……」


「お前はそれだけの事をしたのだ。それに、お前は謝罪をしたら許されると思うのだろう? 許される為の謝罪は、お前の自己満足に過ぎない。ハインツに失礼だ」

「だって謝れば、皆許してくれるじゃない…。……謝らなければ、許して貰えないじゃない…」


「皆許したのはお前が王女だからだ。本心から許されていると思っているのならば、お前は幼子と変わらない。謹慎中に再教育が必要と陛下に進言しておこう」

「お兄様っ!」


「本当に残念だよ。ハインツと義兄弟になれる事を楽しみにしていたのに…」

「だったら…」


「だからこそ、お前の今回の行動は許せない。深く反省しろ」

「あ……」


 冷たい瞳に射抜かれ、兄の怒りの深さを思い知らされたアビゲイルは、扉が閉まると同時にその場に崩れ落ちた。






「わたくしは……」


 ───これからどうしたらいいの…?


 呟きは声にならず、茫然と唯々涙を流していた。





▽会場を後にし、公爵家へ向かう馬車内のハインツとフローラの会話



「お兄様…」

「何だい? フローラ」


「王女様との件、本当に婚約破棄で良いのですか? 私が邪魔を…」

「泣かなくて良いんだよ、フローラ。仕方の無い事だ」


「でも、私が我儘を言わなければ、あの様な誤解も生まれなかった筈です。それに、私が学園に通ったせいで余計…」


「いいや、私がアビゲイル様から信頼されていなかったせいだよ。自分を肯定してくれる言葉を信じがちだった事を知りつつ、忙しさを理由に丁寧な対応が出来なかったからね」


「忙しさこそお兄様のせいではっ」


「……もしかしたら、私も疲れていたのかもしれない。何度か王宮に報告へ行った時も、直接会おうと思えば少しの時間は作れた。…けれど、その時間を厭うてしまったのも確か。アビゲイル様は愛される事を当たり前に受けてきた方だからな。……時間を作れない事を責められると、心のどこかで恐れていたのかもしれない」


「お兄様…」


「だから、私のせいでもあるんだ。罰は甘んじて受ける。それに、フローラが子爵領に行く前に家族で過ごす時間が増やせることは良い事だ。ただ……王太子殿下には申し訳ない事をした」


「王太子殿下に、ですか?」


「殿下の治世を側で支えるとお約束していたのだけれど、こうなってしまえばもう叶わない事だろうからな」


「そんな…」


「いいんだ。領地で出来る事もある。近くに居なくても、お支えする事はきっと出来る筈だ」


「お兄様…」


「だからほら、もう泣かないで笑ってくれ、フローラ」


「………はいっ!」


「ああそうだ。今回フローラが当家の血縁だと公表してしまったから、多分縁談が舞い込んでくる。けれど、基本的には全て断るつもりだ。……フローラは心から愛せる相手と一緒になればいい」


「いいの…ですか?」


「ああ。貴族に拘らなくていいんだ。勿論平民だって問題無い」


「しかし、子爵家は…」


「それこそ気にしないで良い。子爵家を継がせるために養子にしたのでは無いしね。貴族と婚姻なら子爵家という身分が役に立つし、平民となら貴族籍を外れれば良い。フローラの好きにしていいんだ」


「……ありがとう、ございます」


「ああ、また涙が」


「すみません。お兄様の心遣いが嬉しくて…」


「両親も同じ考えだよ。皆、フローラの幸せを祈っているよ」


「お父様達も……嬉しいです」


「子爵領に行く前には皆で思い出を作ろう。私達家族の事を、しっかりと覚えていて欲しいからな」


「はい! 楽しみです!」












▽蛇足

・アビゲイル

 離宮へ移動後、ハインツからの手紙を全てしっかりと読み直し、自分の浅はかさを悔やむ。数年離宮で過ごした後、隣国の側妃になる為国を出る。

 結局ハインツへの直接の謝罪は許されなかったが、手紙で悔いている事、迷惑をかけた事の謝罪はする事が出来た。


・ハインツ

 アビゲイルとの婚約は破棄ではなく白紙となった。

 王家からの謝罪に困惑を隠せないものの、家に迷惑がかからずに済んだ事に少しホッとした。

 新しい婚約者との仲は良好。サミュエル殿下の右腕として誠心誠意お仕えいします!(すごく良い子)


・サミュエル

 アビゲイルのハインツへの言動に、一番怒っていた人。

 ハインツの事は唯一心を許せて、公私ともに信頼できる人と思っているのに、自分の側から居なくなるなんてあり得ない! が根っこにあります。婚約者大好き。


・フローラ

 数ヶ月公爵領で過ごした後、子爵領へ。

 子爵領で出会った商会の息子と恋に落ち、数年後結婚。

 商会で働く事が性に合っていたらしく、フローラ達の代に販路を広げたり良い成長をする。平和で幸せな人生を送る。


・ヴァージル

 婚約破棄の場に居なかった事、アビゲイルへの言葉も確証が得られなかったため、表立っての処分は無し。陰で噂される程度。

 但し、サミュエルからは目を付けられている為、重要なポストには就けず、それを察した周りの有力な貴族は離れていった。


・サミュエルの説教の途中、エルム領の被害について知らなかった事を怒ったのは、王国に災害が起こった事は知っていても、婚約者の領地で且つ自分の降嫁先なのに被害が出たか否かの情報収集すらしなかった事です。王国全体の被害状況を知れ、と言っている訳では無いです。



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