山賊
処刑前日の夜
俺は逃げた。
この体はいい。いくらでも走ることが出来そうだ。
それくらい兵士の体は丈夫で鍛えてあったが、限界を迎える。
山を半分くらい登った頃だろうか。
寒気とだるさ、頭痛が襲う。
もう、ダメだ。そう思っていると山小屋を見つけた。
「おい、誰かいないのか。くそ、鍵がしてある。こうなったら。」
俺は玄関の横にある窓ガラスを割って小屋の中に入った。
俺はその晩毛布に包まって寝た。
処刑日
俺は蹴り起される。
「ごはっ。何しやがる。」
「おめえ。こんなとこで何してやがる。俺たちの小屋でよう。」
そこには、大剣を片手に持つ大男と十数人の男がいた。
「兵士くずれだな。ふん。こいつ売り飛ばしても得がねえ。まあ、俺もそうだが。もういい。どっか行きやがれ。おい、おめえら明日のオルフェ公爵誘拐の作戦会議だ。」
「おう!」
オルフェ公爵。俺を踏みつけた奴だ。
「なあ。その作戦、俺も混ぜろよ。」
「なんだ。こいつ。いきなり。殺すぞと言いたいが今回の作戦には人がいる。その目、何か訳ありのようだな。いいだろう。こっちへ来い。」
作戦会議
「ここからここまでの山道は細く崖に囲まれた道だ。。しかも、騎士どもは馬に乗って移動しているため山道での戦闘及び追跡がやりずらい。だから、さっき崖の上に土砂を置いてきた。これで、道を塞ぎ中の騎士たちを上から襲い掛かり公爵を誘拐する。狭い道だから騎士たちの数も少ない。」
「だが、道を塞いでしまっては、公爵を連れて逃げれんだろう。」
「俺たちは崖を登れる。公爵のほうだが、あらかじめ用意してある岩に縄を括り付けて置き、滑車を通じて公爵につなぐ。合図を送れば上で待機している仲間が岩を落とし公爵が上がってくる。こうすりゃ、簡単に移動させられる。安心しろ。何回も試してある。多少崖にぶつかるが死にはしない。」
「わかったな。野郎ども。」
「おう。」
他の山賊たちの士気の高さ。この男は侮れない。
「明日、見張りから連絡が入り次第決行する。それまで待機だ。新入りちょっと来い。」
「はい。」
奥の部屋に連れていかれる。
「背中を出せ。」
「は?」
「いいから出せ。」
「熱っ!」
背中を出すと背中に隷属印を押された。
「お前はまだ信用できるかわからんからな。裏切られては困る。これは、命令以外のことをすると体に激痛が走るやつだ。本当にいいものは魂に刻み込み一生効力があるが、それは安物だから体に刻み込むタイプで解呪の魔法が使えれば外せるがまあ、今はそれで大丈夫だろう。もう、いいぞ。明日に備えろ。」
「はい。」
背中に押された烙印の傷は痛くなかなか寝付けなかった。
滑車の耐久力的に難しいかもしれないですが気にしないで頂ければと思います。