処刑
処刑執行前日
「おじさん。ここから出してよ。」
「なんで地下牢にガキが入ってやがるんだ?まあ、いい。仕事が早く片付いた。」
ドサッ。
「なんで、父さんと母さんが。何したの?てめえがやったのか!」
「口の利き方のなってないガキだな。」
俺は足で頭を踏まれた。
「オルフェ様お時間です。」
「ふっ。まあいい。おい、お前ここでこいつら見張っていろ。」
「はっ。」
オルフェ公爵は、仕事に戻る。
「兵士さん。俺たちがなにをしたんだよ。教えてよ。どうしてこんな目に合わないといけないんだ。俺はレグール家の跡取りだぞ。こんなことしてもいいと思ってるのか。」
「口の減らねーガキだな。いいかガキ。お前の親父たちは大罪人だ。王家に歯向かったんだ。だから御家の取り潰しどころかお前らは明日処刑されんのさ。わかったら寝てろ。」
そう言って兵士は再び見張りを続けた。
夜
地下牢の中には淡い月明りが差し込む。
「これが最後に見る月か。なんて細いんだ。嫌だ。死にたくない。」
そんなことを思っていると、天井の柵から一匹の蛇が入ってきた。
「!。蛇はいいな。どんな狭い隙間もすり抜けられる。そうだ。蛇になら俺の精神魔法が使える。あの蛇と入れ替われば逃げれるかも。」
アルは蛇に精神魔法をかけた。
「よし。あとは抱きつくだけ。」
アルと蛇が入れ替わった。
「シー。(よし。成功。)シー。(あれ、頭が回らなくなっていく。)シー。(兵士に乗り移るか)シー。(乗り移る)シー。(コロス)」
だんだん頭が蛇に侵食されている。
蛇は兵士の首に巻きつく。
兵士と蛇が入れ替わった。
蛇(兵士)は寝たままだった。
兵士はだんだん元の人間のような考えを取り戻していた。
アル(蛇)は急激に脳が大きくなったためまだ適応できていなかった。
アルは必死に逃げた。
他の兵士たちにも見られたが誰も気にならなかった。
まさか入れ替わっているなど微塵も思わなかったからだ。
アルは無事逃げることが出来た。
だが、その後のことは考えていなかった。
とりあえず、領地にいては危険だ。領地から出よう。
アルは領地境の山へ身を潜めた。
処刑日
「うお。でけー蛇だな。寝てやがる。全く見張りは何してやがんだ。何もなかったからいいものの。よし、時間だ。出ろ。」
オルフェ公爵の兵士たちがレグール夫妻そして、アル(蛇)を連れ出そうとする。
「放せ。人間。かみ殺すぞ。」
「痛てて。このガキ噛みやがった。大人しくしてろ。」
アル(蛇)は離れるまで殴られ、蹴られ続けた。
離れた頃には抵抗できないほどボロボロになっていた。
処刑台の上
広場に作られた処刑台には多くの民衆そして王自らが訪れていた。
「これより反逆者レグール家の処刑を始める。」
オルフェ公爵が処刑台の上で叫ぶ。
王が立ち上がった。
「この者たちは我が王家に歯向かった反逆者だ。儂はこれを許すわけにはいかぬ。王家に歯向かった者の末路を知るがよい。」
王はゆっくりと右腕を挙げる。
「よし、やれ。」
兵士は剣を振り下ろした。
二人と一匹の命が消えた。
蛇が巻き付くのは抱きつくとして判定してください。よろしくお願いいたします。