王様
儂は、この国の王アルバート10世。
またの名をレグール・ド・アルバード。
そう、初代レグール家当主である。
儂はこの国を乗っ取ったのだ。
儂はずっと初代アルバート王を恨んでいた。
戦では儂が主に指揮をとってやっと得たこの領土なのに儂は伯爵の宮廷魔術師止まり。
だから、儂は王と体を入れ替えた後自分の体を崖から突き落とした。
これは、不運な事故と処理されている。
その後は死ぬ間際に息子と体を入れ替えることで今まで生き延びてきた。
大金をはたいて最高の魔法やポーションを使えばどんな病でもどんな怪我も治せたが老衰だけはダメだった。
それは、世界共通の一般常識で魔法学でも証明されていた。
私は、体の老衰を止めることが出来ないなら体を変えてしまえばいい。そして、偶然出来たのがこの入れ替わりの魔法だ。
だが、この魔法も完全ではなかった。
何回も入れ替わっているとほんの僅かだが魂が削られている。
あと、儂はもう1、2回しか入れ替わることはできないだろう。
どちらにせよ死が近づいている。
王宮 王の寝室
「なんだ。朝から。何?レグール家夫妻が意識がなくなり昏睡状態とな。」
「はい。今朝がたレグール家に忍ばせていた影のものが。どうやら夫婦の営み中に襲われたようで、二人抱き合ったままだっだそうです。」
王の服の着替えを手伝いに来ていた影から報告を受ける。
「そうか。他に何か変わったことは?」
「レグール家の嫡男が地下牢にそして、ベットの下にナイフが。そして、メイドの一人が何者かに殺害されていました。今その足取りを追っています。」
「わかった。引き続き調査を頼む。そして、レグール家が王国に謀反を起こそうとして返り討ちに遭って意識不明と噂を流せ。レグール家に悪いが王国に歯向かったものがどうなるかわからせる薬にでもなってもらおう。最近儂のことをよく思わん貴族も多いし、いいように使うぞ。」
「はっ。」
王は着替えを終え仕事に向かった。
王宮 その日の昼の面会の場にて
「王よ。私が呼ばれたのはレグール家が謀反を起こしたことと何か関係が。あのレグール家が謀反を起こしたのは本当のことなのでしょうか。」
「話が早いなオルフェ公爵。ああ。残念ながら本当の話だ。レグール家は取り潰すしかあるまい。レグール家の人間は明日処刑をすることにした。お前には処刑の準備とレグール家の領地の一時的な統括を命ずる。よいな。」
「はい。わかりました。」
この男は国に忠義の熱い男だ。こいつに任せれば大丈夫であろう。
ふん。これで、当分儂に逆らうものも出てこんだろう。
しかし、儂の魔法陣はそこらへんの奴には見えんようにしてある。と、いうことは誰か見えるものがいるということだが、地下牢にいる嫡男が怪しい。このことが公になっても困るから一緒に口封じをしといたほうが良いの。
この的確な判断は長年生きてきた勘と王固有スキル「先見の明」によるものだった。