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戦場

戦場

俺は急いで戦場に向かった。


近づくにつれ雪が血の色になる。


戦場はとても酷いものだった。


獣人たちが倒れるまで戦わされている。


怪我をしても治療もうけることもできず生傷の絶えない状態でお互いに殴り合い、斬り合い、殺し合っていた。


魂に命令を刻まれているから逆らうことのできないまま戦わされているのだろう。


こうなってしまっては主人を殺すしか方法がなかった。


体の奥から怒りやそれとはまた何か違うどす黒い感情が芽生えた。


「許せない。」


俺は戦場の中心に向かって走った。


「エリア。威力最大で魔力をくれ!」


「そんなことしたらアルが・・・。」


「そんなこと言ってる場合じゃない!やれ!」


「どうなっても知らないよ。」


体に大量の魔力が注ぎ込まれる。


体の中から破裂しそうだ。


「スリープ!」


俺は戦場一帯に魔法を放った。


戦闘奴隷たちは眠りについた。


「かなり強力なものを放ったから2日は寝ているはずだ。でも時間がない。エリア、とりあえずこの人達を運ぼう。このままだと凍死してしまう。」


「わかった。こうすればいいんでしょ。」


エリアは風の魔法で戦闘奴隷達を浮かせ運び出した。


「テントに戻って世話をしてもらおう。数は・・・800名ぐらいいるが・・・まあ、なんとかなる。」


「運んどくわ。」


それよりも早く主人を探さないと・・・。結衣さんと合流したほうが早いかもしれない。


エリアの魔法でここら一帯の雪をどかしてもらえば早いかもしれない。


「ライトニング・スピアー!」


俺に向かって電撃の矢が放たれる。


「奴隷達をどこへやった。強力な魔力を感じて来てみれば。さっきまでいた小娘の奴隷かなにかだろ。さっさと主人の居場所と私の兵士を返せ。次は当てるぞ。」


茶色いローブを着た老人魔法使いだ。ちょうど良かった。こいつを使えばなんとかなるかもしれない。


「知らないな。寝てろ!」


重い体を動かし俺は殴りかかった。


「なかなか早いな。だが、遅い!」


避けられた。


「まだまだ儂も衰えてはおらんな。くらえ!ライトニング・」


詠唱中に俺は老魔法使いを気絶させた。


「アル。戻ったよ。誰?その人。」


「多分王国軍の魔法使いだとは思う。エリア魔力をくれ。」


「まだ休んだほうが。」


「そんな時間はない!」


俺は精神魔法で老人を操り、王国軍まで案内してもらうことにした。

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