不安
各国に王の体と宣戦布告の書状を送り付け、頭は城の前に晒された。
「王よ。なんと言うことしたのですか。この国が終わってしまいます。」
「何を言っておる。この国は確かに戦場となるだろう。だが、各国の軍が集まればいざこざが起こるであろう。そのいざこざが大きく発展する。その時、弱った敵を討てばよい。それまで本軍は隠しておけばよい。」
「・・・さすがです。王よ。では、手筈を整えます。」
こいつの周りには馬鹿しかいないのか。
軍を各地にわからないように配置をさせたがすべての兵を獣人軍に襲わせた。
城から抜け出し、数名は体を入れ替えて怪しまれないようにした。
あとは、各国の軍が来て戦争の火種をつけるだけである。
各国の軍勢がライト国に進行する。
それぞれ二つの連合軍となって押し寄せてきた。
たが、することは変わらずむしろ楽になったと言ってもいい。自ら近くにいるのだから些細なことで崩壊できるだろう。
数か月後
二つの連合軍は平野に陣を敷くことなく同時にせめてきた。
予想をしていなかったことだが問題ない。
戦っている最中に入れ替えれば混乱するだろう。
しかし総勢30万の大軍である。
数が多い。
しかもその多くが獣人の戦闘奴隷である。
人だけを狙って上手くいくであろうか。
俺はアリーナの体に入り戦場となった城下町を駆け回った。
隠れることで気づかれずに行動に移すことが出来た。
想像とは違っていた。
敵の兵と体を入れ替えれば敵兵同士で討ち合い混乱が生じると思っていた。
だが、敵兵に入れ替わっていることに驚いているうちに味方に殺されるのである。
なのであまり混乱を生むことが出来なかった。
だが、真の問題はそこではない。
圧倒的な数で押されているので城兵と敵兵を入れ替えても減る数は一緒だが時間とともに圧倒的に不利となっている。
むしろ入れ替えた行為が状況を速めていた。
たいした混乱も生まれないまま1日で戦争は終わってしまった。
ライト王も殺され両連合軍は引き上げる。
作戦が失敗し世界大戦にならなくなった。
魔王城に戻ろう。
魔王城
「魔王様。申し訳ありません。」
「仕方がないよ。これなら連合軍が集まった時に魔王軍が上空から攻めたほうがよかったね。」
とても軽い返事だった。
この方は本当に世界を取ろうとしているのだろうか。
「そんなことより今晩どう?泊まっていかない?」
「いえ。お断りします。失礼いたします。」
私が犯した失敗はあまりにも大きく、世界の統一をかなり遅らせてしまうはずだ。
魔王様は本当に世界統一を考えているのか。
しかも最近は女にばかり熱心になって。
これでは獣人の者たちも危ういな。
これからの身の振り方を考える必要があるかもしれない。




