魂喰
不快な表現が含まれています。
砦を攻略された次の日の昼
「そろそろ敗走兵が付き始めるころだ。兵と大砲、弾薬の準備を怠るな。あと、今度は威力を最大まで強めろ。気を引き締めろよ。」
「オー!」
「見せしめに始末した老獣人を磔にして飾っとけ。向こうが怒りで突っ込んでくるはずだ。そこを撃て。多少死んでも構わん。後で増やせばよい。」
砦付近 森
「はあ。はあ。あともう少しで国に着くぞ。妻や娘が待ってる。急がねば。」
獣人兵は走りようやく国付近にたどり着いた。
「遅かったか。人間どもに奪われている。どうすればいい。」
「皆で団結して打ち破るにしても。」
ガサガサ。
「だっ誰だ。」
「フォーチュン家のアリーナです。」
「なぜフォーチュン家のご息女がこんな場所に。」
「それが、森で奴らの足止めの役割を任されました。が、役目を果たせずに最初にいた2000の兵も今では私の他には数十人ほどしか。」
「何を・・やっているのだ。足止めをきちんとしていればこんな最悪の事態には・・ならなかった。お前らのせいだ。きちんと国を守っていないお前らのせいだ。」
「お前らのせいだ。お前らのせいだ。お前らのせいだ。お前らのせいだ。お前らのせいだ。お前らのせいだ。」
この憎悪、怒り、悲しみ、無力さ、無知、これらの感情全てを誰かのせいにするしかなっかった。
その感情は全てアリーナたちに向けられる。
「アリーナ様。逃げましょう。アリーナ様が出来ることはもうありません。」
「おい。お前たちは。」
「私たちにはやらなければならないことがあるんです。どうか、生き延びてください。」
数名の若い兵士に連れられ私は森の奥へ進んだ。進むしか選択肢がなかった。
「おい。あそこにオヤジが磔にされてる。あっ。あっちには近所の。なんて酷いことを。」
皆の中で何かが崩壊した。
「ああ、もうダメだ。・・・・アハハ・・・あれ?我が母国だあ。なんでこんなところに~。そうだあ。今から帰るところだったんだ。みんな、帰ろうよう。行け!行け!帰ろう。」
「あ!馬鹿!勝手に突っ込んでいくな。おい。命令を。・・・もういい。総員突撃!」
次々と森から獣人兵が突撃してくる。
「よし、ここから本番だ。ゆっくり。そうだ。今だ。放て。」
ドーン!
無数の砲弾が撃ち込まれる。
爆風で気絶している者、降伏してくる者、何とか国に着いた者は捕らえられた。
そして、獣人の国は滅び人族のものになった。
森の奥地
俺は何をしているんだろう。
「アリーナ様。こちらです。」
アリーナ・・・誰だっけ。ああ。この体の名前だ。
結局、何もできなかった。
「もうだいぶ暗くなってきました。ここらで休みましょう。」
突然暗闇から少女が飛び出してくる。
「アハ。お兄さんたちなにしてるんですかあ~。ねえ~ねえ~。なにしてるの~。」
黒髪で黒い瞳の何か不気味な少女だった。
「こんな所でなにしてる。あっちへ行け。人族。」
「アハ。人族 だってえ~。あんな奴らと一緒にしないでもらいたいわあ~。ムカついちゃった。えい。チュ♡。うふ。」
兵士一人が倒れる。
「モグモグ。アハ。よっわ~い。うける~。」
「何をした。アリーナ様早くお逃げください。」
「なあに?って食事をしただけ~。君たちもするでしょ~。しょ く じ♡アハ。だって、私ソウルイーターなんだもん。み~んな私のゴハンよ。は~。死んだ後の魂よりもやっぱり生きてる体から直接取った魂のほうが美味しいわ~。まあ、戦場でいっぱい獣人の魂食べたから~あなたたちはデザ~トですわ~。」
「おい。アリーナ様を連れて逃げろ。俺が相手だ。」
「アハ。かっくい~おにいさん。チュ♡。モグモグ。でも、そんな金属の塊じゃあ傷一つできないわよ。あ。聞こえてないかあ。」
また、兵士が一人倒れた。ソウルイーターはお腹を撫でながら楽しんでいる。
「あとわあ~。君たち二人だけ。アハ。ど~するの?大人しく~私のお腹の中に入る~。まあ、入ったら入ったでずうっとこの体の中にいることになるんだけどね。」
ソウルイーターの目が赤く光る。
「はあ。くらえ。」
闘気を纏わせて斬りかかる。
「だから~効かないって言ってんじゃん。分からない子だね~。そんな子には食べられる以上の苦しみをあげるね。」
ソウルイーターは手を叩いた。
突然兵士が苦しみだす。
「あっつ。あが。あがが。」
「どう?炎で魂が燃やされている感覚。この炎はね、魂を燃やしてるの。けど燃え尽きない。まあ、よ~するに 永遠の苦しみを味わいながら私の体に入る ってことよ。アハ。頂きます。チュ♡。フフ苦しんでる。苦しんでる。ラストは~お嬢ちゃんだよ~。逃げないし~騒がないね。いい子だけど~つまんない!」
俺は覚悟していた。周りをめちゃめちゃにして生きている資格はない。
「ふふ。まあ~いいわ。お姉さん。まあ見た目は同じく位だけど優しく食べて。・・・待って。なにこれ?魂に刻まれてるの魔法陣じゃあない。危なかったわ。ソウルイーター用の仕掛けだわ。それ以外に考えられない。もし違っているのなら頭イカレテルとしか言いようがないわあ。だって、リスクが高すぎるんですもの。しかし、恐ろしい子ねえ。騙されるところだったあ。・・・困ったわねえ。向こうから私に攻撃できないけど、こっちも魂に攻撃できないじゃない。もういいわ。帰る。お腹もいっぱいになったことだしね。あなたとはまた、会いそうな気がするわ~。じゃあねぇ~。」
ソールイーターは森の暗闇に消えていった。




