獣人
獣人の国
俺は、まだ檻の中に入れられていた。
檻の中には、沢山の人族、ドワーフ族なかには、エルフもいた。
「お嬢ちゃん、何があったのかは知らないが元気をだしなさい。この国は比較的奴隷に対しての扱いがやさしい国だから売れれば他の国よりましなはずよ。」
「うん。」
一緒に連れてこられたお姉さんが毎日話かけてきたお陰で少しずつではあったが、心が安定してきていた。あの記憶を心の奥にふさぎ込み忘れる形で。
「奴隷商さん。可愛い金髪少女の人族がはいったのは本当か。」
勢いよく飛び込んできたのは獣人族トラベル家の主人フォーチュン伯爵だった。
「はい。かなりの上物ですよ。見てください。隣国の公爵家の家紋です。なので、そうですな。価格としましては、かなりの金額になるのですが。」
「構わん。いくらだ。」
奴隷商がニヤリと笑う。
「そうですな。1億トニーと言いたいところですが、いつもフォーチュン伯爵にはお世話になっておりますし、8千万トニーではいかがでしょうか。」
「うむ、やはり高いな・・・。一度見せてもらえないだろうか。」
「それは、どうぞ。どうぞ。やはり商品を見ないことにはそれだけの金額は出せませんでしょうからな。」
檻の前に犬の獣人が現れた。犬種はゴールデンレトリバーだろうか。
「あの隅で座っている子です。しばしお待ちを。」
俺は檻から出される。
獣人の尻尾が元気に動いている。どうやら気に入られたらしい。
「よし、気に入った。この子を貰おう。」
「はい。分かりました。では、応接室のほうで契約書のほうにサインを。その間に奴隷の身支度をさせますので。」
俺は奥の部屋に連れていかれ、体の汚れを布で拭かれ白いワンピースを着せられる。
「お待たせいたしました。こちら、商品でございます。ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。」
俺は獣人に鎖で引かれ馬車に乗り込む。
「君、名前は?」
俺は咄嗟に違う名前を使う。
「アル。」
「不思議な名前だな。まあいい。よろしく。」
二時間くらいかけてフォーチュン伯爵の屋敷に着いた。
「今、帰った。」
「お帰りなさいませ。旦那様。おや、その子は?」
「さきほど買ったのだ。知らない土地に連れてこられて分からぬことも多いであろう。名前はアル。優しく接してあげなさい。」
「わかりました。」
フォーチュン伯爵は思い出したかのように振り返り耳元でこっそりと
「夜に私の部屋に来てくれ。部屋はメイドに聞いてくれ。」
「わかりました。」
笑顔で伯爵は奥の部屋に入っていった。
その日の晩
「来たかね。まあ、こっちに来てくれ。」
「はい。」
何とも言えない特殊な空気が漂う。
「何でしょう。」
「呼んだのはほかでもない。実は、」
とても言いずらそうだが、そんなに真剣な話なのだろうか。
「実は、私を撫でてはくれまいか?」
・・・?
何を言っているのだろうか。
「まあ、拒否権はない。さあ。」
そう言い伯爵は上着を脱ぎ、仰向けになる。
そこには、明るいクリーム色をした綺麗な毛並みが現れた。
俺は毛並みを撫でる。すごい、ふわふわだ。だんだん夢中になって撫でる。
「ワフ。ワウワフ。ワオーン。」
ハッ。となり撫でるのをやめる。
「申し訳ありません。旦那様。」
俺は、咄嗟に謝罪した。
「いや。良かったぞ。今日はもういい。もう遅い時間だし寝なさい。」
「はい。失礼します。」
良くも悪くも6歳の少年にとってはとてつもない癒しになった。




