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第2話「春と欠伸。」

やっぱり一人称は難しい。

追記 進展のない話といっても過言ではないので場面把握後3話にいった方がいいと

われながら思います。(大幅変更するわけにもいきません)

遠くで声がする。

柔らかい囁きと、心地よい香りが鼻をくすぐる。

「・・・・くん。」

「・・山くん?」


「・・ぇ?」

寝ぼけまなこをこすって顔を上げると髪の短い女の子が目の前にいた。

「おぁ⁉」

急に現れた子を見て脳が一気に覚醒する。

「あ、ごめん。びっくりさせちゃったかな?」

「いや、大丈夫、寝ていたのは俺だし。起こしてくれたのか。ありがとう。」

俺は立ち上がり伸びをする。その時気づいたが既に教師が教室にいた。教室自体はまだ喧噪に包まれ始まる様子はなかったが隣にいたこの子はどうやら念のため起こしてくれたらしかった。隣にいるのにわざわざ前に来たのはいったいなぜなのだろうか。

「君、葉山くん、ていうんだね。あたし蔵屋敷。よろしくね。」

そう言って蔵屋敷という子は握手を求めてきた。

今時握手を求めるとは珍しいが茶化すようなこともないか。

「ああ、よろしく。」

この時俺はいつの間にかまじまじと彼女の顔を見つめていた。

大きく開いた目、すらっと通った鼻筋、さらりと美しい髪、かなりの美人だ。

不思議そうにこちらを見た彼女の視線に気づいて俺は思わず視線をそらしてしまった。

何を考えているんだ俺は。

そこで初めて教師が声を上げる。

「良し!皆、おはよう。俺が担任の武林だ。初年度で先生としては俺も君たちと同じ一年生という訳だ!よろしくな!」

驚くほど声の大きい先生だ。いい人ではあるんだろうが、俺の苦手なタイプな教師ではある。

というか、俺に合う先生なんていないだろう。こんなやる気のない生徒を気に掛ける先生なんて初年度のやる気がある先生だけ、老年の先生はこういうタイプは放っておくのがセオリーだろう。

ん?初年度の先生。つまりこの先生の性格にもよるが俺みたいな奴にもグイグイ来るタイプの人間か。

「厄介な、、、。」

小さい声で呟きあくびをする。

「今日はまず9時から入学式だ。制服はしっかり来てくれよ?だらしなかったら俺が起こられちまうんだからな!」

そう冗談っぽく茶化して見せるとクラスはちょっとした笑いに包まれる。

「その後は親睦を深めるために花見にでも行く。そこで弁当を食べる。因みに先生は今日カツどんだ。」

再びおかしな先生に対しての笑いが生まれる。

確かに面白くいい先生だがなんだか笑う気分ではなかった。どうしてだろうか。

あぁ、この感じが苦手なのか。きっとこれがアニメのキャラで部屋のパソコンで見ていたのならば薬と笑ったのかもしれないな。

その後の簡単なスケジュールを聞いて俺たちは体育館へと向かい、入学式を行った。

校長の言葉やら、来賓の言葉やら、挙句生徒会長の話まで小難しくてたまったもんじゃない。

どうして春先からこうもあくびが出るような話を嫌々聞かされなければいけないのだ。


あ、春だから欠伸が出るのか。

そうこうくだらないことを考えているうちにいつの間にか入学式は終わり、近くの公園へ向かってクラスで歩いていた。その時瞬太郎が話しかけてきた。

「やぁ真。まさか花見とはね。この学校も洒落たことをするもんだよ。」

「そうか?人によってはめんどくさいだけじゃないのか?」

「例えば、、真とか?」

「まぁそうだな。俺みたいに友達が少なく、作ることを苦手としているものにとっては『ペア組んで』だったりこういうイベントは公開処刑な訳よ。」

苦笑いをして瞬太郎にそう言うと

「うーん、僕も真くらい仲いい奴なんていないけどな。」

と瞬太郎は首をひねる。

「それは深さの問題だろ?自分がなんとも思ってなくともこういう弁当みたいな状況は一人で食べていることが周りから認識されるのが問題なんだよ。つまり言ってしまえば『友達っぽければ』いいってことだよ。」

「また微妙な世間体問題だね。まぁ今日は真に話があるし弁当は僕と食べればいいだろ?」

そう言われて俺は瞬太郎を見る。

「話?何かあったか?」

「君の隣の女の子。蔵屋敷さんについてだよ。真あの子の事気になったろ?」

「・・・・・」

なんてことだ。確かに可愛いと思うし気になったのは事実だ。しかしこうもあっさり見破られるのは俺が浅はかなのか?それともこいつが凄いのか?

「放っておけ。」

「僕はこれでも情報通な方だよ?聞くだけなら損はないだろ?」

「・・・聞かせてもらおうか。」

「横柄だねぇ。まぁいいさ。」

瞬太郎とそんな話をしているうちに香木穴公園という所についた。うちの学校と同じ名前だ。

「ここからは自由行動だ!時間は13:00まで!公園からは出るなよ?それと他人に迷惑をかけないこと!」

大声で武林担任がそう言うとバラバラと色々な方向へ生徒は散らばっていく。

俺と瞬太郎は人があまりいない静かな木陰のベンチに腰を下ろした。

「いいな、こういう雰囲気は。季節の変化を感じる。茶でもすすりながらうとうとしたいね。」

「真の感性は爺むさいね。」

そう言われたのは気にせず俺は持ってきたおにぎりにかぶりついた。



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