「戦略」と「戦術」について~冬季五輪観戦を終えて
冬季五輪が終了した翌日、みだしのタイトルを冠したメールがコンサルから来てました。
なんでまた、と思いつつも読んでみると個人的に看過できない記述があったので紹介します。
>ここで「戦略」と「戦術」について簡単に触れたいと思います。
>「戦略」とは、例えば、小売業で売上げを伸ばすために
>・チラシを使って売上げを伸ばす
>・インターネットを利用する
>・マスコミを使用する
>といった大まかな方向性です。
>
>それに対し「戦術」とは
>・折込チラシが良いのか?フリーペーパーが良いのか?ポスティングが良いのか?
>・効果的な見出しは?
>・チラシの色は?
>・アクセスを増やすには?
>・マスコミで効果がある媒体は?
>といった細部における検討です。
「戦略」と「戦術」について、これが世間一般の理解なのでしょうか?
もしも、これが日本における平均的な認識であるならば、この先も私たちはサクソンに勝てないでしょう。
冬季五輪観戦を終えて、私はそう感じました。
定説があるかどうかはさておき、戦略的な思考と戦術的な思考は、車輪の両輪のようなものです。
目的を達成するためにどのような資源が必要かを考えることが戦略的思考であり、
利用可能な資源を如何に効率的に用いて目的を達成するかを考えることが戦術的思考です。
いずれが欠けても目的は達成されません。
表現を変えるならば、
状況を作り出す技術が戦略であり、状況を利用する技術が戦術です。
それゆえ、戦略的な失敗を戦術的な成功で覆すことが厳しい、と良く言われます。
組織が大きくなり、対象とする期間が長くなれば、必然的に戦略的思考の比重は高まります。
ですが、比重が大きくなりこそすれ、戦略が戦術の上位であるとか、高級であるとかではないのです。
日本選手が活躍するたびに競技規定が変更されることに悔しい思いをした方もおいでだと思います。
冬季五輪の種目では、ジャンプやノルディック複合が解りやすいでしょう。
日本人は、定められた競技規定のもとで工夫を凝らし、努力を継続して最大限の結果を出すことに秀でています。これは、「金メダルを獲得する」という目的に対する戦術的なアプローチです。
でも、「金メダルを獲得する」という目的に対する戦略的アプローチは異なります。
自分たちが勝ちやすいように競技規定を変えることも、そのひとつでしょう。
コンサルからのメールに戻りますが、もしも扱う対象の大小で戦略とか戦術とかを使い分けているのであれば、その境目はどこにあるのでしょうか?
社長が戦略を考え、課長が戦術を考えるのでしょうか?
そんな考えだから、後継者が育たないと嘆くのだと私は思います。
目的を達成するために、戦略・戦術の両面からアプローチする習慣を若いうちから持つことによって、拡大した権限に伴い適切なソリューション(笑)を得られるのではないでしょうか。