第一章 『世界が闇に包まれる時』
彼の双眸は、まるで血の様な紅だった。彼の髪は、返り血によって真っ赤に染まっていた。その姿を、他人は『ScarlettCat(朱い猫)』と呼んでいた……。
「サクー」
彼が振り返る。彼の紅い瞳の視線の先には、彼と対象の蒼い瞳を持つ青年。彼と違う場所は、瞳の色とニコニコととても柔らかな表情。
そう、紅い瞳を持つ青年と蒼い瞳を持つ青年は一卵性双生児。俗に言う双子。
「何だよ? リョウ」
「いや、帰りが遅いから迎えに来た。明日、一応高校だし」
そう言って笑う“リョウ”と呼ばれた青年の本音ははかりしれない。
「あっそ……。明日、高校か……。面倒……」
「しょうがないじゃん。てか、こんな時期に転校ってのも非常に変だとは僕も思うけど」
今夜は、湿度が高いのかベタベタとして気持ち悪い。熱帯夜……そこまではいかないがいい勝負はしていると思う、そんな夏の夜。
「面倒くせーな……。これから、音緒んとこだろ? 俺は早く寝たい」
そう呟く“サク”と呼ばれた青年。しかし、そんなサクの願いが聞き入れられるのは翌日の午後だった。
「お前だな? ScarlettCatの倉本桜夜は?」
気持ち悪い男の低い声が耳に入った。そんな声で本名を言われたサクは心底嫌な表情をして、再び視線を前に戻した。
サクの視線の先には、気持ち悪い程やせ細り、ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべている男が立っていた。




