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プロローグ
その日は鬱陶しいほど雨が降っていた。近所のスーパーで夕飯の買出しをしているときに振り出したらしく、店を出てから目の前の土砂降りを前にして、傘を持ってこなかったことを後悔したことを覚えている。天気予報では高確率で雨が降るとキャスターのお姉さんが言っていたというのに
外に干してきてしまった洗濯物のことを思い出し、ため息を吐きながらしかたなくびしょ濡れになった帰り道、僕は彼女に出会った
出会って、しまった
僕の人生に転機ってやつがあるとしたら、まさしく彼女との出会いが二度目のそれだろう。ただ、あまりにも早すぎる二度目だけれど
「貴方の魂、頂くわ」
そう言って彼女は、僕の雨に濡れ冷え切った頬に触れた