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リサイクルショップ・ゲットミーのアルバイト青年は陳列商品を整頓しているとき、それに気づいた。
「多田さん、こんなのってありましたっけ」
高校に入学してから、ここで働き始めてもう二年になる。商品は家具、食器、衣類と多岐にわたっているが、そのあらかたは頭に入っているつもりだった。
だが、それに見おぼえがない。
マネキンを両手にかかえた正社員の多田は、ちらりと目をやるとつまらなさそうに肩をすくめた。
「社長がまたどっかから買いつけてきたんだろ。後で確認しておくよ。つうか、こんなん今時バラじゃなきゃ売れないよな」
「――そう、ですね」
色紙と交互に積み重ね、ビニール紐で十字にくくった茶碗が五客。小ぶりだが、手になじむような丸いフォルムに、白の花唐草がおどる深い藍地。
「それより聞いたか。このあいだの喫茶店のオーナー殺し」
多田はマネキンを店頭に立たせ、Tシャツを着せながら話す。
「あれ、タタリかもしれないんだと」
「まさか」
気のないあいづちをうちながら、彼は茶碗を見つめていた。
茶碗の上部を覆う紙は、それぞれ色が違う。
一番上の茶碗には青、二番目にはオレンジ、三番目はピンク、四番目は水色。
最後の紙は、白だった。
それは、まるで仲間外れのような。
まるでまだ、持ち主が決まっていないような。
「ほんとだって。オーナーが殺される前に息子が、あそこの県道で事故って死んで。それからウェイトレスの子も――」




