百聞は一見にしかず、百見は一行にしかず、されど、一行する前に一聞せよ。
どうも~! 巷で可愛いと噂のナツキで~す!
…………はい。ごめんなさい。
さて、変なテンションになった理由なのだが、ニズちゃんに注文を受けた布防具は、何か付加効果が付いたがバッチリ完成。問題はその他の素材です、
黒狼系統はまだいい。(あまりよくないけど) 呪狼がヤバい。一針毎に道具が故障か破損って、何よ! 単純に加工は出来るから、スキルレベルは足りてるけど、道具レベルが足りてないんだ。黒狼もたまに故障や破損を起こすけど、呪狼は異常だよ。本当に呪いかと思ったよ!
しかし、加工道具は、今の段階ではどうしようもないからねぇ。このままじゃ、満足に鞣すことも儘ならないよ。
てか、加工道具がすべて壊れて、使えないから作成はもう無理だな。
ふぅ、と溜め息をついた。おっと、溜め息つくと、口から魂がっ!
「まあ、先にニズちゃんの装備を作って置いて良かった」
ちなみに、皮を加工できないだけで、鎧系統の防具を作る加工道具は無事です。
まあ、今の段階では、素材の影響で鎧系統は重すぎて使えないと、欠点があるが、着ている人はいなくはない。主にタンカーだね。
さて、呪狼の牙や爪は異様に大きいから、武器向きだね。アクセサリには使えないかな。勿体無いし。他の牙や爪も、半分くらい持っていこうかな。
トーカのところにね。
さてと、ニズに渡されたドラゴン素材で、双剣を作るかな。間違いなく道具レベルが足りないから、今の段階の最高の鍛治鎚を使おう。
用意はバッチリだ。さて、と。
カーン、カーン、カーン、と
大丈夫だな。加工方法は蛇竜と同じだ。これなら、いけるな。今の数回で鍛治鎚が一個壊れたが、スキル経験値は美味しいな。
よし。続行!
その後、ひたすら打ち続けた。ちなみに、その間にほとんどの鍛治鎚は壊れて、残りは2つになりました。炉も壊しました。なんで、炉まで壊れるんだろう?
ふぅ。とにかく、完成だ。さてと、どんな性能にって、詳細が見られない!? スキルレベル不足か!
…………いや。でも。そうか、う~む。オーダーメイドは装備して、詳細確認ができないからなぁ。単純なスキル不足だと、どうしようもないか。
コンコン、う~む。まあ、しょうがないか。
ドンドンドン、でも、早くみたいな。性能を。
ドンドンドン、ドガンドガン、って、
「うっさいわ!」
そう言って、勢いよく扉を開けた。すると、
ガンッ!
何かに扉がhitしました。
「にゃ~!」
猫の悲鳴かな?
ゴスッ!
壁に後頭部からhit! 何か鈍い音が!
トーカの前には、頭を抱えてごろごろと転がるナツキがいた。
「どま~い」
「どま~い。じゃないよ。痛いじゃん! ノックしても返事がないし、いきなり開けるし!」
「すまんすまん」
「も~」
頬膨らませて、怒ってますと主張している。この段階で、もう怒ってないんじゃね? と思うのは俺だけでしょうか?
「それで、ニズちゃんの武器はできたの?」
機嫌が治るのが音速だな!
「おう。ばっちりが、性能が分からないが」
「性能がわからない?」
眉を寄せて、ナツキは言った。
「そうだ。どうやらオーダーメイドで作ったのと、スキルレベルが足りないのか。性能の確認ができないんだ」
素直に説明した。憶測も入っているが、間違いではないと思う。
「どれどれ? …………うん。私でも分からないわ」
「マジでカ」
「マジでス」
うむ。どうするか。
「とりあえず、ニズちゃんにメール送ろうか」
「ん? あ! そうだな。その方が早いな」
そっちのほうが早いな。装備してもらって、性能見てもらえばいいんじゃん。
「それじゃ、私が送っとくわね」
〈防具と双剣ができたから取りに来て!byナツキ、トーカ〉
と、よし。送信!
「これで、そのうち来ると思うわ。あ、そうだ! これ使って、ニズちゃんからの素材」
「おお。どれどれ。って! なんてもん持ってんだよ」
「ニズちゃん。なんて恐ろしい子!」
ナツキは、一昔二昔前のネタの様なことを言った。
「いやいや。その通りであるが、誤魔化すな。しかし、これも偶然とか言ってなかったか?」
「偶然とは言ってなかったけど、運が良いか悪いかは不明ね」
「なんだそりゃ」
ナツキは、聞いた話をトーカにも話した。
「それは、ある意味運が良いが、すばらしく悪いとも言えるな。ってか、よく生きてたな」
「私も同じことを思ったわ。あ、来た」
「ん。どこだ。あ、ホントだ」
「ニズちゃ~ん。こっち、こっち!」
名前を呼んだら、ニズちゃんは満面の笑みでスタタタッ、と近寄って行った。
「おまたせしました」
「いいよ~。たいして待ってないし。それに何もしてなかったわけじゃないからねぇ?」
「ああ、そうだ。それに、なかなか凄い。と言うか、使えるかわからない双剣ができたしな。とりあえず、見てくれないか?」
いやマジで、加工に必死で、今更気付いたが、サイズもニズにまったく合ってないし、オーダーメイドだから、こんなことないはずなんだが。ってか、あのサイズは大剣だった様な。
「加工できたんですね。わかりました。それで、どんな感じに出来たのでしょうか?」
「まずは、問題がない防具の方からね。はい」
トーカの反応からして、武器のほうが面白そうだから、先にこっちからね。
アイテムを出したら、不思議そうな顔をしていたので、アイテムを少数渡す場合は、こちらのほうが主流を伝えた。
「ありがとうございます」
ニズちゃんは、アイテム詳細を見て驚いている。
「なんか、防寒耐性っていうのが付いてますね!」
「そうでしょ~! 私も驚いたよ。初期の方の装備で、防寒耐性に極寒耐性だもん」
いや、あれは驚いたね。まさか極寒耐性が付くとは、
「でも、極寒の地域ってβでもなかったから、たぶん新要素なんだろうね。こんな耐性があるなんて新発見だよ」
「と、とにかく、ありがとうございます。大切に使わせて頂きます」
「うん。使って使って。 それじゃ、次は「私の番だな」……あれはねぇ」
トーカが少し困っているな、どうしたんだろう? やっぱりニズちゃんの武器に何かあったのかしら? なんとなく、トーカに合わせて、雰囲気出してみたけど。
~ナツキ了~
~トーカ始~
やっぱり、大剣だよな。思い出しても、サイズが大きかったもんな。どうしようかな。とりあえず見せるか。
「これなんだが…………、一応双剣扱いになっている」
どうなんだろう。これ?
「え? ………これって、明らかに大剣ですよね?」
だよね。長さは180cmくらいで大剣としては普通のサイズ。だが、双剣なら変だよな。なぜ途中で気付かなかった!
「そうなんだが、一応は双剣だ」
ニズは詳細を確認しているが、しっかり双剣だよね?
「な? “双剣”だろう」
「はい。確かに“双剣”ですね。なんでこんなことになったんですか?」
「よくわからないんだ。もしかしたら、“オーダー”で作ったからかも知れない。もしくは無理矢理つくったことも、関係しているかもしれない」
「“オーダー”で作ると何か変わるんですか? それに無理矢理って」
「ああ。素材をもらって、そのプレイヤー用として作ると、そのプレイヤーの特性に合わせて性能が変わったりするんだ」
ニズはう~ん、と悩んでいる? まずかったか? ニズの身長の倍くらいありそうだが、使えるのか?
「無理矢理って、言うのは、スキルランクはβからの貢献度特典に足りてるが、道具のランクが足りなくてな」
まさか、それが原因か?
「そうなんですか。う~ん。とりあえず、装備してみます」
マジで?
「おう。でも、持てるのか?」「大丈夫? 持てるの?」
心配になって二人で聞いた。
「僕用に作ってこうなったなら、装備できるはずですよ」
何か、確信を持ったように、ニズは言った。
とりあえずは双剣を鞘にしまうようだ。ってしまえるのか!
「「「…………………………」」」
「「「…………………?…………!?……なんで!!」」」
三人で声を揃えて叫んでしまった。こちらに視線が集まったが、なんでもないと言ったら、今まで通りの喧騒に戻っていった。
「なんで縮んだ?」
物理法則をぶっちぎった。魔法なのか!? 魔法なのか!?
「わかりません。装備したら、としか言えないです」
「オーダーメイドの特性なのかしら?」
ナツキは意外と冷静だった。内心では、えぇぇぇぇ~と叫び続けていたが。
「試しに抜いてみてくれないか?」
「わかりました」
そう言って、ニズは双剣を抜いた。
何故かさっきの大剣が出てきた。
「「「……………………………」」
「「「……………………?……………!?………なんで!!?」」」
またしても三人で声を揃えて叫んでしまった。そして、またしてもこちらに視線が集まったが、なんでもないと言ったら、今まで通りの喧騒に戻っていった。
「なんで元に戻った?」
「わかりません。鞘から出したら、としか言えないです」
「オーダーメイドの特性にしても凄いですね」
小声で質疑応答をしていた。
「それ、鞘にしまえるのか?」
「しまってみましょうか」
双剣を鞘に納めた。ら、何故か普通の入った。…………ん!??
「「「……………………………」」
「「「………………………………………はぁ」」」
今回は叫ばなかったが呆然としてしまった。
「なんで鞘に入った?」
「わかりません。鞘に戻したら、としか言えないです」
「オーダーメイドの特性にしても、まさに幻想的ね」
おかしい。おかしすぎる。魔法にも程がある。
「…………これはもう、これでいいか?」
「………そうですね。装備できて使えそうなので、問題ないです」
脱力して、俺とニズ言った。
そこでナツキは気付いた。その大剣を何故持てる。重さ的に片手で持つものじゃないよね?
「いまさらだけど、ニズちゃんよくそんな双剣を普通に持てるよね」
「そういえば、そうだな。俺でも完成後は1本ずつでも、まともに持てないくらいの重さだったんだが……」
俺は思い出した。その双剣の重さを
「オーダーメイドだからですかね?」
「かもな。βから正規版でずいぶん仕様変更があったのか。それとも、ドラゴン素材の特性か。ドラゴン素材はまだ少し残ってるから、これでいろいろやってみよう」
そういうふうに、思わないと、気疲れするな。うんうん。あとで検証しよう。
「討伐者がオーダーした場合限定だったら、調べるのは今の段階では無理そうだけどね」
「それは、そうだな。……ニズ。なんとかならないか?」
さすがに無理かな?
「そんな簡単にドラゴンなんて倒せませんよ」
「「だよねぇ~」」
そりゃそうだよね。これでできたら、いろいろとおかしいな。
「あ、でも龍素材はありますよ」
「「 え゛」」
ニズ以外が固まった。
~ナツキ始~
りゅうって、竜? いや。龍のほう!? e? 何? どういうこと? そんな簡単に手に入るものだっけ? そのまえに正規版開始からまだ1週間も経ってないよね。え?え?え?え?えええぇぇEEEEEEEぇ!!?? な・んで、って!!
~ナツキ了~
~トーカ始~
りゅうか~。竜でなくて、多分、龍だよね? はははははは! なんだそりゃ!? 正規版開始からまだ3日くらいだよね? いや。まだ経ってないか?どっちにしろ、それはないだろう。第一、加工できないよ。やり方がわかんないも~ん。はははははは!!!??? って!!
~トーカ了~
「「なんだってぇーーー」」
二人でついつい叫んでしまった。
「な、なんですか。いきなり叫ばないでくださいよ」
ニズが怯えていた。
って、あれ? ““獣耳と尻尾なんて付いていたか?””
““そんなことより!””
「それは叫ぶだろう。だってお前、龍って」
「そうよ。そんなモンスターいなかったよ。いったいどこで出会ったのよ」
二人の気持ちは同じ““恐るべし初心者プレイヤー””ニズだけだと思うが。
「契約精霊がどこかからか勝手に狩ったみたいで、場所はわかりませんよ」
いやいやいやいや。
「「契約精霊はそんなこと出来ないでしょ(だろ)!?」」
「そうなんですか?」
「当たり前だ! 一応、中位精霊から実体化できる。そして、βテスターなら中位精霊と契約しているやつもいる。けどな、実体化を維持するには多くのMPが必要なんだ。中位精霊で3分が限界なんだ、龍を倒せるレベルの精霊を実体化なんてしたら、一瞬でMPがなくなった終わるわ!」
「そうなのよ。中位精霊に精霊が育ったら[精霊具現化]っていうスキルを覚えるけど、実際に使うとMP全回復状態で3分もたないよ」
どんなことをすれば、そんなことができる!
「多分アビリティのおかげですね」
ニズはなんだか納得したような表情で言った。
「アビリティ? もしかして[精霊具現化]のアビリティか?」
確か、そんなアビリティがあったよな?
「いえ。少し違います。[精霊完全具現化]です。MP消費なしで召喚が可能な。多分、[精霊具現化]のMP消費がないタイプだと思います」
上位アビリティか!?
「そんなアビリティがあったのね」
冷静に混乱すると言う、器用なことを二人はしていた。
「レアアビリティであることは確かだな」
「そうなんですか。ラッキーですね」
はははは。とニズは笑った。
ナツキも俺もつられて笑っていた笑顔が、少し引きつっていたのは許してほしいです。
そこで気付いた。
「あ! スキルやアビリティの詮索は基本的にマナー違反だったな。すまんな」
「確かにそうだったね。ごめんね」
「別に良いですよ。いろいろ情報も聞けましたし。勝手に言っただけですし」
ニズは何か悩んでいるようだったが、すぐに諦めたようだ。
「そうか。ならいいが。………そうだな。公平に私のアビリティも教えよう。私は[職人の技量]だ。効果はSrtとDexの成長にプラス補正が入るのと、作ったものに特殊効果が通常より付きやすくなる」
「なら私も。私のアビリティは[素材解析]よ。効果は簡単に言うと鑑定の上位効果ね。特に素材に関しては詳細な分析が可能ね。あと、それによって素材の特性を引き出しやすくなるの」
「二人とも、やってることとベストマッチしてますね」
「まあね。運がよかったよ」
「日頃の行いがいいからな」
ははは。と笑いながら言った。ニズも笑っていた。むやみに可愛いな。こいつは。
「それで、龍素材はどうします?」
““忘れようとしてたのに!””
「あ、………そうだな。今はまだ使わない。明らかにオーバースペックになるからな」「それに、オーダーメイドじゃなきゃ値段が決められないよ」
「そうなんですか?」
「「いやいや」」
““この子、理解してない!?””
「本来、龍やドラゴンはそんな序盤に出るようなモンスターじゃないから」
「そうなんですか。………それじゃ、この双剣は不味いですかね?」
ニズは双剣を触りながら言った。
「う~ん。第一にその武器の性能ってどうなってんだ?」
「「え!?」」
おまえは知ってるだろうが! byトーカ
あ~。そういえば、そうだったわね。byナツキ
「いやな。分からないんだ。ナツキみたいなアビリティがあれば別だが」
「そうなんですか? ナツキさんが普通に見てましたから、分かってるんだと思ってました。って、なんでナツキさんも驚いてるんですか?」
「え? だって大体の性能は分かるようになっているから。でないと、オーダーの時に値段が決められないでしょ?」
驚いたのは、ある意味ノリです。すいません。byナツキ
「いや。今回は例外なんだ。確かに普通は見たら分かるんだ。だが今回は見られなかった。作った物の性能に対する標準価格のようなものが、ある意味物価のようなものが普通出るが、今回はそれもわからないんだよ」
「出なかったんですか?」
「ああ。こんなこと初めてだから、わからないんだ。まあ、経験値は旨かったからいいんだが」
そうです。もう少しで、スキルが進化しそうだ。byトーカ
「そうなの?珍しいこともあるのね。それにしても経験値、い~な~」
「お前の方が経験値は旨いだろうが!」
「ふふふふ」
やはり、ばれていたか。 byナツキ
「それで、双剣の性能見ますか?」
「おう!」「うん!」
「でも、どうやって見せればいいんですか?」
““そこからか~!””
「レンタル機能を使えば大丈夫だよ」
ニズはレンタルボタンを探しているようだ。
「はい。どうぞ」
ニズはレンタルボタン見つけたようだ。
「おう」「ありがと」
二人して双剣の性能を開示した。
「「……………………………」」
““ぇ……え……え………!””
「「………………………「あの、どうかs」 なにこれぇーー!」」
ニズは、ビクッとしていた。なんだろう? この可愛い生き物。
「「なにこの壊れ性能!!」」
「やっぱりこれは壊れ性能なんですか?」
「「気付いて!!」
““ハモってしまった!””
ちなみにハモるとは、ハーモニーの略称である。
「渡された時にそう思ったんですが、その後二人とも平然としてましたし。それに、サイズの方に意識が行ってしまって」
「そうだな。その気持ちはわかる。あれは驚愕だった」
渡す寸前まで気付きませんでしたが。
「そうね。確かに驚愕だったわね。魔法より魔法っぽかったもの」
渡すまで気付かなかったわ。
「そうですよね。あれは魔法以外の何ものでもなかったです」
うんうん。と三人で頷きあった。ちなみに再度、視線を集めていたが、気にならない衝撃があったので、気にならなかった。
「しかし、これは。う~ん。ドラゴン素材にしてはスペックがオーバーしすぎてる気がするな。高くても700いかないと思ったんだが。もしかしたら、やっぱりあれはクリティカルだったのか?」
「クリティカル? ですか?」
ニズは知らないようだ。まあ、生産職の用語みたいなものだしな。byトーカ
「クリティカル起きたの!? しかもドラゴン素材で!?」
ホントに私でもしたことないのに! byナツキ
「ああ。俺も夢中になって作っていたから、気付かなかったが。おそらくクリティカルが起こっているな」
「クリティカルって、なんですか?」
「クリティカルっていうのはね。言うなれば作成大大大成功、いわゆる超大成功だよ」
ナツキ。なんか頭が弱い人に見えるぞ。byトーカ
ごめん。なんか興奮しちゃって。byナツキ
「それじゃ、分からないだろう。簡単に言うと、素材の持つ性能の上限以上の武器ができることかな。武器や防具には作り手の技術とは関係なく素材による上限が存在する。その上限以上のものは出来ないはずなんだけど、極稀にその上限を超えるものができるんだ。それがクリティカル」
「ほとんど公式サイト通りの説明じゃない」
「しょうがないだろ。クリティカルしたことなんて、βも含めてしてことないんだから。ってか、出来た人は今まで一人もいないんだから」
「確かにそうね」
ニズはよく分かっていないようだな。
「クリティカルって、相当起こり難いんですね。そんなに起こり難いんなら、起こしたら称号とか取得しそうですよね」
““ハッ!!””
「「確かに!」
「か、確認してみる」
慌ててステータスを開いた。くっ、タブが多すぎる。byトーカ
落ち着きなさい。byナツキ
「どう。あった?」
「え~と。………あ、あった」
「なにがあったの?」
「[会心の一振り]と[竜の鍛冶師]があった」
「「おお~」」
ニズとナツキは、パチパチパチと拍手しながら歓声上げた。
「キャーキャーー。称号だよ。やったぁーー!」
我を忘れて喜んでしまった。
「すまん。はしゃぎすぎた」
恥ずかし~。いや、本当に恥ずかしい。byトーカ
その気持ち、分からなくはないわ。byナツキ
「まあ、嬉しいのはわかるよ」「落ち着いてくれてよかったです」
ニズに苦笑された。
「結局、この双剣は使っても大丈夫なんですかね?」
「まあ、大丈夫だろ」「そうよ。大丈夫よ」
「なら、大丈夫ですね」
そう言って、ニズは双剣を装備した。
その時、何かを思い出したかの様に、ニズはこちらを向いた。
「ナツキさん。そういえば、おの狼素材は大丈夫でしたか? 呪われたりしませんでしたか?」
「ええ。大丈夫だったわよ。一針縫うごとに針がダメになる強度だったけれど」
あれは驚愕でした。byナツキ
その情報は教えてろよ。byトーカ
「ちなみに、ドラゴン素材も似たようなものだったぞ。一振りごとにダメージをくらったし、完成までに現段階で最高の鎚を16個潰したぜ。それに、さっき龍素材といっていたが、それは多分加工できないな」
「そうなんですか!」
まあ、生産職以外はあまり知らないわな。
「まあ、今の段階では本来扱うことのないランクの素材だしな。私たちでも、スキルランク不足だな。今回のドラゴン素材は、β時代と加工方法が同じだったからできたことだ」
「ええ。それに、道具のランクもまだ届いてないのもあるわね」
「「でも、その代わりに経験値が旨かったよ(ぜ)!」」
““美味しかったです””
「いい笑顔ですね」
「「もちろん」」
ニコニコが止まらない。
「なんにせよ、呪われなくてよかったです。どんな性能になったのですか」
「まだ加工中よ。凄いスピードでHPとMPが減っていくから、加工しきれていないの。出来たとしても、今の段階では凄くオーバースペックね。今のところは店舗を持ってから売ろうと思ってるんだよ」
「そうなんですか。でもなんでですか?」
「高すぎて、買える人がいそうにないのよ。だから、ごめん。お金渡すの先になりそうなの」
素材はローンだったのか? byトーカ
違います。ローンではなく、提携です。 byナツキ
「別にかまわないですよ。お金に困ってませんから」
「ありがとう」
ポーン
〔全プレイヤーにお伝えします。ただいま、パーティ[透き通った水 (クリア・アクア)]が次の町へ到達しました。これにより、中央広場から第2の町【ソラルル】への“道”が開きます〕
「お、次の町への道が開くか。これであと少しだな」「そうだね。よっし、お店持つために頑張るぞ」
お、中々早いな。もう少し時間がかかると思ったんだが。byトーカ
こんなもんじゃない? おそらくβテスターのパーティだろうし。 byナツキ
「どうゆうことですか?」
「ん? ああ、第3の町に着くまではチュートリアルみたいなものらしいんだ」「だから、店を持つのも第3の町。ってこと。第2の町でも、戸建ってものがあるらしいんだけど、なんかホームじゃない気がするんだよね」
「チュートリアルなんですか? それに戸建って、ホームとは違うんですか?」
「戸建については分からないが。チュートリアルは、まあ、慣らしのようなものだ。公式サイトで3つ目の【精霊使帝都市エレスト】ですべての日本のプレイヤーが交わる。って、ニズのメッセージを送る少し前に公表されたんだ」
「そうなんですか! 確かに違うところからスタートって聞いてますけど、そんなことになっていたんですか!」
ニズは驚いていた様だが、納得した様でもあった。
「それで、チュートリアルなのに、ホームがあるっていうのもおかしいからね。公式サイトの発表も、ホームでなく戸建って書いてあったし。βに戸建なんてものなかったから、ホームなんじゃないかって話しになってるのよ」
たとえ、ホームでもエレストで買うけどね。byナツキ
「ちなみに、公式サイトによると、2週間くらいで第3の町に行けるように、頑張れば全員がLv10前後のパーティで倒せるボスらしいよ。」
「それは確かにチュートリアルですね」
うんうん。とニズは頷いていた。
「ちなみに、一人でも到達したら、全員が“道”を通れるようになるのは、第2の町【ソラルル】だけだってさ」
「それも、最新情報ですか?」
「ああ。なかなか生産職泣かせだな。まあ、他にも何か隠し要素があるらしいからな。って、いうか【エレスト】到達と同時に新要素が色々と解禁になることは発表されてる。詳細はその時になってからだそうだが」
「楽しみよね~。だれか一人でも到達すればいいんだから」
「でもなんとなくですが。時間でなく場所で決めているってことは、その場所に入るには時間も関係してる気がしますね。それに2週間くらいで到達って、ちょうど第2陣の発売日に被りますからね」
なるほど、
「確かにそれも一理あるわね」
う~ん。確かに、
「2週間っていう期間が鍵になりそうだな」
「とにかく、やっぱり店舗は【エレスト】に作りたいわね」
「ああ。そうだな。そのためにも更にお金を貯めないとな」
「ええ」
「それじゃ、僕はもう行きますね」
「ええ。何かいいものを入手したら持ってきてね。他より高く買うよ」
「だが、あまりむちゃくちゃなものは困るからな」
「ははは、分かりました。その時は持て来ます。それと、そう何回もドラゴンとか龍とかの素材なんて、手に入りませんよ」
「「それもそうか」」
ニズならまだ何かありそうだな。byトーカ
否定はできないわね。byナツキ
ニズの後ろ姿を見ながら、無言の会話をするのだった。
その予感は当たっているのが、それを知るのは、そう遠くない未来だったりする。