1st chapter - V
授業が終わった私は早速教室に向かった。
今日は新学期最初の第六節だった。
嗣永が言うには今日緊急会議があるそうだ。
「失礼します」
扉を開ける。もう全員集まっている。
「遅いぞ、アリア、さあ、第三部隊隊長のお出ましだ」
「遅れて申し訳ない、で、今日はどういう件で」
「ああ、今日は『暗黒騎士団』についての会議だ」
「そうか、わかった」
私は『第三部隊隊長 Alia Michinaga』と書かれた席に座る。
早速会議が始まった。
今日、皆に集まってもらったのは他でもありません。有原美玲は一度スポーツドリンクを飲み干してから続けた。
「皆さんもご存知かと思いますが、最近、わたくしたちの好敵手とも言える、暗黒騎士団が動き出しました。
目的は全くもってわかりませんがこの世界の精霊たちを捕らえているそうです。このままではわたくしたちは精霊術が使えなくなります。
何か解決策はありませんでしょうか。
皆さんで考えていただきたいと思っております」
その言葉に山田が続けた。
「第二学区の者にこのことを伝えたのだが解決策が『第三次騎士戦争』しか思い浮かばなくてな。戦争に快く思っていないひとを戦争に駆り出すことはできないからな」
確かに、これはうなずける。私は第二次騎士戦争で両親と兄を失っている。だから出来れば戦争は避けたい。
しかし、戦争以外に暗黒騎士団を撲滅させられる方法はあるのだろうか。
悩んだ。
「うーん……」
では、隣にいた第二部隊隊長・楠サラサは言った。
「とりあえず、白金級昇格試験が終わるまで待って、終わり次第、奇襲を加えるとかは」
有原が再び立つ。
「なるほど、それはいいと思います。確かに騎士世界白金級昇格試験まで、暗黒騎士団たちも手出しはできないでしょうね」
「ああ、それはいい案だな」
山田が目を閉じ腕組みしながら言った。
「ですね、奇襲についてはその時になったら『表示枠』でお知らせすることにします。
続けて、去年から騎士長を務めていただいていた、山田麗華は今月を以って、騎士長の位を辞任させていただく運びとなりました。
そこで、副騎士長のわたくしが、後任の騎士長に相応しい者を選出致しました。
石像学級、一番 アリア・理長。
彼女は学級の通り十二とかなり若いと思いますが、全ての試験で合格を出しています。これはわたくしに次いで、最速です」
「なら、副騎士長に任命すればいいじゃないか」
間髪を容れず、野次が飛んだ。
「わたくしはまだ現役です。
山田麗華は今年で十八です。
あと三年もできません。それならば、まだ若いアリアに任せた方がいいのではと思いました。
『あなたたち』とは違って、あの子は働きものですので十分に活動できると思います」