1st chapter - IV
次の日、アリアは、朝早くから教室に入っていた。
「おはようございます、奈々《なな》さん」
「おはよう! アリアちゃん」
アリアは手に持っていた精霊術書をカバンの中にしまった。
「どうしたの? 精霊術書なんか持って」
「ああ、近いうちに試験があるからな。忘れている精霊術もあるから、確認をと思って」
なるほど、奈々は感心した。
「もしかして、昇格試験に参加するの?」
もちろんだ、アリアは頷いた。
うん、今回の昇格試験は抱えているモノが違う。騎士長の加護をしなければならない。それは重圧がかかる、かと言って家賃があるので、ある一定の稼ぎが必要なのだ。
「なるほど、大変だね」
「まあな、確かに大変だよ」
予鈴が鳴った。待ってました! と言わんばかりに聖騎士たちが入ってきた。
そして、『精霊術Ⅲ』担当のアリス・ドルゼン先生も教室に入ってきた。
「おはようございます、アリアさん」
おはようございます。私はお辞儀をした。
「えっと、前回の授業の内容は覚えてますか?」
えっと……、私は鞄から『精霊術Ⅲ』のノートを取りだすと、最後のページを探した。
「ごめんなさいね、忘れてしまって、ちょうど、この時メモを取るのを忘れてしまったのよ」
ペラペラページを捲った。
そしてページをみつける。
「先生、前回の授業の内容は『第三章、其の六、【聖天使】の召喚方法とその効果』です。
だから、今回の内容は『第三章、其の七、【審判の聖樹】の召喚方法とその効果』だとおもいます」
「ありがとうございます」
アリスは笑った。
そして定時鈴が鳴ったのを確認すると教壇に上がる。
「おはようございます、早速ですが点呼を取ります、呼ばれた方は出席票を此方へ持ってきてください。出席票を忘れた方は仮票を渡しますので申し出てください」
私は出席票の準備をする。
隣にいる奈々は焦っている。出席票を忘れたのだろうか。
やっとの事で見つけ出したのでホッとした。