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1st chapter - II
私は家の丁度隣にある巨大な純白の十字架に祈りを捧げていた。
偉大なる母上様、父上様。彼方方のご加護のお陰で、わたくしは黄金級聖騎士になることができました。
「アリア様、おはようございます」
私を呼び止める声がした。聞き覚えのある声だな、振り返ると、嗣永莉奈が私の後ろに立っていた。
「おはよう、今日はどうした?」
ええ、嗣永は言った。
「来週の第六節に緊急集会があるのは既に承知か、と思われますが連絡をと。本会議は『暗黒騎士団についての緊急会議』ということになっておりますと、第三学区の生徒会長にお伝え願えますでしょうか」
「緊急会議か……、それは聖騎士団騎士団規則通り、生徒会全役員を出席させねばいけないのか?」
はい、嗣永が答えた。生徒会役員全員が出席しなければならない、聖騎士団緊急会議か……、なかなか厄介なことになったな。私は嗣永に告げた。
「今は生憎、生徒会会長・山田麗華は不在だ。もし会うことがあったら連絡しておく」
了解しました。嗣永はお辞儀すると、箒に跨って消えた。