♯Ⅱ なんとなくの出会い
ここは少し秋の香りがする瑠璃川台である。
緑の葉と紅葉が絶妙な混ざり合いが一層綺麗な景観を齎す。
瑠璃川台とあるが元々(もともと)そこは地名の通り台地であった。
今は土地開発が施され世田谷一等地のような高級感が溢れるようになった。
だから一つくらい豪邸はある。
表札には
「──東雲家──」
いつもと変わらない日常。
東雲家の一員である大海の息子の凛久哉は鼾を掻きながら寝ている。
まだ朝の4時だ。
「凛久哉様!起きてください!朝ですよ!」
「うるさいよ。母さん。」
凛久哉は布団を包みまた寝ようとした。
「さっさと起きろこらぁぁぁ!(# ゜Д゜)つ〃∩ ゴルァ ゴルァ ゴルァ」
凛久哉は母とは違う何かの気を感じた。
凛久哉は掛布団を取り上げられた。
「うわっ!寒っ!」
秋は朝と昼で温度が、いや季節が夏か冬か矛盾している。
やっと起きた凛久哉はまだ目から意識が朦朧として見られる。
「起きろっ!!!(# ゜Д゜)つ〃∩ ゴルァ ゴルァ ゴルァ」
凛久哉はビンタを喰らった。
やっと目が覚めたようだ。
凛久哉は母が四角く見えるのが感じた。
「いや、オカンじゃない・・・。」
凛久哉は心の中で覚った。
「初めまして。凛久哉様。」
四角いものはこちらを向いてニコリと笑った。
四角い・・・・。四角は人間の顔じゃない・・・。
「なっ!ななななな何だ!?こいつ!?」
凛久哉は跳ね上がり地面に落ち後ろへ引きずって警戒した。
「そんな新聞紙丸めなくても・・・。大丈夫です。」
「誰だよ。お前。」
「いけない!申し遅れました。自立思考型促進多機能保護装置と申します。」
「うん。名前が長い人初めて会ったよwww。てか装置っ!?」
その装置はアームで天井に繋がっている。そのアームにある自動で動くローラーが搭載され、敷かれたレールに沿ってローラーは動く。まさに移動可能。
そして感情や表情を映し出せる画面付き。
こんな装置はどこの国にも政府機関にも無さそうである。
況してや夜中にどうやって作ったんだ。昨日まではなかったはず。
親父はどこだよ!?
「あ、そっか。親父たちアメリカに行ったんだ。天国だ!」
何故か混乱しそうだからとりあえず凛久哉は朝食をとることにした。
食卓を一人で囲む。
いや、目の前にあの装置が・・・。
「そーいやお前って何するためにいるんだよ。」
一呼吸入れながらその装置は答えた。
「私は父上様からの命令で即行にロシアで製造されました。」
「なんだ。ロシア産か・・・。」
凛久哉は呟いた。
「一年間凛久哉様のご両親はアメリカへ赴任します。その凛久哉様と詩音様の保護者としています。もちろん学校へも正式に承諾されています。」
「お前画面に妙にカゲ○ウデイズのような特徴的な顔にしてるけど・・・。」
「はい。今はファンタジーな女の子Verです。」
「マニアックです・・・。」
「ほかにも色々なアニメキャラや有名人の顔にもできます。」
彼女も大概何でもアリだ・・・。
そういえば何時かと朝食を口に運び時計を見た。
針は明らかに4時半を指していた。
「まだ4時じゃねぇか!!こんなに早く起こしやがって!」
「早起きは三文の得です。」
「うるせぇよ!エセ装置の癖に!!!!」
大概保護者という立場としても反抗してくるそうだ。
「なんですかっ!!?顔も声も変わるんですよ!エセじゃありません!」
すこし彼女は泣きだしてきた。
その騒がしさで娘の詩音が目を覚ました。
「何よ。お兄ちゃん・・・。」
詩音は泣いている彼女に気付き凛久哉と彼女を何度も交互に見た。
「お兄ちゃん。二次元の子泣かせてる~。」
「なっ!何だよ!完璧な誤解だ!」
「はっ!失礼!私のせいでこんな喧嘩を起こしちゃって・・・。」
機械はすぐに感情を直せるのか涙を流した後すら無い。
「お兄ちゃんも女子の前だとなんだか新鮮だね・・ww」
詩音は「ハハハ」と笑い言った。
絶対違う。俺はジェントルマンとして生きているんだ。
彼女を泣かせなければ良かった。
「初めまして。詩音さん。じつはかくかくしかじかこういう者です。」
「へぇ~。小説って便利。本当に上にレールが敷かれている。でも
自立思考型促進多機能保護装置って堅苦しい。『ソク』って呼ぼうよ!私達も下の名前でさん付けしなくていいからさ!」
ネーミングが安直である。
「ハイ!喜んで!改めて『ソク』と申します!宜しくお願いします!」
「こちらこそ!ほら、兄ちゃんも!」
凛久哉も仕方がなさそうな顔をしながらソクを見つめたがフフッっと笑いながら・・・
「宜しく。」
「!!!! なんか嫌な予感がするんだけど・・・・。」
これは東雲くんの愉快な一日の序章である。
出来が良かったです!
飽き性にならないで続けていきます!