どうしてもいえないこと?
お母さんと話すことは無い。それは宇宙もお母さんも分かっているはず、なのにどうしてよ。
「絢女、何の紅茶が好きだったかしら?」
私はお母さんの好みを知らない。お母さんも私の好みを知らない。嫌っているとか仲悪いとかじゃなくてお互いに気にしていなかったから。
「アールグレイが好きかな」
「そう、だから星野くんはあんなに買っていたのね」
お母さんはそういい微笑んだ。皺が目立つようになってきたな。なんて失礼なことを考えていた。
「お母さんは?」
話が続かない時には相手に聞き返せばいいって教えてくれたのは誰だったっけ?
「そうね……アップルティーが好きだわ」
いつか役に立つかな。
「絢女……星野くんから聞いたのだけど、明治時代の女の子の夢をみるって」
やっぱりその話が関係あるのね。二人っきりになったのは。
「うん、ねぇ、私は何なの? あの子は?」
聞かなきゃ始まらない。焦らされてもいい。些細なことでもいいから教えてほしい。私だけ知らないのは嫌なの。
「あなたはわかる、私は何も教えられないの、自分の手で掴みなさい。一つ忠告しておくと、私にはもう会えないかも知れない」
「お母さん? え、どういうこと? 宇宙は?」
お母さんに尋ねると、私を抱きしめ。
「愛してるわ」
と言った。やっぱりはぐらかされてる。そんなに言えないこと?
「お母さん……大好きだよ」
この気持ちは嘘じゃない。何も偽っていないけれど何か引っかかるのはなぜ?
次が急展開するところだと思われます