行きましょう?
遅くなりました!
「さぁ、ご飯食べましょうか? ……みんなで」
今みんなでを強調した。私が考えすぎなだけなのかな? ここ最近はすべてを悪いように考えてしまう。ふと風が吹いて、薔薇庭園独特の匂いが鼻についた。
「うん、お母さん?」
ふと、これだけは言っておかないとと、思ったのだ。
「私はお母さんを忘れないよ? ご飯、楽しんで食べようね」
「ええ……あ、星野くん」
薔薇庭園入口のアーチを潜ると宇宙がいた。
「奥様、ご料理できております。お嬢様も参りましょう?」
「ええ」
「あ、うん……」
宇宙とは目を合わせないようにして、ご飯もそんな感じだった。
「じゃあ星野くん、よろしくね」
ご飯が終わり、部屋に戻るときお母さんはそう呟いて私たちより一足先に部屋を出て行った。
「お嬢様、よろしくお願いします」
何が? と言いたいのに、口が動かない。
「……誰が知っているの?」
「奥様と僕だけです」
そう宇宙はつぶやいた。いつもはちゃんと顔を見て話すのに顔をすこし伏せて話した。
「もう、私はわかんないよ、そんな隠されていたら。今日は疲れた。寝るわ……宇宙なら……話してっ……くれっると……」
思っていたのにと言葉が続かない。目から涙が流れ出て来たのだ。どうして……。頬に手が触れたような気がした。少し伏せていた顔をあげると宇宙の綺麗な瞳が見えた。
「お嬢様、申し訳ありません。また奥様と会うときにはすべてがわかります、おやすみなさい」
そういい私をベッドに寝かした。ふかふかの毛布を優しく私にかけて宇宙はテーブルに行った。
私はやはり疲れていたみたいですぐに眠りについた。
「今日は、屋敷の周りに注意して。彩女が昨日ないたの。そして満月だった……。悪いことが起こるに違いないわ」
「はい、美里様」
(前見た夢の続き。次の日ね)
「あ……なに? だれ?」
(彩女様? どうして? その部屋には誰もいないのに、誰に話しかけているの?)
「わからない? 女の子……と男の子」
(ここはダメ! 彩女様)
「私……?」
少女は座り込み、頭を抱え唸っていた。
(抜け出そう……?)
「お嬢様! 行きますよ」
(宇宙!? え、え?)
少女が掠れて見えなくなりと何者かに手を引かれた。たぶん宇宙だろうけど。