特別扱いは嫌
「この子は紫の間に閉じ込めておきなさい」
派手な着物を羽織った女性は小さな少女を軽く押した。
「……? 痛い?」
少女は、疑問系で首をかしげていた。
「はい、わかりました」
黄色の地味な着物を羽織った女は少女の手を引き、奥に消えて行った。
コンコン
遠慮がちに扉が叩かれた。本を閉じ、眼鏡を机の上におき扉を開いた。
「お嬢様! いつもいつもいっておりますが……」
「うるさいわね、特別扱いは嫌いなの宇宙は知っているでしょう?」
私は宇宙の言葉を遮って言った。お嬢様! なんて嫌なの。学校というものにも行ってみたい。
「では、腰をおかけください、何かいれますので」
「はいはい。アールグレイがいいな」
「かしこまりました」
これは毎朝のこと。飲みながら今日の予定を確認。
「今日は、その……北条様がお見えになります」
北条健太。私の婚約者らしいが、私は賛同していないし、両親も賛同していないよう。つまり向こうが勝手に言っているだけだ。
「そう」
「もしあれでしたら、私も着いて行きますが、いかがなさいます?」
はっきりいって、あの北条家は嫌だ。女の人にばかり媚を売る。前私の前ではお坊ちゃんだったのに、偶然宇宙との会話を聞いた時は暴言しか出てきていなかった。
「よろしく頼むわ、午前中は何もないわよね?」
「はい。かしこまりました。予定では何もありません。午後の北条様との対面だけです」
昨日遅くまで小説を読んでいたせいで、眠気が襲ってくる。そんな私に気づいたのか、宇宙はお時間になったらまた来ます。と言ってベットを示した。
「よろしく。じゃあ、私は休むわ。おやすみなさい宇宙」
宇宙はにっこりと笑い静かに外に出て行った。
私はベットに潜り込み、羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹……と頭の中で呟いていた。そうするといつの間にか夢の世界に落ちていた。
はじめまして、まだまだ能力はないですがこの後も見てくださるとうれしいです。