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刹那る刻

照りつける太陽の日射し。

そこに鳴り響く蝉の声。


ある日いつものように

公園のブランコに乗って遊んでいた

私のもとに彼は現れた。


遊びに来たよ――。


そんな声と共に。


「あなたもひとりなの?」


私は彼に尋ねた。


「ぼくはずーっとひとりだよ。」


そんな彼の瞳はどこか遠くを見ていた。

まるで本当にひとりだと言うように。


「じゃあ、私と同じだね。」


私は彼にそんな言葉を返した。

なぜだか同じような気がしたのだ。

私は彼と毎日、日が暮れるまで遊んだ。

砂のお城をつくったり鬼ごっこをしたりいろんなことをした。

そのひとつひとつが新鮮で日が暮れるのも忘れそうなくらい楽しかった。

しかし幸せがずっと続くはずもなく....。


私が彼と出会って、

1週間が経とうとしたある日。彼は言った。


「ぼくにはもう時間が無いんだ…。こんな風に君と楽しく遊んでいられるのもあと少しだけなんだ。」


その日から忽然と彼は姿を消した。

翌日は雨が降っていた。

嵐のような雨が。

まるで彼が居たことをかき消すように。

私は彼に会うためにいつもと同じように公園で遊ぶ。


でも彼は来なかった――。


(きっと明日なら来るだろう。風邪でも引いたのだろう。)

そう思って翌日も――。



ひとりで、これまでと同じように。


翌々日、また次の日も同じように。


いつかまた彼が遊びに来ると信じて。










いつしかずっと哭いていた蝉の声は消えていた。



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