第四話「相性占い」
曰く。
『使者』というのは、昔からこの世界に危機が迫ったときに現れる存在で。
その使者というのは、かならず別世界から『喚ばれる』ものだそうで。
喚ばれた者は、その危機からこの世界を救う役割を担っている、らしい。
「で、その使者だかなんだかが、あたしだと・・・」
呆然とつぶやいたあたしに、男の人は真顔でうなづいた。
「ああ。使者は、『喚ばれる』前の記憶が飛んでいることが多いらしい。『喚ばれた』ときのショックが原因ではないかといわれてる」
「んなっ・・・そんな、いきなり呼ばれて、で記憶もきえてて・・・あたしの意思ガン無視じゃないですか!」
どんだけ身勝手なんだ、この世界の神様だかなんだか!
男の人は何とも言えない顔で口を開いた。
「いや、なんというか・・・すまん。俺も使者方面にはあまり詳しくなくてな。でも、使者は何か危機が迫ったときにしか現れない存在なはずだ。今のところ、この世界は今までどおりに機能しているはずなんだが・・・」
そんなこといわれたって知らないですよ!
この世界がどんな世界で、どんな生活をしてるのかも知らないのに!
あたしが半泣き状態で男の人を見つめると、彼は眉根を下げていった。
「明日教会へいってみるか?あいつなら、なぜこのようなことになったかわかるはずだ。まあ、少し信用ならないやつだが・・・」
「はあ・・・」
街に教会があるんだ。なんか、ほんとにファンタジーに出てきそう。
それにしても、この人、最初は口悪い人だと思ったのにとても親切だ。お母さんとかに、困ってる人には親切にしろって教えられたのかな。はっ、もしかしておぼっちゃまとか?
そう考えると、どこか品のある顔立ちしてる。高い鼻に、切れ長の目。どこか優美な線を持ちながら、見るものに女性らしさは全く感じさせない。
それもこれも、高貴な血からくるものだといわれれば頷ける。
ともかく、親切にしてくれることはとても有難い。あたしはぺこりと頭を下げた。
「あ、あの。あり、がとうございます。いろいろしてくださって」
「ん?やけに素直だな」
にやりと片眉を上げて言い放つ彼に、むっとして反論する。
「あ、あたしだって、ちゃんとお礼くらいは・・・」
「ほう?生意気にもほどがあるガキだと思ってたが?」
「ガキじゃありません!年だって、ちゃんと17だし・・・!」
「17!?14くらいだと思ってたぜ」
落ち着け、あたし。あたしももう大人。これくらいの戯言、聞き逃せずにどうする。
「もうご自由にいっててください、あたし大人ですから!絶対あなたより精神年齢10は上いってます」
「いっとくが、実年齢、俺のが5も上なんだぞ?」
「5!?ってことは、あなたもう・・・えっと、22ですか!」
計算するのにちょっと時間かかったのはスルーの方向で。
「そう、お前よりは五年人生経験積んでるんだ、だからめったな口きくんじゃねえぞ?」
「あ、あなたって人は・・・!ほんとに嫌な性格してる・・・」
「それにしても、あなたあなたって連呼されると、なんか奥さんと喋ってるみてえな気分になるな」
「!?」
な、こいつ・・・不覚にも赤面しちゃったじゃないか。言っときますけど、あたしは女子高に所属していたため、ここ最近まともに男子と喋ってないから、耐性とかそういうのは全くついてないんですから!
「な、ななな・・・名前知らないんだから、しょうがないじゃないですか!」
「素直に名前教えてくださいっていえば、教えてやらんこともないけどな?」
ぜったいこいつ楽しんでる!
「名前教えてください・・・」
くっ、屈辱!
「ヨウだ。騎士団副団長を務めている」
ヨウ、さんか。おし、絶対丑の刻参りしてやる!
「世那、です。鈴木世那です」
「なんだ、そのスズキってのは?」
もしかして、この世界には苗字って概念がないのかな?思い返してみれば、ヨウさんも名前しかいわなかったし。
「あ、忘れてください。セナ、でいいです。よろしくお願いします、ヨウさん」
あたしがそういうと、ヨウさんはうへっとしかめっつらをしてみせた。
「ヨウさん、って次いったらぶん殴んぞ。ヨウ、でいい。セナ、これからよろしく」
「・・・・・よろしくお願いします、ヨウ」
ヨウさん、改めヨウは、少しばかりあたしと相性が悪いみたいです。
ようやく名前登場♥
ヨウさんとセナの相性はあまりよくない模様です(^_^;)




