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第二話「おかしな恩人さん」




あ・・・頭痛い。



ずきんずきんと痛みを訴えてくる頭のせいで、闇に沈んでいた意識がゆっくりと浮上した。なんか昨日もこんなことあったな、と思いながらゆっくりと瞳を開ける。




「起きたか、この馬鹿やろうが!!」

「!?」




起きた瞬間殴られた!?



え、誰この人?

ホワッツハプン?




「あ、ああああの」


「お前なあ、あんな夜中に街に出ているなんて、一体なに考えてるんだよ!」


混乱しているあたしそっちのけで、怒鳴っている男の人はどんどんと話を続ける。鳶色の無造作に切られた髪に、同色の瞳を持っている青年だ。



「大体なあ、モンスターのことがなくたって夜中に街にいるのがどれくらい危険なことかくらいはわかるだろ!」



ちなみに現実ではなかなかお目にかかれないくらい美形で、どれくらい美形かというと、そりゃあもうあたしが舌打ちを三十連発でしたくなるくらいの・・・



「・・・おい、きいてんのか?」



「はいっ、聞いております!」




いけない、またフリーズしてたみたい。あ、ちょっと、そんなに顔を近づけて怒鳴らないでください。まぶしくて目が痛い。視力を失わないように男の人から目をそらしながら、自分が寝かされているらしいベッドから抜け出す。



木目の見える壁からして、ここは安全な屋内だということを確認して、ようやく一息つく。昨日はあんなに寒かったのに、今日はまるで小春日和みたいにあったかい。室内というのも関係しているだろうけど、とまで考えて、あたしは一瞬で青ざめた。




あたし、昨日・・・



「あの、化物・・・」



「ああ、お前が気を失っているところをうちの団員が保護したんだ。モンスターに襲われる寸前だったらしいな、運がいいやつだ。あ、心配はいらねえよ、ちゃんと駆除したらしい」



「駆除・・・・・・」



事務的な言い方に、なれているのだろうなという感じが伝わってきた。あたしはその言葉を無意識に繰り返してから、お礼を言っていなかったことを思い出す。やっぱり、きちんとお礼はいわないとね。日本人ですから。


「あ、あの!ありがとうございました」


「ああ、騎士団の仕事はモンスターを倒すことだから気にするな」


思いのほか優しく告げられた言葉に、この人優しいなあ、と温かい気持ちになっていると、青年がにやりとして、付け足した。


「まあ、それにしても夜中に無防備に街中でつったってるやつを助けるなんてのは、珍しい経験だけどな」


「・・・・・・一言多い」


「あ!?なんかいったか、このがき!?」


「ナンデモアリマセン」



今の一言で一気に好感度さがったよ!黙っていればいいものを!と思いつつ、見ず知らずのあたしを助けてくれた優しい人だからお礼も大切。もう一度頭を下げてから、一旦状況を整理しようといろいろ質問させてもらうことにした。



「あの」


「なんだよ?」


「ここは、どこですか?」


当たり前の質問をしたあたしを見て、その人は一瞬目をみひらいてから、すぐに柔らかな微笑をみせて、言った。



「・・・病院、いくか?」



いや、わかるけども!




「病院代がありません」



 ここがあたしの地元ではなくて、日本でもないんだったら、当然のこと、あたしは一文無しなのだ。



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