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E/O  作者: たま。
oβ・クラン
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第82話・決戦!魔神サタン

魔神サタン”を”蹂躙回です。

 俺とミリアニスさんが飛翔し、サタンへ接近を試みる。

地上では、『ヒルフェバンデ』を展開しつつヴィルヘルムさんが魔本による無詠唱魔法の援護が入る。


『スティグマオーバーラップ』


彼から放たれた魔法は、数十本の光のビームとなってサタンの頭部を目指し飛翔する、

サタンの胸辺りで俺とミリアニスさんを追い越し一足先に頭部へと着弾する。


『ゴァアアアアオォォォォ!』


 サタンの咆哮が辺りの空間を歪ませるが、大したダメージを与えていない様に思える。

俺は奴の正面へと移動すると共に攻撃に入る。


『壱式抜刀術』


 炎属性と光属性を帯びた事で鎌鼬から光が混ざった炎波と変化しサタンを襲う。

神剣・レーヴァテインはエフェクトダメージに重点が置かれている為、鎌鼬と非常に相性が良い。

ヴィルヘルムさんの魔法では、怯む事さえなかったサタンであったが、俺の攻撃によってバランスを崩し倒れかける。

とは言え、そう巧く行く筈もなく、バランスを崩した反動を利用してサタンの尻尾攻撃が俺に目掛けて振るわれる。

俺は『縮地法』を使い難なく避けると後方へ移動し再度攻撃の準備に入る。


 しかし、そう巧く行く筈もなく、サタンはブレスの準備をしながら振り向いた。

七つの瞳は、完全に俺を捉えており、先ほどの攻撃で奴のヘイトをかなり稼いでしまった様だ。


「な、こんな短時間で……」


 普通のドラゴンならブレスを吐く場合、予備動作やら溜め時間やらがある筈なのにサタンにはそれがない。


「物理攻撃以外なら任せてっ!!」


 俺とサタンの間へ割り込むようにミリアニスさんが入ってくる。

そして、至近距離でまともにサタンのブレスをミリアニスさんは喰らった。

よく見ると右の盾で防いでいる。

サタンが放った漆黒のブレスは、ミリアニスさんに行く手を阻まれ四方八方に分散していく。

しかし、その所為で周囲が黒く塗りつぶされ何がどうなっているのか分らない。

強いて分るのは、ミリアニスさんが俺を守っているという事だ。


「ははっ、何これ、凄い」


 どういう意味の凄いなのだろうか。

俺の方からミリアニスさんの横顔がチラッと見えるが、無茶苦茶嬉しそうだ。

一分程続いたサタンのブレスが漸く終わる。

錯覚かも知れないけど、無傷な俺とミリアニスさんを見て一瞬だけ目を見開いた様に見えた。


「溜まった。溜まった~。 ほら、七倍返し」


 ミリアニスさんは、左の盾で無造作にサタンの横っ面を軽くはたく。

余りにも自然だったのでサタンは、微動だにする事なくまともに喰らう。

軽く叩いた様に見えたその行動は、サタンの頭部を鎌首が伸びきる程強く弾かれる。

その勢いは胴体まで浮かび上がらせるほどで、地面から脚が離れる。

しかし、サタンは倒れる事はなく、翼を羽ばたかせて空中に留り、後退しながら高度を上げる。


『ゴァアオオォォォォォ!!!』


 サタンは物凄くお怒りの様だ。


「ふふ、だから七倍返しって言ったのにねぇ」


 どうもミリアニスさんには、S成分が多目に含まれている様だ。

ちょっと恐い。


『グアォッ』


 サタンの額中央の眼が見開いたと同時に光り魔方陣が展開される。


「龍魔法?」

「違うと思う」


 恐らく魔術もしくは禁呪のどれかだろう。

所詮、ドラゴンの形をしているサタンであって、ドラゴンではない。


 地上から数十本の光のビームが、魔法を阻止しようと飛来するが効果はあまりない。


「阻止してきますっ!!」


 俺が飛び出そうとするとミリアニスさんに阻止される。


「だから、言ったじゃん。 物理攻撃以外は任せてって」


 またもや彼女は右手に持った盾を構えサタンを見据える。


「これはある意味チャンスよ。私が反撃したら畳み掛けて……」

「……ん、分った」


 ミリアニスさんは、羽ばたきサタンへ急接近する。

俺はそれに続く様に飛ぶ。


『グォアァォォ!』


 地上を見下ろしていたサタンは、下から接近してくるミリアニスに狙いを定め魔法を放つ。

今度はブレスではなく、黒い極太ビームだ。

如何にもやばそうなビームで赤黒いプラズマを帯びながらミリアニスさんを襲う。


「バァカ」


 ニヤリとしながらそう呟きミリアニスさんは、再び構えた右の盾で極太ビームを真正面から受ける。

俺は盾で受けきれない余剰エネルギーに当たらない様に彼女の真後ろに着く。


「ハハッ、凄い凄い。 さっきのブレスなんて比じゃない」


 嬉しそうな所悪いがそれだけ強力なら地上にいるヴィルヘルムさん以外の人達が危険じゃないのか。

と一瞬思ったが、よくよく考えれば彼らは『ヒルフェバンデ』内にいる限り大丈夫だ。

展開できる時間に制限があるだろうけど、ヴィルヘルムさんの事だから展開し直しているだろう。

ブレスとほぼ同じ時間放ち続けたビームも漸く終わり、黒く染まっていた視界が開ける。


「んじゃ、はい、七倍返し」


 今度は頭部ではなく下降しながら胸部へ盾を当てる。

先ほどと同じ様に軽く当てた様に見えたが、サタンの体躯がくの字に曲がりながら地上へ落下し衝撃でクレーターが出来た。


『グァ……』



 ミリアニスが言った様に追撃ちを掛け様とした時、俺よりも先に先手を打った者がいた。

ヴィルヘルムさんだ。

彼の聞き取りやすい声が俺の耳に入る。


『アヴァランチエクスプローション』


 そのスペルが唱えられたと同時に世にも恐ろしい光景が俺の目に入った。

ヴィルヘルムさんからサタンまでの直線状を火属性上位魔術『エクスプローション』の雪崩が辺りを破壊尽くしていく。

『エクスプローション』自体、広域破壊魔法なのだが、それが隙間なく横一列に計三つ出現し、それがサタンへ向け連続で発動している。

つまり、『エクスプローション』の絨毯爆撃だ。

数にして三十近い『エクスプローション』が発動した事になる。


 こんな物見せられては生半可な攻撃出来ないな。


『レーヴァテイン制限解放モードへ移行』


 紛れもなくレーヴァテインは、強力な封神具で間違いはなく二人のと比べても遜色がない。

しかし、派手さやインパクトでは完全に劣る。

このままだと俺は周りから何もしていない様に思われるかも知れない。

いや、まぁ、思われても問題はないのだけど、そう思われると何か釈然としないものがあるからな。


 剣身を包んでいた炎の勢いが増していく。

もう、炎を纏った剣を持っているのではなく、高く燃え盛る炎自体を持っている様にも見える光景だろう。

レーヴァテイン本体は、封神具の中でも攻撃力の高い方ではない。

しかし、レーヴァテインが纏っている炎が非常に強力なのだ。

通常の属性武器は、エフェクトダメージが高くても精々武器攻撃力の30%辺りなのだが、レーヴァテインは武器攻撃力の300%なのだ。

エフェクトダメージ自体、一回切りではなく大概連続ダメージとなるので、最終攻撃力はもっと高くなる。

それが、300%そして制限解放で計600%なのだ、それの攻撃力が末恐ろしい数値を叩き出すのを想像出来るだろう。


『玖式抜刀術』


 サタンの上空まで飛翔し擬似抜刀術の構えを取る。

そして、連続抜刀術&鎌鼬の連続掃射が始まる。

『玖式抜刀術』は、着地するかSPが切れるまでもしくは自分の意思で止めるまで攻撃を繰り出し続ける。

そこにネフィリム(セレスティア)故の特性を足せば、まさに終わる事のない攻撃へと様変わりする。

少なくとも着地とSP切れの心配はほとんどなくなる訳だ。


 極大の炎光波がサタンを襲う。

ヴィルヘルムさんの『アヴァランチエクスプローション』が絨毯爆撃なら、これは榴弾の雨霰あめあられだ。

終わる事のない炎光波、自分でも何回攻撃したかも覚えていない。

サタンのHPが見る見る減っていくのが分る。

また、レーヴァテインの付属効果の一つである救世の炎によって(セレスティアの三人を除いた)この場にいるレイドメンバー達のMPとSPが目に見えて回復していっている。

しかも、サタンは純粋な闇属性なので光属性が含まれている炎波は、600%に+αした値が出ている筈だ。


 女神の祝福で変異したあのサタンのHPが半分に差し掛かっている。

そして、半分を切ったところで異変が起こる。

俺の攻撃が外れた……いや、サタンは突然先ほどまでいた所からいなくなっていた。

予備動作もなにもなかったので完全にサタンを見失った。

しかし、俺に覆い被さる様に黒い大きな影が出現してやっと気付いた。

どうやったかは分らないがサタンは俺の直上まで移動し渾身の尻尾による叩き落しに入っていた。

これは避けられない……と直感で感じた。

『多重結界』でどのくらいサタンのダメージを軽減できるのか、そこに賭けるしかない。


『カイン&アベル不死モード解放』


 俺の後方でミリアニスさんが、彼女の神罰モードを解放させた声が聞こえた。

そして、サタンの尻尾が俺に直撃する直前に球体の檻の様な物に囲まれたミリアニスさんが俺の上で身代わりとなった。


 サタンの尻尾をまともに直撃したミリアニスさんは、猛スピードで落下していく。

サタンは、目の前にいる俺を完全に無視し、落下していったミリアニスさんへ標的を変更する。

また、ブレスか魔法を発動させるのかと思ったが、サタンはそんな事はせず一瞬で地上に落下したミリアニスさんの所まで移動していた。

ミリアニスさんに体勢を整える隙を与える事もなく、今度は右アッパーで打ち上げ、溜めなしブレスで追い撃ちする。

攻撃はそれだけではない。

ブレスの勢いに乗って上空へ飛び上がったミリアニスさんを左手で掴み地面へ向けて投げる。

地面に直撃したのを確認すると同時に魔方陣を展開させる。

極太ビームとは違う魔法の様で展開された魔方陣は大小合わせて六つ出現している。

そんなに時間も掛からず詠唱は終わり、中央の大きな魔方陣を取り囲む五つの小さな魔方陣が、魔力の球体へと変わる。

そして、大魔方陣から超極太ビームを放射すると同時に五つの魔力球からそれぞれ極太ビームを放射される。

その全てがミリアニスさんを外す事なく集中的に持続ダメージを与えていく。

 

 この一連の攻撃は、いくら『多重結界』があったとしても防ぎ切れないのは間違いなく、十数秒ぐらい放射し続けて漸く終わる。

サタンの魔法にて攻撃し続けられた場所は、地面が深く抉れ暗くて底が見えない程でミリアニスさんの姿も見えなかった。




「……ふぅ、後一秒長かったら危なかったかも……」



 姿は未だ見えないが、抉れた辺りからミリアニスさんの声が聞こえた。

物理攻撃も含んだあの攻撃を耐え切ったのだ。

『不死モード』とは一体どういったものなのだろうか。

文字通り不死なのだろうか。


 抉れた深い所から眩い光を発した球体が上がってくる。

ミリアニスさんだ。

攻撃される直前、球体は光っていなかった筈だ。


「ふふ、これはかなり痛いかも知れないわよ」


 ミリアニスさんは、球体を操りサタンの後ろへ周り込む様に移動した。

そして、サタンが振り向く前に球体をサタンの背中で押し付ける。


「はい。 七倍返し」


 骨やら何やらがへし折れたり潰れたりした音と共にサタンは力なく落下していく。

驚く事にサタン残りHPの五分の二が先ほどの七倍返しで減っていた。



『シアグリウスの書、多重詠唱モード解放。 ガリア』


 ヴィルヘルムさんは、神罰モードへ切り替えたと同時にスペルを発動させていた。

落下している最中のサタンへ向けて数十本の光のビームが追撃に入る。

それだけではない、辺りがいきなり暗くなったかと思えば、上空が十数個の隕石が落下してきている。

そのどれもがサタンへ直撃する軌道を取っている。

サタンが地面に落下すると同時に『アヴァランチエクスプローション』が襲い、その上で『フォーラインリヒト』の光の爆発が起こる。

止めとばかりに光のビームが追い付き光の爆発の中へと入っていく。

最後に十数個の隕石がサタンとその周辺を蹂躙していく。


 俺の画面ではすでにサタンのHPはない。

でも、まだヴィルヘルムさんの放った魔法は終わる事なく爆発が続いている。

全体で一分近く続いていたヴィルヘルムさんの魔法も漸く終息に向かってきており、繰り返していた爆発音もほとんど聞こえなくなってきている。

そして、全てが終わった所には、サタンの姿は勿論、城周辺に広がっていた森の一部と草原が綺麗さっぱりなくなり、原型を留めていない程凸凹に破壊し尽くされた地面だけが残されていた。


 何が何やら分らない内にクエスト完了の電子音がなった。



◆◆◆



《フィラシェット王国にて魔王サタンが討伐されました》


《これにより全てβテストが終了し、正式サービスへと移行します》


《また、これによりゲーム内時間一週間を時代移行までの予備期間としますので、プレイヤーの皆様は悔いのない様に行動して下さい》


《詳しくは公式サイトをご覧下さい。それではoβテスト期間最後の一週間楽しんで下さい》

※龍魔法……ドラゴンのみが使用出来る魔法でドラゴニアを除いた人には使う事が出来ない。また、上位のドラゴンとなるとドラゴニアでは習得出来ない魔法も多数存在する。

※サタンのHPを削った比率⇒アキラ3:ヴィル4:ミリ3

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