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E/O  作者: たま。
oβ・フレンド
42/94

第37話・アピールは程ほどに…

話が纏まらず、少し長いかもです。

―――彼…クロイツ=フェアフィールドは面白い。



何が面白いかと言うと、メイン武装が銃なのにガチ近接戦キャラだという事だ。

確かにこの方法だと銃使いに必須とされる『第六感』なんて必要がない。

だからと言って、銃だけ持って接近戦を気軽に出来る訳はない。

しかし、クロイツは格闘術を習得する事によってその辺を解決している。


脚技を主体とした流派で移動補助系の流派スキルがある。

ちなみに流派スキルは、『急加速』と『連舞』だ。

『急加速』とは、『縮地法』に似てなくもないスキルで1歩目から最高速度で移動出来るスキルだ。

『縮地法』が目にも映らない速度のスキルなら『急加速』は目にも止まらない速度のスキルだ。


『急加速』で接近し『連舞』による脚技の連続攻撃からショットガンに切り替えて止めが基本戦闘スタイルのようだ。


ショットガン自体接近で効果が大きい銃である事から格闘術との相性は抜群なのだろう。

銃の流派スキルは、『高速リロード』と『二丁撃ち』だ。

技カスタマイズの効果もあって彼の武器であるソードオフショットガンに最適化されている。



「惚れた?」

「まさか」



今、俺達はグリタニスクから海を越え北アルカディア大陸の北にあるカルディア王国に入っている。

クロイツはどうもアヤカとの合流場所であるサウスアルカディアの王都まで着いてくるつもりのようだ。

まぁ、カルディア王国は人の住める土地が少なくMobとよく遭遇するのでクロイツが居てくれるだけで結構助かっていたりする。

カルディア王国の玄関口というべき貿易都市シルバーホーンを抜けると次の都市まで険しい道のりが続いている。

まともな街道はなく、野営地間の距離もかなり長い。

山を山頂まで登ったかと思えば次の山では長いトンネルを抜ける。

こんな事をすでに数回繰り返しているが、まだ次の都市には着かない。

それもその筈、直線距離としては全然進んでいないのだ。

これが1人だったらだと思うと億劫になってしまう。


今は何個目か忘れたが廃鉱を利用したトンネルを抜けている最中だ。

鉱山で死亡したのかどうかは分らないが、鉱夫の姿をしたスケルトンがよく出没する。



「…とりゃ、砕けろ!」


上段蹴りの3連続攻撃からサマーソルトで上空へ打ち上げ無防備になった所をショットガンで追い討ちする。

まだ、彼のとって序の口であろう攻撃で、スケルトンマインナーは木っ端微塵に砕け散る。


俺はというと前衛をクロイツに任せ、全く育てていない魔術を上げる為後衛に徹している。

正直、俺の援護なんて必要ないぐらいに彼の攻撃は精錬されている。

全く無駄が無い上に攻撃後の隙もほとんどない。

その為、育てるつもりが全く育っていない。


「どうさっきの?」


ただ、技が綺麗に決まる度に感想を聞いてくるのはどうにかして欲しい。


「はいはい」



「ちょっ、スライム!?」


角を曲がると大きめのスライムと遭遇する。

クロイツにとってスライムは苦手な部類で全くとは言わないがほとんどの攻撃が利かない。

スライムの構成組織はほとんどが水分なのだが、環境によって若干の違いがある。

この鉱山に出没するスライムのゼリー成分は、酸性の様で脚で蹴り上げると武具が酸化するし、銃で攻撃すれば弾が核に到達する前に融けてしまう。

どうも、核に近ければ近いほど酸の濃度が高いようだ。


つまり、直接攻撃は武具の耐久値的にまずいのだ。

スライム戦は俺が炎の魔術でゼリー部分を蒸発させクロイツが核を撃ち抜く。

と言っても、俺が使える炎は初級魔術の『フェアリーボール』だけで、しかもあまり育っていない。

残念ながら『フェアリーボール』を何度も撃ち続けて、やっとゼリー部分が蒸発し核が露出する。

まぁ、数少ない実戦機会なので問題ないですけどね。


だからと言って現状を維持するつもりはない。

次の街である『魔法都市ブリトニア』で全属性の中級魔術までの魔術書を買うつもりだ。


ブリトニアは、魔法都市と呼ばれるだけあって魔法なら何でも揃っている。

それこそ、魔術だけではなく法術や精霊魔法や呪術までもある。

それだけではない。

ヴァンパイアの操血術やドラゴニアの龍魔法、果ては禁呪など、あらゆる魔法に関する施設や知識が揃っているのだ。

ただ…神術に関する知識だけはあまりないらしい。

セレスティアを除くと神術を使えるのは古代エルフのみの所為だろう。

ネフィリムほどではないが希少種族で、さらに神術を習得している者は一つまみ程度だ。

使える者が少ない上に古代エルフ族は閉鎖的な種族なので知識を開示しない。

恐らくだが、このβテストで古代エルフになったプレイヤーは、神術の習得に四苦八苦している筈だ。


捕捉なのだが、禁呪の知識もあると言ったものの厳重に保管されているので残念ながら簡単に読む事なんて出来ない。


で、全属性を買うとは言ったが、魔術書1冊分の金額がどれほどのものなのかが分らないので、もしかしたら全属性は買えないかもしれない。

最低、炎の魔術だけでも買えれば良いと思っている。


「……炎の妖精よ。フェアリーボール!!」


ロッドやワンドなどの魔法補助アイテムを持っていないので火力がないにも等しい。

5発目の『フェアリーボール』でやっとアシッドスライムのセリー部分が全て蒸発する。

ゼリー部分の無くなったスライムなんて、ただの石ころの様なものだ。


「クロイツ!」

「おう」


俺がそのまま止めでも良いのだが分担作業という事でクロイツに任せている。

クロイツは、地面に転がったアシッドスライムの核に向けてショットガンを撃つ。

至近距離で撃たれた核は跡形も無く砕け散った。

ちなみに、アシッドスライムは、俺やクロイツのレベルよりも少し下ぐらいで弱いMobという訳でもない。

まぁ、要は戦い方だ。

弱点属性を突けば戦いを有利に進められるという訳だ。


どうも、知り合って間もない俺達2人だが妙に息が合ってしまっている感がある。

やはりブリトニアまでの道中、戦闘しかやる事がない所為だろうか…。


「ああ、もう。この鉱山、スライム多すぎ!」

「まだ、3匹目じゃない?」

「入ってまだ30分しか経ってないよ」

「まぁまぁ」


だからと言って、そこまでイラつく意味が分らないな。


「これじゃ、アキラにアピール出来ないじゃないか!」

「……」


そう言う事ね。

スケルトン6体にスライム3体…確かに鉱山に入ったばかりでこの数は多いのかも知れない。

さらに、入り組んでいる上に行き止まりも多い。


「あれ…ここさっき来た所じゃない?」

「ちょっと、待って」


クロイツは、手を地面に触れ『追跡』スキルを使う。

『追跡』は、足跡なら自分のであろうと追跡が可能だ。

クロイツが言うには、足跡に『追跡』を使うと辿った道がハイライトされるらしい。

と言っても足跡から手を放すと数秒後にはハイライトが消えてしまう。

スキルレベルを上げると消えるまでの時間が延びるらしい。


「確かに、ここは一度来てるね」


足跡を目で多いながら次の道のりを思案する。

そして、ある一定方向を見ながら行き先を目に焼き付けているようだ。


「うん、次は大丈夫。行こう」


クロイツは、俺の手をさり気無く握る。


「手…」

「ん、あ。ごめんごめん」


気が合うと言っても、気を許した訳ではない。

ただ、こういう事を自然と出来てしまうのは日本人に出来ない事だよな。

事ある毎にアピールしまくりだしな。

偏見かも知れないが、恐らくクロイツの中の人は欧州辺りの人だろう。

日本人ならこの段階までが長いと言うか、まだフレンドの段階で積極的な人間は少数だろう。



◆◆◆



鉱山に入って彼是半日…思ったより大分長いし複雑だ。

数十回の戦闘の合間に3回ほど休憩をした。


飽き飽きしていた所にやっと転機が訪れたようだ。


「なるほど、2層って訳か…」

「今はな。もしかしたら、3層かもよ?」


俺達の前には、魔力で動作する貨物用の大型リフトがある。

と言っても、大分古く色々な所が朽ち落ちていた。

最近使用された痕跡があるので動く事は動くのだろうけど正直底が抜けそうで恐い。

まぁ、流石にリアルタイムで朽ちれ落ちるなんて事はないだろう。

所詮、ゲームでの演出だ。

高所恐怖症でもないし問題ない。


「上と下があるのか…」


3層でした…。


「『追跡』してみる」


クロイツは、リフトに手を付き足跡を調べる。

そして、上と下を交互に見て足跡の続きを探す。


「ふむ、上と下両方とも足跡が残っているか…。

下の方が足跡に法則性があるな。どうする?」

「まぁ、下で良いんじゃないかな」

「分った」


クロイツが返事と共に下へ行くボタンを押すと、ゴンッと重い音と共にリフトが下層へ向かう。

下へ下りると何故足跡に法則性があったのかを理解した。

そこには斜め上へ向かうトロッコの路線があった。

今はもう稼動はしていないようだが、通路の壁には松明があり、先ほどまでの階層とは雰囲気が全く違った。

良く見ると、上の方には外の光と思える煌きがあり、上から人が降りてきている。


「あの光を目指せば良いみたいだね」

「なるほどね。最終的には全ての通路がここに繋がっている訳か…」


俺達が降りてきたリフトと同じものがあちらこちらにある。

上から降りてきた傭兵と思われる2人組が大分先で俺達が乗ってきたリフトとは別のリフトに乗り込む。

しばらく歩きその前を通り過ぎるとリフトのすぐ脇に行き先が書かれたプレートがあった。

プレートには”アルバモント”と書かれている。

これは確かブリトニアの北東にある都市の名だ。

と言う事は…光の先がブリトニアと見て間違いないだろう。


ってあれ?もしかして道順間違えたかな…。

俺の予定では、ブリトニアに着くまで野営地が3箇所あった筈なんだけど…。

鉱山に入る前の2箇所しかなかったぞ?


「ねぇ。もしかして、道間違えたかな?」

「あ、やっぱり間違えたんだ…」

「え?」

「いや、俺が事前に聞いていた道と違ったから…何でかなぁ~っと」

「気付いていたなら言ってよ!?」

「いや、もしかしたら近道かと思って…」

「……」

「あ…いや、実際、近かったし結果的に良かったじゃない?」


まぁ、確かに4日ほど掛けてブリトニアに着く予定が、3日程で着いたけどさ…。

凄く精神的に疲れた。


10分ほど歩き続け、やっとこの鉱山から抜けると高い山に囲まれた渓谷となっていた。

その先にはブリトニアの街を守る壁が聳え立っており、ここは裏門に続く道の様だった。


ブリトニアは、正門方面以外は高い山に囲まれた自然の要塞だ。

それだけでなく、古代王国時代に造られたとされる強固な結界で守られているという設定だ。

つまり、ブリトニアに入る為には正門か裏門しかなく、上空からの侵入も出来ないという事だ。


「俺って結構役に立つでしょ?」

「え?あ、うん、そうだね」


クロイツよりも『追跡』スキルが役立つなっと思ったのは内緒である。


設定の方、実は地味に更新しています

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